今後、美容師は生き残れるのか?
何らかの「あなたを選んでくれる理由」がなければ難しい。
しかし、5年後、10年後、同じようには難しい。
経営者になって、若い美容師をコキ使う事が出来れば生き残れる。
良心の呵責がなければやっていけるかも。
嫌われるけど。
小森純、元カリスマギャルモデルから“働くママに” 夫婦二人三脚の奮闘
17歳からファッション雑誌『Popteen』などでモデルとして活躍し、バラエティ番組でも自由奔放なぶっちゃけトークで人気を博した小森純。そんな彼女は今、JNA一級、ジェル検定上級取得ネイリストとしてサロン『エフネイル(ef nail)』を経営している。2児のママとなった彼女の人生の“現在地”とは──?
小森純は1985年、神奈川県生まれ。『EGO SYSTEM』、『Ranzuki』などのファッション雑誌の読者モデルとして人気となり、17歳で『Popteen』に初登場。“純ポ”の愛称で親しまれ、自身のプライベートや恋愛事情、“ギャル”というキャラクターを活かした自由奔放な発言などからテレビでも話題となった。
当時のテレビ業界はアイドルによる「彼氏がいない」などの業界の“嘘”や“予定調和”が徐々に見抜かれ始めていた時代。そんなときに“等身大”を武器にした小森純というタレントが自身の恋愛模様などを赤裸々に明かしたことが、視聴者の共感を得たのかもしれない。
現在はネイリストとして日々接客にいそしんでいるという彼女だが、今でもたまに“テレビの中の人たち”に話題が及ぶことも少なくないという。
「私も最近の芸能ニュースについてお客さんと話したりするんです。“こんなことありましたね、どう思います?”とかって人の意見を聞くんですね。人の気持ちを聞いてみたくて。人は芸能人のこと、どう思ってるんだろうって」
そんな小森は'11年に結婚。'14年6月に第一子となる男の子を出産し、'16年3月には次男を出産。つけまつげやジュエリーのプロデュースをするほか、料理も得意でレシピ本を出版。カフェのプロデュース、そしてネイリストとしてサロン『エフネイル(ef nail)』を経営している。はたして、その背景は?
スタッフの独立も応援するネイルサロンをオープン。働くママとして奮闘
ふたりの子どもの母親になった小森の子育ては大変なものだったという。大人の足で行けば片道5分で行けるスーパーにも、次男を抱いて、“外の世界への興味が尽きない”長男の手を引きながらだと、歩きで往復1時間半も時間をかかるのだという。「公園で授乳して“私なにやってるんだろう”って気持ちになったこともありましたよ(笑) メイクもまったくしなくなったし、産後太りもひどかった。歩くごとに太ももがすれて(笑)」と振り返る。元カリスマギャルモデルの面影はそこになかった。
「長男もまだ幼いなかで、またもうひとり赤ちゃんが生まれるという状況で考えたのが、『私は家で何したいんだ?』ということについてでした。子育てしながら家で家事したいのかな、掃除してたいのかな、ワンちゃんとずっと一緒にいたいのかな、映画見たいのかな、カフェ行きたいのかな……。そのうち、やりたいことのすべてにお金が必要だと思ったんです。『え、稼がなきゃじゃね?』的な(笑)」
コンビニのレジ打ちやスーパーのパートも考えた。だが「やりたいことを見つけてみよう」と決意した。そのころ、小森はネイルサロンに通っていた。
「ネイルってすごいなと思ったんです。女子の、そしてママの疲れをその時間だけ癒してくれる。たかだか爪なのにすごくハッピーにしてくれる。だから働き消耗した女性、育児に疲れた女性がいたら私がハッピーにしてあげたいと思いました」
自身が子育てに疲れたときに癒されたというネイルを職業に選んだ彼女。「しっかりとした技術と資格がなければ自分自身が胸を張って施術できないから」ということで自ら資格も取得した。
「店長でありセラピストでもあるので、夜までフルタイム出勤。お客さまを待たせないよう私がヘルプに入ることもあるので正直、暇な時間はありません。でも昭和の時代などを振り返ると、子育てをしながら働くというのは当たり前の風景。子どもをシッターさんに任せるのではなく自分でしっかり育てたいし、それは夫もそう思ってくれています。だから『頑張ればできる!』と自分に言い聞かせている感じですね。あとは単に自分がケチなこともありますけど(笑)」
現在も店舗の拡大を目指している。それはビジネス的な成功を目指していることもあるが、「うちのスタッフをいつか独立させてあげたいから」と小森。
「うちは“独立応援型サロン”でもあるんです。独立したいならうちで経営を学んでほしいし、できることは全部盗んでいってほしい。お客さんだって私についているわけではなく、そのスタッフについているのだから、そちらの店に通うようになるのもアリだと思う。……で、私は週1回、土曜日しか休みないんです(笑) 私がオーナーだからブラックも何も関係ない。当然私がいちばん働くでしょ? といった感じで」
こういったこともあり、サロンのユーザーからも「すごいね。こんなにヘルプ入ってるサロンってなかなかない」「ここのスタッフって仲いいね」などと好評。小森も「早い、うまい、スタッフがみんな優しい」をウリに今も経営を続けている。
数多くのテレビ出演をしていたころと同様、多忙をきわめる現在の彼女には夫のサポートも不可欠だ。共働きのため、夫にも家事や子育ての負担が増えていったが、「純が楽しそうに仕事をしている姿を見ているのはうれしい」との言葉をくれたのだという。特に「息子たちから見て、とてもカッコいい働くママになっているんじゃない?」と言われたときは本当にうれしかったと夫への感謝を口にした。
「仕事を始めたことで、子どもへの罪悪感も生まれました。息子たちともっと一緒にいたい、もっと成長を見届けてあげたい、風邪をひいたらすぐにお迎え行ってあげたい、いろんなことがあるんだけどなかなかできない。接客中に幼稚園から次男が熱だと電話来て。“お迎え来れますかママ?”と言われても、あと1時間は抜けられない。その間、苦しい思いをしながら待ってくれてるわけで……。
世の中の働くママたちって、本当にすごいって思うんです。よく両立していられるなって。働くママって子ども預けてられるから楽なんだろうなって思ってたんですけど、ごはんとか寝かしつけとか送り迎え、お弁当とか全然つらいんです。もちろん専業の方は専業の方で、よけい完璧なママを求められる。だから今、私はすべてのママたちを尊敬しているんです」
子育てでも持論を語る。
「息子によく言うのは『コレが欲しい』って言われたときにまず最初は『買えないよ』って言うんです。『なんで?』って聞き返されたら、お金を持っていたとしても『だってお金がないでしょ?』って。
『なんでお金がないの?』と言われたら、『働かなきゃお金はもらえないんだよ』と返します。頭の教育とか、運動の教育も大事ですけど、基本的な“生きる力”というものを教育したい。やっぱりしっかり働く大人になってほしいですから」
取り返しのつかない失敗、多くの困難を超え、ひとりの女性として、ひとりの社会人として、ひとりのママとして成長をし続ける小森純。「一度失敗したら再び這い上がるのは難しい」とされる日本の現状で、夫と二人三脚で奮闘をし続ける彼女の今後が楽しみだ。
(構成・文/衣輪晋一)