いつまで起きてる!
子供は早く寝て早く起きるものだ
遅くまで起きていると怖いお化けが出てくるぞ
・
・
さぁさぁ寝床に入ったら怖いお化けも出てこない
お父ちゃんが面白い話をして聞かしてやるから
それを聞いて寝んねするんだぞ
・
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に
川の上から大きな桃がドンブラコ、ドンブラコっと流れてきた
持って帰ってポンと割ると中から元気な男の子が生まれた
名前を桃太郎をつけた。
その子が鬼が島に鬼退治に行くって言った
おいしい黍団子を持たせてやると、
犬と猿と雉が出てきて一つくださいお供します。
・
お供を引き連れて鬼が島に攻め込んだ
桃太郎は強いんだぞ
鬼は降参をして山のようなお宝を出して謝った。
車に積んで、えんやらや、えんやらや持って帰っておじいさんとおばあさんに孝行した
・
面白いだろ、桃太郎さんの話
これ、寝てしまった
子供と言う者は罪がないな
って言っていたことは昔の話です。
昨今の子供はなかなかいう事を聞きません。
早く寝ないか!
えっ?なんで?
なんでって不思議そうな顔をするな
日が暮れたら寝るに決まっている
眠たいことない
お前は晩が遅いから朝起きられないんだぞ
早く寝なさい
眠くない
眠くなくっても寝ろ!
眠くなくっても寝ろって。。。君
君!?
親を友達みたいに思ってるのか?
子供がそんなに遅く起きていたら怖いお化けや幽霊が出てくるぞ
お化けや幽霊って、、、月に行く世の中なのに
お父さんは割りと可愛いこと言うな
早く寝床に入れ
眠くない
寝床に入れお父さんが面白い話をしてやる
それを聞きながら寝なさい
それは無理だ
話を聞くか、寝るかどっちかにしてもらわないと
聞きながら寝るってそんな器用なことが
良くごちゃごちゃ言うな
話を聞いてて眠くなったら寝ればいい
まぁ一遍やってみて
なんで上から目線なんだ
まぁいい良く聞けよ
・
昔々、、
何年ほど?
何年ほどって、、これはずっと前から昔々って決まってるんだ
昔って言っても年号ぐらいあるでしょ
元禄とか慶応とか明治とか
年号もないくらい昔だ
年号無いの?!
よっぽど昔なんだな
ある所に
どこ?
どこでもいいだろ!
親がある所にって言ったらある所にしとけ
ある所って場所はこの世にない
昔でも国の名前ぐらいはあるでしょ
大和とか河内とか摂津とか
国の名前も無いずっと昔だ
国の名前も無いの?
縄文時代より前・・・
知らん!
ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんの名前は?
いい加減にしろよ
そう次々に質問したら寝る間もないだろ
名前無い!名前も無い昔だ!
へぇ〜人間に名前の無い時代って言ったら相当昔だな
そうだ相当昔の話だ
おじいさんとおばあさんが住んでいたんだ
歳は?
歳は無い!
歳も無い昔だ!
それは無茶だよ
昔でも歳ぐらいはあるよ
一年たったら一つでしょ
始めはあったんだけど火事で焼けてなくなった
歳が火事で焼けてなくなったりしないよ
お前がごちゃごちゃ言うから全然話が進まない
少々わからなくっても「ふーん」って聞いていたら分かってくる
ふぅ〜ん
おじいさんは山へ柴刈りに
ふぅ〜ん
おばあさんは川へ洗濯に行った
ふぅ〜〜ん
川から桃が流れてきた
はぁぅ〜〜ん
馬鹿にしたらいかんぞ!
手が付けられないな
川から大きな桃が流れて来たんだ
それを持って帰って割ると中から男の子が生まれた
桃から生まれたから名前を桃太郎とつけた。
その子が鬼が島に鬼退治に行くって言ったので
おいしい黍団子を持たせてやると、
犬と猿と雉が出てきて一つくださいお供します。
・
お供を引き連れて鬼が島に攻め込んだ
犬が食いつくやら猿が引っ掻くやら、雉が目を突っつくやら
鬼は降参して山のようなお宝を出して謝った。
車に積んで、えんやらや、えんやらや持って帰っておじいさんとおばあさんに孝行した
・
なぁ面白いだろ
ほら寝ろ、寝ろって言ってんだろ
大きな目をむいて睨み付けている
あんなにしつこく言われるから寝てやってもいいなと思っていたんだんけど
あんまり阿保な事を言う者だから目が覚めてしまった
なんで?!
