市庁、ソウル駅と駆け抜けていく。
これまでバラバラだったソウルの地図が頭の中でつながっていく。
地下鉄での移動だと駅単位で記憶されているので、
他の場所とのつながりが見えない。
自転車で道を縫うと頭の中のパーツが繕われていった。
駅からの徒歩圏内だけだった地図が、次から次につながる。
スクラッチのカードを削るかのように、
あるいは水性絵の具を水にたらしたかのように。
見えなかったものが鮮やかになっていく。
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調子に乗って飛ばしていると、みるみる汗ばんできた。
ソウル駅に近いバス停の前にあった売店で止まり、
冷たい缶コーヒーで一服。
クルマがあれば、地理も道路も方角もアッという間に覚えてしまうのだろうけど、
ただの観光客には難しい話。
それにこれだけ地下鉄が便利では、クルマは無用の長物かも。
缶コーヒーを傾けながら、そんな思いに浸る。
通りすがりの観光客には自転車程度がちょうどいい。
宿でなにげなく借りた自転車が意外にも街のサイズを変えてくれた。
特に行くあてがあったわけでなかったので、
ソウル駅を折り返し点に光化門(クァンファムン)方面へ戻ることにした。
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清渓広場を北に折れ、ワンブロック動くと、光化門広場がある。
片側4車線のだだっ広い通りの真ん中を噴水が陣取り、
それを見守るかのように李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像が立っている。
10月だというのに子供たちはおかまいなしに噴水で遊んでいた。
6月に「ピマッコル通り」を探して歩いた際、
遠目に見たのがこの銅像の後姿だったのだ。
銅像は記憶にあったが、広場や噴水にピンとこなかったのは、
この広場、今年の8月にできたばかりなのですね。
6月のときは工事のフェンスで覆い隠されていたのでしょう。
http://www.konest.com/data/spot_mise_detail.html?no=263 (コネスト・光化門広場)
広場ではイベントが催されていた。
さまざまな現代的なカラーリングの大きな狛犬が並べられている。
広場の名前にもなっている韓国の狛犬「ヘテ」。
「ヘチ」とも呼ばれる架空のこの動物はソウル市のシンボルだ。
ポップな狛犬が明るい日差しの下、道行く人たちを楽しませていた。
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奥に景福宮(キョンボックン)が控えている広大なこの通り、
かつては16車線という広さを誇っていた。
ドイツのアウトバーンが非常時に「戦闘機が下りられる」ように作られたのと同様に、
この国でもこの広さが必要なのだ。
その中央部が今では鮮やかな噴水と整った石畳に生まれ変わっている。
あまりに長い「戦時下」にあきれて、誰かが公園化に踏み切ったのかもしれない。
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