気が付くと、辺りはもう明るくなっていて太陽はもうすぐ真上に来るほどになっていた。
あきはトワを起こそうと、周りを見回した。
すると、まだ寝ているトワがひなげしの花の端で横になっていた。
「トワ!朝だよ!起きて。」
あきは昨日の興奮がまだ続いているかのように、トワに元気よく話かけた。
しかし、トワは目は覚ましたものの、身体を起こそうとはしなかった。
「どうしたのトワ?どこか痛いの?」
そうあきに問われたトワは、あきに笑いながら話をし始めた。
「どうやら、そろそろあたしの時間が終わったみたいだよ。申し訳ないねぇ。最後まで家探しできなくって。」
あきは、トワが何を言っているのかが分からず、頭をかしげた。
「どういうこと?一緒に家探ししてくれないの?」
「ごめんね。トワもみかんと同じところに行く時がきちゃったんだよ。」
「えっ!いやだよ!やっと友達になったのに!」
「しょうがないんだよ。あたしらは人間と違ってこの姿になってからは短い人生だからね。」
「でも、最後にあきにあえて、一緒に子供の羽化も見れて、幸せだよ。ありがとうね。」
「いやぁ!死なないで!わぁ〜ん!」
あきは、トワと最初に遭った時のように、また大声で泣きだした。
トワは、まったくという顔をして、優しい顔をあきに向けて話始めた。
「泣くんじゃないよ。そんなに顔をくしゃくしゃにしたら、昨日の羽化したアゲハ蝶に負けちゃうよ!」
「それに、泣くような悲しい事ではないんだよ。」
あきはトワのその言葉の意味が分からなかった。
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「どういうこと?もう話出来なくなっちゃうのが悲しくないの?」
トワは、あきの目をしっかりと見て話しを続けた。
「あたしら蝶はね、いや人間も猫もすべての生き物かね。死ぬことは終わりではないと考えているんだよ。」
「終わりではない?」
あきは、またも分からず頭をかしげた。
「そうだよ。蝶はね、死んだあと、また先ほどの蛹が蝶になるのと一緒で、新しい別の生として、生まれ変わるんだ。」
「生まれ変わる?ぐずっ…」
あきは、少し泣き声で聞いた。
「そうだよ。死ぬことは、 新しい生命の誕生 なんだよ。それは素晴らしい事なんだよ。だから悲しくはないんだよ。」
「そうなの?んじゃ、みかんもまた新しく命を授かっているの?」
「そうだね。きっとまた赤ちゃんとして生まれているよ。だから、悲しくはないんだよ。」
「うん。。わかった。。」
まだ幼いあきには難しい話ではあったが、なんとなくわかったような気がした。
「さぁ、そろそろ家探しに出かけなさい。きっと家に帰れるから。あたしは空の上から、あきを見ているからね。」
「うん。」
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そういうと、あきは立ち上がった。
もう一度トワを見たが、トワは全く動かなくなっていた。
「トワさんありがとう。あき、頑張るから、トワさんも新しい赤ちゃんになって頑張って!」
そういうと、後ろを振り向き、あきは ひなげしの花 から降りるために歩き出した。
すると、1歩踏み出したとたん、目の前から眩い光が照らしてきて、眩しくなり思わず目を瞑ってしまい、そのまま気を失ってしまった。
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