この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
広告
posted by fanblog
2017年07月29日
持参金
今は十円と言ったら大した金額ではありませんが
昔は十円に価値があった時代の話です。
おはよう
おっどうしましたか?
お前のことだからまだ寝ているだろうと思いながら来たんだけど起きてたな
いつもだったらまだ寝てるんだけど
どいう訳か今日は早く目が覚めてしまった
朝早く起きることはいいことだ
昔の人は良い事を言ったな
早起きは三両、宵寝は五両って言ってな
でも朝早く起きてもお前みたいに床でゴロゴロしていたんではいけないぞ
まぁそんなことはいい
ちょっと頼みが在ってきたんだ
なんですか?
ずっと前にお前に二十円を用立てたことが在ったな
申し訳ございません
ほったらかしにしてしまって
いや、偉そうに催促できないっていうのは
あれを貸した時に昔お前のお父さんに世話してもらった
恩返しとして貸すんだからいつまでに返せと言わない
都合がついたら返してくれたらいいって生意気な事を言ってしまった。
そんなことを言って申し訳ないけど返しくれないか?
そんな言い方されたらこっちが辛い
今度の節季までには、
今度の節季って悠長なことを言ってもらっては困る
お急ぎですね。
まぁ七日待って頂けたら
七日も待てないんだ
四、五日までに
四、五日も待てないんだ
二、三日・・・
二、三日も具合悪いんだ
明日、、、
明日も困るんだ
無理は承知で言っている
今日の晩方までには用意してくれ、手元になったら他所で借りて
借金は借金としてわしが返してもいいから晩方まで必要なんだ
頼むぞ!さようなら
あっ!!ちょっと待って!
行ってしまった
たまに早起きしたらろくなことが無い
借りた金忘れてたんだ
財布を逆さに振っても五十銭もないのに晩方までに二十円なんて
もう一回寝直そうかなぁ
おはようさん
お前のことだからまだ寝ていると思ったんだが、朝早く起きることは良い事だ
早起きは三両、宵寝は五両って言って
それは先ほどやったは
昔の人が言ったことは当てにならん
そんなことないと思うけどな・・・
しかしお前みたいに寝床でゴロゴロしてるのは勿体ない
一遍外を歩いてくるなりしたらどうだ?
中でぐうたらしていたら病気になるぞ
それと言うのもお前がやもめ(独り身)だからだぞ
嫁でも貰ったらどうだ?
一人でも食いかねてるのに、嫁なんか貰えませんよ
昔から・・・
また昔ですか
まぁ黙って聞け
一人口は食えぬが二人口は食えるって言われてるんだ
一人だったら駄目なのに二人だったら食っていけるのか?
独り身ほど金のかかることは無い
おかずを作るのが面倒になってお店で食べてきたりする。
お店で食べるお金で嫁さんがおったら一日三度夫婦のおかず代になる
酒でも外で飲んできたら金がかかるが、酒屋で買った酒で嫁さん相手に飲んだら倍飲める
着るものも、汚れたり破けたりしたら嫁さんが直してくる
朝でもお前が顔を洗っている間に、ちゃんと寝床が片付いて御飯まで出来てる
上と下ではえらい違いだ!嫁を貰え
しかし俺みたいな所に来る奴なんか要るのかな
自分だってあても無く言ってるわけではない
歳は二十二で、すごく美人ってわけではないけど、背がスラッと
高い?
低くって
色がくっきりと黒い
スラッと低くって、くっきりと黒いんですか、、、
まぁ鼻はちょっと遠慮してるほうだな
両方の眉毛の長さが違うところに愛嬌があるな
目は小さいけど、口は大きい
まぁ縫い針とか女一通りさせても半人前だけど飯は五人前食べる
人との応対とか折り目切目の挨拶は上手くやらないが要らないこと良くしゃべる
仕事は遅いが、つまみ食いは早いぞ
しかしこれ言っておかないといけないのはこの女には一つ傷が在る
一つ!!
まだ何かあるのか?!
お腹に子供がおってもうすぐ産み月なんだ
この女を嫁さんにもらう気はないか?
・・・ちょっと考えさせてもらいます
悪い話じゃないと思うけどな
あまりいい話でもないでしょ
気に入らないならしょうがない
これは縁の問題だからなぁ
こんな女でも金の二十円もつければ誰かしら貰ってくれるだろう
それじゃ、邪魔したな
ちょ、ちょっと待った!
そう気を短くしないでじっくりと
何を言ってるんだ
金が二十円つくのか?
こんな女だからな
持参金というものじゃないけど二十円だけ用意させてある
左様か、貰おう
えっ?
この女を貰うのか?
嫁さん付きで二十円貰いましょう
違うだろ
二十円付きで嫁さんを貰うんだろ
どっちだっていいって
真面目に言ってるのか?
この傷のことも承知だな?
傷って何ですか
お腹の子供のこと
お腹に子供がおったら傷ですか?
これから縁談する相手のお腹に子供がおったら立派な傷だ
そうですか?
