「うわぁ〜!すごい!すごい!」
先ほどまで泣いていたのが?のように、明るい顔になって、辺りを見回していた。
そのあきの顔をみて、トワは少し安心した。
「はぁ、とりあえず大きな声で泣かれなかったので、一安心かね。」
トワとあきは、そのまま上空に向かい、ひなげしの花も超えて、周りが見渡せるくらいの高さまで来た。
あきは、まだ興奮してあたりを見回してすこしはしゃいでいた。
「あんまりはしゃぎすぎて落ちないでよ。んで、あんたの家は見えるかい?」
そうトワに言われて、あきは下を見回した。
前、後ろと見回したが、家らしきものは見当たらず、あたりは草むらや木だけだった。
「ない…ない…」
あきは、思い出したかのように、またぐずり始めていた。
「え〜と。。。もう少しよく見てごらん。何か知っているものが見えるかも。」
そうとわに言われて、辺りを見回したが、あきの知っているものは何もなかった。
「う〜…やっぱり何も知らないとこ…ぐすっ…」
「おぉぉ!また泣きそうだねぇ…取り合えず、少し疲れたので、一旦下に降りるよ。」
トワは泣き出しそうなあきを見て、まずいと思い、一旦下に降りることにした。
暫くして、先ほどまでトワが居た 『ひなげしの花』 の上に降りた。
「はぁ…どうしようかなぁ…あたしは食事中だったのに…」
トワは思わず愚痴を口に出してしまった。
「ごめんなさい…ぐすっ…ぐすっ…」
「あっ!いやいや、大丈夫だよ!こんな小さい子を一人にできないしね!おばさんに任しておきな!」
と、泣き出しそうなあきを見て、思っていもいない事を口走ってしまい、少しため息をついた。
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トワはこれからどうしたものかと、腕組みをして考えこんでいた。
それをみたあきは、自分も何か探そうと思い、ひなげしの花の端から下を覗いた。
すると、下の方で小さくて黒いものがいくつも縦に列をなして、何かを運んでいた。
あきは何をしているのか不思議そうに観ていた。
「 トワさん!あれはなにしているの?」
そうあきに聞かれたので、トワも下を覗き込んだ。
どうやら、黒いものは蟻の行列らしく、食事を巣に運んでいる最中のようだった。
「あぁ、あれは蟻さん達だね。餌を巣に運んでいるんだよ。おそらくこの間椋鳥に食われた蜘蛛の頭だねぇ。」
そう話をすると、あきは少し驚いた。
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「えっ!蟻さんは蜘蛛さんを食べちゃうの?蜘蛛さんかわいそう…」
「おやおや、そんなことはないよ。お嬢ちゃんにはまだ分からないかもだけど、蜘蛛も蟻も、そしてあたしも食物連鎖の中に生きているんだよ。」
「それぞれが、食べて、食べられて、この世界は成り立っている。それをわかっているから、蜘蛛さんもその時が来るまで一生懸命生きたんじゃないかい。」
「そうなの?よくわかんない…みかんもそうだったのかなぁ?」
「みかんちゃんもそうだと思うよ。だからきっと役目が終わったので、次の世界にとびだったんだね。」
あきにはよくわからなかったが、なんか少し心のつっかえが取れたような気がした。
「トワさんありがとう。きっとみかんも喜んでいるね。」
「そうだね。みかんも喜んでいるね。」
トワは、あきがまた明るい顔になったので、安心した。
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