母クマに育児放棄され人工哺育で育てられた、ベルリン動物園のホッキョクグマ'クヌート'を中心に、北極、ロシアで懸命に生きるクマたちの姿を追い、人間と動物が共存できうる環境についてメッセージを投げかける映画『クヌート』が、いよいよ7月25日(土)より全国公開いたします。
公開に先駆け、映画の舞台の1つである北極にゆかりの深い、石川直樹さん(探検家・写真家)によるトークショーと、本作品に後援・協力を頂いているWWFジャパン会長 徳川 恒孝氏および伊勢丹 取締役 二橋千裕 専務氏によるチャリティ金贈呈式を、実施いたしました。
映画をご覧になっていかがでしたか?
石川:ホッキョクグマは野生の象徴であり、近寄りがたい動物という印象を持っています。
そのホッキョクグマが人間と触れ合っていることに驚き、とても珍しいものだという印象を受けました。
北極から南極まで世界を横断されている石川さんですが、中でも北極には何度も足を運ばれているそうですね。
映画にも野生のホッキョクグマの親子が登場しますが、実際に野生のホッキョクグマにお目にかかるとどんな様子でしたか?
石川:北極へは、10年間で20回近くいっています。1ヶ月くらいかけて歩いたときに、7頭ぐらいのホッキョクグマに出会いました。中でも、4〜5mほどの距離で見たときは、本当に怖くて、足が震えました。背中を向けることが恐怖で、警戒しながら逃げました!
母グマに育児放棄されたために、人間に育てられるクヌートについていかがお思いでしょうか?
石川:野生なら、生きていくことが難しい生命が、なくならずにつながっていることが嬉しかったです。
地球温暖化の影響により、北極の氷原が年々減少していますが、10年にわたり北極を旅される中で、温暖化による変化を身近に感じられましたか?
石川:アラスカのシシュマレフという島があるのですが、北極海の沿岸では、海面上昇の影響で海岸浸食が進み、家屋が沈んでいます。温暖化の影響で、海が凍る期間が短くなり、次々と押し寄せる高波が永久凍土を削り、とかしているのです。
北極だけでなく、環境破壊は世界的に深刻な問題ですが、旅のご経験を通じて思うところはございますか?
石川:一番良いのは、時間があったらフィールド(野外)に出ればいいと思います。長い川をカヌーで下れば、大きな生き物にも出会うと思います。町の中では、何にもしないでも時間が過ぎますが、生きていく、ということを自然の中では意識します。そうすると、自然に対する尊敬の気持ちが持てます。お互いに相手が生きられるよう、動物たちへの敬意、畏怖の念をもって付き合うべきだと思います。
これから映画をご覧になるお客様に向けて、改めて、映画の見どころを含め、メッセージをお願いいたします。
石川:人間も動物なので、眠っている野生があります。野生とは何か、ということを考えていただける作品だと思います。
また、トークショーの後、6/17〜6/30に伊勢丹新宿店にて開催された「WWFチャリティキャンペーン」で寄付されたチャリティ金1,083,600円を、株式会社伊勢丹 二橋千裕 専務より、WWFジャパン 徳川 恒孝会長に贈呈する式典が行われました。
監督:マイケル・ジョンソン 脚本:テレザ・アルト、マイケル・ジョンソン
日本版ナレーション:藤井フミヤ 構成:塩野米松 監修:小宮輝之(日本動物園水族館協会会長・恩賜上野動物園園長) 音楽:鳥山雄司 メインテーマ/ヴァイオリン演奏:宮本笑里(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)
© Dokfilm Fernsehproduktion © Zoo Berlin 配給・宣伝:角川映画
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