私はそうは思わない
男のお腹に子供が在ったら傷ですが、女のお腹に子供が在るのは当たり前だろ
・
考えて見なさい
長年連れ添った夫婦でも子供いなかったら、赤の他人を養子に迎えて身代を譲る人もおる。
それを考えたら、こちらは片方は本物だ
考えようだな
この話は進めてもいいな
進めていいって悠長なこと言ってないで今晩貰いましょう
猫の子を貰うんじゃないぞ
嫁を貰うんだぞ
誰かに相談するなり、
それが誰もいない
親もいないし、兄弟もいない、親類は付き合っていない
己が得心したらそれでいい
身軽な身体だな
でも今晩って
今晩だから貰うんだ
明日になったらいらん
お前の話どっか間違ってないか?
なんなら、二十円だけ今晩で嫁さんは来年でもいい
そんなこと出来るか
そうと決まったら向こうも事情が事情だから急いでるんだ
本人が得心したなら今晩連れてくることにしよう
よろしくお願いします。
お茶も出さずに
そうと決まったらこの部屋をちょっとは小奇麗にしとけよ
乞食も身祝っていうからイワシでもいいから尾頭付きを用意して
悪い酒の二合でもいいから、あとお前のところに盃はないだろ
大家のところに行って借りて来い
こんな貧乏長屋でも盃の真似事でもしたい
それでは今晩
えぇすみませんな
・
・
・
起きてすぐに忘れていた借金を催促されたかと思うと
今度は同じ額の金を持って嫁さんが来るって
昨夜寝るまで何も考えてなかった
先ほどは、、おい
また寝床でゴロゴロしているんのか?
走って金の工面してくれよ
それが出来たんだ
えっ。金の段取りができたって?
寝床でゴロゴロしてて金の算段が出来たのか?
面白いもんだな
出来ないときは走ってもできないのに、
出来るときは寝てても向こうから転がり込んでくる
ほんどかそれは?当てにしても良いのか?
えぇ暗くなった時分になったら来てください
助かった、すまん
それじゃな
ややこしい一日が終わり、この男は掃除したり、風呂行ったり、盃を借りたり酒を買ったりと用意しているところに、金物屋の佐助さんが花嫁を連れてやってきました。
はい、こんばんは
誠にお日柄も宜しくって
あぁ!二十円!!
まぁまぁ待て!
さぁ上げて貰いなさい
遠慮しないでいい、今日からあなたの家になるんだから
盃の準備は出来てるか?
・
・
さて話をしていたのはこの人だ
お前さん同様に身寄り便りの誠に少ない人だ
一つ目をかけてやってくれ
それでなあまり気になることをポンポン言ってやるなよ
お前も困ったことがあったら一人で悩まないでこっちに相談したらいいから
・
さぁこれをぐっと飲んだら、盃を、
・
これをこっちに回して納の盃だ
もうわしも何遍も仲人をさせてもらった
わしが仲人した者たちはみんな上手く言っている
ちゃんと収まって幸せになってもらうように
これで盃事も無事に終了した
仲人は宵の口と言うからな
わしはこれでお開きということで
ちょ、ちょっっと、、あれは?!
あれってなんだ?
二十円!!
あぁ二十円・・・。
ちょっと忘れた
忘れたら駄目だろ
嫁さん忘れてもいいけど
ちょっと都合が在って明日の朝ってことになったんだ
だけど今晩って
わしだって金物屋の看板をかけてやってんだ。
二十円やそこいらの額で逃げ隠れしないぞ
明日の朝間違いなく届けてやるから
早くに頼みますよ!
・
・
・
何か騙されたな
二十円明日になって嫁だけおいて行きやがって
・
なんか照れくさいな
隅の方で小さくなってないでもうちょっとこっちに来なさい
将棋、、は知らないか・・・
もう寝ようか・・・
明くる日の朝
おはよう
あ、どうも
昨日はすまなかった。
田舎の取引先が来て、その人は私が相手しないといけなかった
後の酒の席まで付き合ってしまって遅くなってしまったんだ
二十円出来てるか?
それがうちも今朝ってことになって・・・。
えぇ?大丈夫か?
確かな人が請け負ってくれてますので大丈夫です。
もうそろそろだと思います。
いやぁわしもな番頭だと言っても奉公人だ
そうそう出たり入ったりは出来ないから
ちょっとここで待たしてもらうことは出来るか?
一服してください
もう持ってきてくれると思います。
いやでも今回はお前が胸を叩いてくれて助かった
わしだってこの町内古いんだ
わしが頼めば二十円の金貸してくれる人はいる
でも今度ばかりはちょっと事情が在って人に言いにくいんだ
・
・
恥を言わないと分からないが、実は中持の寄り合いが在って
旦那が風邪で代わりに行ったんだ。
酒の席で旦那の名代なら飲まないかんって、うちの旦那酒が好きだから
で八方から酒を飲んで悪酔いしてしまって家に帰って上げたり下げたりして
で、うちにお鍋って女中がいるんだけど知ってるか?