なんでってそれ桃太郎って話でしょ?
桃太郎って話は世界的にも名作、どこにでしても恥ずかしくない話だよ
それをあんな言われ方をすると値打ちも何もない
あれでは作者は悲しむ
何を生意気なこといってんだ
お前は何も知らないんだ
お父ちゃんこそ何も知らない
これはな、昔々ある所にって言うのは時代とか場所とはっきりしていない
わざとはっきりさせていないんだよ
子供に難しいこと言っても分からないけど、仮に大阪の話にしたら大阪ではなじみがあって良いかもしれないけど、東京の子供には分からない。東京の話にしたところで田舎に持ってたらなじみの無い話になってしまう。日本国中どこに持ってっても、どこの子供に聞かせてもはまるように「昔々ある所に」としてあるんだ
話がそれだけ大きくなってる
・
それでおじいさんとおばあさんが出てくるけど、本当はこれは両親だ
ちちとはは、点々をつけてじじとばば
けれど昔は年寄りと子供の方がなじみが深かったからおじいちゃんの話おばあちゃんの話としてある。
海に洗濯に行くことはできないから川へ洗濯としていある。
つまり父の恩は山よりも高く母の恩は海より深いという事を言いたいんだな
ふぅ〜ん!
あぁそうか成程なぁ!!
それからどうした?
川の上から桃が流れてきて割ったら子供ができたって、
そんな事があったら果物屋さんは子供だらけになってしまう。
人間のお腹から生まれた子供が鬼退治したら不自然になるから
神様から授かった子供になってるんだ
・
それからね、鬼が島ってところはこの世にない。
あれは渡る世間を鬼が島に例えている
人間として生まれたからには世の中の苦労をしないといけない
渡る世間に鬼はないって言うけどな、鬼ばっかりだよ
お父ちゃん、世間って言ったら恐ろしいところだよ、分かってる?
世の荒波に揉まれる、これが鬼が島の鬼退治ってこと。
・
犬と猿と雉が出てくるでしょ
動物だったらなんでもいいわけではなく
犬は三日飼えば三年恩を忘れぬといって仁義に篤い動物
猿は猿知恵って言って馬鹿にするけど人間をのぞいたら一番賢い
雉は勇気のある動物で、卵を温めている時に蛇が来たら巻すだけま巻かせといてぱっちんと切れ切れにはじいてしまうくらい落ち着いた鳥だ
つまりこの三匹は知仁勇を表しているんだ
これお母さん、寝ていないでこの話を聞きなさい
大人が聞いても為になる
それからどうした?
それからおいしい黍団子って言ったけどいい加減なこと言っちゃ駄目だよ
黍の団子って言うのはおいしい物じゃない
黍は五穀のお米や麦に比べたら粗末なもの、つまり贅沢をしてはいけない教えがこの黍の団子だな
人間として生まれた以上は鬼が島って言う世の中の苦労をしないといけない
その時に贅沢せずに質素を守って、先ほどの知仁勇の徳を身に着けて一生懸命働いて
色んな目に会い、色んな苦労をして鬼を退治する
そして山のようなお宝って言うのは世間に出て身に着ける信用や名誉や財産を持って帰って、世の中の役に立つ一人前に人間になって親に孝行して家の名前を挙げる
これが人間として一番大切な事だという事を昔の人が子供でも分かるように面白い様に作ったんだ
・
こんなによく出来た話なのにあんな言い方したら名の値打ちも無いよ
お父ちゃん、僕の前だから良いけど他所で言ったらいけない、恥をかくよ
親の恥はこの恥だからね。
僕も言うの辛いんだからねお父ちゃん、、、、、
あぁ寝てしまっている
今どきの親は罪がないなぁ
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