可食部100gあたりのビタミンC含有量を多い方から挙げると、ピーマン(特に赤・黄)>芽キャベツ>ゴーヤ>ブロッコリー>カリフラワー>小ネギ>さやえんどう>キャベツ>ネギ>ミニトマト>西洋かぼちゃというような順番になります。(あまり一般的でないものや香辛料・ハーブ系は抜かしています)
でもじゃあ、ビタミンCをたくさん摂りたいならその順位通りに食べればいいのか?というと、そうとも限らないのです。
野菜の栄養価は旬の時が高く、旬でない時は低くなるため、食べる時期によって含有量が逆転する場合もあります。
今日は、野菜の旬の栄養価についてお話したいと思います。
「野菜の旬」とは
人間からすると「旬はその食材が一番美味しい時期」という感覚で、それはその通りなのですが、正確に言うとちょっと違います。
野菜の旬とは、一年の中で一番生育条件が揃った中で栽培され、一番成熟し、たくさん収穫できる時期のことです。
土壌や光合成などが野菜の性質に合っている時期なので生命力が強く、農薬の量も少なくて済むようです。
結果的には「人間にとって一番美味しい時期」にほぼ合致するんですけどね。
同じ野菜でも、 旬は地域によって違います。
昔は旬になると価格も安くなったのですが、今は品種改良や栽培環境などにより一年中出回る野菜も増えたので、季節による価格の変動が少なくなりました。
農家の経済事情という一面もあります。
文部科学省の日本食品標準成分表について
1982年改定の「四訂日本食品標準成分表」までは、2000年改定の「五訂日本食品標準成分表」以降より、各野菜の成分量が高めに記載されていました。
これは「今より昔の方が野菜の成分量が多かった」というわけではありません。(そういう場合もありますけれど)
四訂までは主に各野菜の旬時期の含有量が書かれていましたが、どんどん一年中出回る野菜が増え、五訂以降は一年の平均値が書かれるようになったためです。
旬ではない時期の含有量は、成分表に書いてある数値(一年の平均値)を下回ることの方が多いです。
ですから、たとえば「ビタミンCを100mg摂取するためには毎日ブロッコリーを○グラム摂りましょう」などという指示があっても厳密にいえば、食べるのがブロッコリーの旬ではない時期だとすると、指示よりもっとたくさん食べないと推奨されている量が摂れないということになります。
野菜と旬と栄養価についての雑学
女子栄養大学の教授、辻村卓さんのサイトでは、面白い検証結果をたくさん読むことができたので、ここにまとめてみます。
辻村卓さんは東京都と東京近郊の5地域の店頭から購入した、主に出盛り期の長い野菜や果物を40種類ほど、2000年を挟んで20年間実験されています。
毎月同じ野菜を購入し栄養分の含有量を分析した結果、分かったことです。
(一部意訳しています)
・1年を通じて、野菜には必ず栄養価の高さに波がある
・栄養価の高い時期は 3ヶ月ほど続く
・検証で分かった「栄養価の高い時期」は、昔から言われている旬の時期と重なる
・昔より酸っぱさが減って甘くなったトマトは、ビタミンCが半分以上少なくなっている
・旬かそうでないかによって変動の大きい栄養素は、 βカロテンと ビタミンC
・特に季節による変動が大きくなるのは、ホウレンソウ
・人参やブロッコリーも変動が大きい
・季節による変動が小さいのは、セロリ、ピーマンの2種類だけ
・ハウス栽培でも、旬の方が栄養価が高い
・有機栽培野菜のビタミン類含有量は、慣行栽培野菜とほぼ変わらない
・冬野菜は夏になると、水分が多くなる(栄養価は低くなるけど食べやすい)
・冷凍してもビタミンは1年間ほどほぼ減少しない(解凍時に溶け出すので、冷凍のまま加熱を)
・根菜類と芋類は葉物に比べて変動が少ないが、馬鈴薯のビタミンCは大変動
・ミネラルはビタミンCやカロテンに比べると、季節による変動が少ない
実際にどのくらい栄養価が違うのか
旬かそうじゃないかで栄養価が違うといっても、そこまで大差ないでしょ?と思っている方!
いえいえ、この数値は侮れないんですよ。
最大含有月と最小含有月で比べると、2倍程度違う野菜ならゴロゴロ存在しています。
馬鈴薯のビタミンCにいたっては、約5倍も違うのです。
「人参はカロテン多いから♪」と思って食べても、最も多い6月に食べるのと最も少ない1月に食べるのとでは、2.5倍も違います。
とはいっても、1月でも他の野菜に比べれば多いので、積極的に食べたい野菜のひとつではありますが。
栄養価の高い時期一覧
この一覧は、各野菜の「一番栄養価の高い時期」を表しています。
ですから、一般的な「旬」とはズレる場合も有り得ます。
「旬」も「一番栄養価の高い時期」も地域によって違うので、だいたいの目安にしてください。
比較的ビタミンCやカロテンが多いことで有名な野菜たちです。
気になるのは、必ずしも「ビタミンCが最も高い時期にカロテンも最も高いとは限らない」ということですね。
例えばグリーンアスパラガス。
ビタミンCが最も高いのは1月で、カロテンが最も高いのは5月です。
じゃあいつ食べるのがいいんだ?と。
一般的にグリーンアスパラガスの旬は、本州産で4〜5月、北海道産で6月とされています。
うーん・・・。
1月にビタミンCを摂りたいなら、柑橘類でも食べておいた方がいいんでしょうかね
栄養価も大切ですが、美味しさも大切なので。
それになにも、ビタミンCだけに執着して生きているわけではないですし、そもそもこの表は「その野菜の最大含有月」であって、「この月に一番栄養価の高い野菜」の一覧ではないのです。
まとめ
元々旬の時に栄養価が高いことは知っていましたが、ここまで違いが出るとは思っていませんでした。
これはあくまで同じ野菜での比較ですから、栄養価の低い時期だったとしても、他の野菜に比べたらずっと多い栄養素を蓄えている場合もあります。
技術の向上で通年色んな野菜が食べられるのはありがたいことではありますが、やはり旬の野菜を積極的に食べていこうと思わせられました。
昔から通年野菜はあったものの、旬の時期にしか出回らない野菜が多かったと思います。
今ではいつでも手に入るゴーヤも、20年前は夏の間でも東京で手に入れるのは困難でした。
その数年後からは真夏なら必ず手に入るようになり、今となっては、値段は高めで小さいですが真冬でも買えるようになりました。
昔は生産方法や流通経路や様々な事情により、「あえて旬のものを選んで食べる」というより、お店に季節野菜しか売られてないから季節野菜をたくさん食べていたという一面もあります。
でも旬に旬の食材を食べるというのは、「その時期にしか食べられない食材を季節感として楽しむ」という以外にも、「その時々で一番栄養価の高い野菜を食べる」など、色んな意味で理にかなっていたんでしょうね。
しかし、相変わらず野菜高いですよね・・・^^;
白菜なんて毎日食べても飽きないくらい大好きなのに、1玉600円〜800円って、高すぎます(ノД`)
参考: 野菜の旬と栄養価 〜旬を知り、豊かな食卓を〜