10月2〜4日は「秋夕(チュソク)」、
日本でいうところの中秋、中国式なら中秋節というやつ。
これが祝日に設定されている。
日本ではもはや「中秋」など消えかけのイベント、
無関係のハロウィンに押され、すっかり忘却の彼方かもしれない。
子供の頃は和菓子屋さんでお団子を買って、
近所の原っぱからススキを摘んできて、お供えなどしていた。
もはや記憶の彼方の節目か。
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かつてシンガポールに住んでいた頃、
中華系の人たちは「中秋」を大いに祝い、
シンガポール中のレストランでは「月餅」のコンテストが恒例で行われていた。
「月餅」といってもホールサイズのケーキ並みで、
コンテストに出るやつはちょっとしたコーヒーテーブルぐらいあるのですね。
英語でいうと「ムーン・ケーキ」と呼ばれるのですが、
どうなの、この直訳ぶり。
とはいえ、サイズ的にはケーキよりはるかにデカく、
「月」のようにバカでかいのです。
子供が楽勝で座れるサイズ、なんなら中に入れてもいいぐらいデカイので。
中の餡に胡桃などの木の実を入れたり、
ドライフルーツを入れたり、干し肉を入れたり、
シェフがその年ごとに工夫を凝らして、腕を競うわけですね。
優勝すると店先にはその「月餅」が飾られ、
写真撮影の人気モノになっておりました。
たしか中国系の各家庭では「粽(ちまき)」を作って食べるんじゃなかったっけ。
シンガポリアンの友達に
「粽はタイ語で『バッチャン』というのだよ」と教わったのをやけに覚えている。
完全にステキでムダな知識です。
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街に出てみると、ホトンドの店が閉まっている。
それでも店先のシャッターの前には出店が増えていて、休日のひっそり感はない。
いつもは東京都内の地下鉄並みに混んでいる環状線の地下鉄はガラガラで、
やっぱり特別な時節なのだなあ、と知らされた。
デパートや大きなモールも徹底的に閉まっている。
軒並みシャッターが並ぶ風景は、さながら日本の正月のよう。
といっても、最近は日本の正月に閉めている店は少ないか。
昨夜、ゲストハウスで教えてもらうまで、今日が休日とは知らなかった。
光化門広場で見たコマイヌのイベントに関する質問を重ねたところ、
「明日、金曜は祝日で週末は3連休だよ」というハナシが飛び出した。
のんきな旅行者はなにも知らなかったのですね。
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著名なホテルではドアマンが民族衣装を着ていた。
ベルキャプテンだけでなく、フロントマンも衣装を着ている。
男性の民族服というのは、その手の趣味がなくてもけっこう、グッとくる。
女性のチョゴリはやや見慣れた感じがあるが、
男性服はなんとも新鮮で凛々しい。
そういえば我が国ではお祝いの日や節句に民族衣装など着ませんね。
見かけるシーンはといえば、
卒業式のハデなだけのハカマ姿、
成人式に見事に着崩れたくれている姿ぐらいか。
旅館に泊まれば、ダラシナイ浴衣姿はいくらでも見かけるけど、
あれはどうもいただけない。
情緒があると思うのですけどね、民族服って。
彼の国は民族衣装はモチロン、心根までも忘れてしまっているようで。
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