知ってると思うんだけどなぁ
不細工な女子なんだけどそれが顔に似合わず親切な子で
わしが苦しんでいたら水を汲んでくれたり薬持ってきてくれたり介抱してくれた
・
こっちも気分が落ち着いてくるとうちの二階は誰もいない
若い男と女が二人っきり酒の勢いも手伝ってややこしい事になってしまった
そうなると一人者同士だろちょいちょい通うようになって相手は受け身でお腹が・・・。
別居を前に旦那にこんなことを知られたら大変だ
そこで金物屋佐助さんに相談したら、
金の二十円くらいつけたらどこかの阿保が貰ってくれるだろうって頼んでいたんだ
そうしたら昨日その阿保がおったんだって気の変わらないうちにまとめたいから。
お前ばっかり攻め立てて本当に申し訳ない
ほおぉ・・・実は私昨日嫁を貰いました
えぇ!なんで言ってくれなかったんだ
そんなお取込み中の所に、こんな話持ってこなかったのに
しかし、めでたいな
めでたいような、めでたくないような・・・
何がだ?
金物屋の佐助山から紹介を受けまして嫁さんを貰いました
えっ?
それは別の話では
別じゃない
お腹が身ごもっていて不細工な女子
あのお鍋?!
じゃ貰ってくれるあ、、相手っていうのはお前のことだったのか?
そうらしい
どうしたらいい?
どうしたもこうしたも、昨日杯から何から済ましてしまった
まぁあの人を私が引き受けたら宜しいんでしょ
何もかも承知の上で収まってくれるか?
もう夫婦の盃をしてしまった
私だってお腹の子供の父親が誰か分からないよりは
あんただって分かっていたら何かの時に頼りにするから
気にしなくって大丈夫、あの人を引き受けたらそれで宜しいんでしょ
重ね重ね本当にすまん
あの二十円はどうなる?
もう佐助さんが持ってきてくれるはず
佐助さんはうちでわしが二十円持って帰るのを待っているぞ
えぇ!
じゃいくら待っててもしょうがない理屈になる
そうなるな
まぁこの手ぬぐいを二十円としましょう
あなたに返します
長々と有難う御座いました。
確かに受け取った
これを佐助さんに渡して、そうしたら佐助さんがここに持ってくる
ぐるっとひと回りしますね
本当に金は天下の回り物だな
昔は十円に価値があった時代の話です。
おはよう
おっどうしましたか?
お前のことだからまだ寝ているだろうと思いながら来たんだけど起きてたな
いつもだったらまだ寝てるんだけど
どいう訳か今日は早く目が覚めてしまった
朝早く起きることはいいことだ
昔の人は良い事を言ったな
早起きは三両、宵寝は五両って言ってな
でも朝早く起きてもお前みたいに床でゴロゴロしていたんではいけないぞ
まぁそんなことはいい
ちょっと頼みが在ってきたんだ
なんですか?
ずっと前にお前に二十円を用立てたことが在ったな
申し訳ございません
ほったらかしにしてしまって
いや、偉そうに催促できないっていうのは
あれを貸した時に昔お前のお父さんに世話してもらった
恩返しとして貸すんだからいつまでに返せと言わない
都合がついたら返してくれたらいいって生意気な事を言ってしまった。
そんなことを言って申し訳ないけど返しくれないか?
そんな言い方されたらこっちが辛い
今度の節季までには、
今度の節季って悠長なことを言ってもらっては困る
お急ぎですね。
まぁ七日待って頂けたら
七日も待てないんだ
四、五日までに
四、五日も待てないんだ
二、三日・・・
二、三日も具合悪いんだ
明日、、、
明日も困るんだ
無理は承知で言っている
今日の晩方までには用意してくれ、手元になったら他所で借りて
借金は借金としてわしが返してもいいから晩方まで必要なんだ
頼むぞ!さようなら
あっ!!ちょっと待って!
行ってしまった
たまに早起きしたらろくなことが無い
借りた金忘れてたんだ
財布を逆さに振っても五十銭もないのに晩方までに二十円なんて
もう一回寝直そうかなぁ
おはようさん
お前のことだからまだ寝ていると思ったんだが、朝早く起きることは良い事だ
早起きは三両、宵寝は五両って言って
それは先ほどやったは
昔の人が言ったことは当てにならん
そんなことないと思うけどな・・・
しかしお前みたいに寝床でゴロゴロしてるのは勿体ない
一遍外を歩いてくるなりしたらどうだ?
中でぐうたらしていたら病気になるぞ
それと言うのもお前がやもめ(独り身)だからだぞ
嫁でも貰ったらどうだ?
一人でも食いかねてるのに、嫁なんか貰えませんよ
昔から・・・
また昔ですか
まぁ黙って聞け
一人口は食えぬが二人口は食えるって言われてるんだ
一人だったら駄目なのに二人だったら食っていけるのか?
独り身ほど金のかかることは無い
おかずを作るのが面倒になってお店で食べてきたりする。
お店で食べるお金で嫁さんがおったら一日三度夫婦のおかず代になる
酒でも外で飲んできたら金がかかるが、酒屋で買った酒で嫁さん相手に飲んだら倍飲める
着るものも、汚れたり破けたりしたら嫁さんが直してくる
朝でもお前が顔を洗っている間に、ちゃんと寝床が片付いて御飯まで出来てる
上と下ではえらい違いだ!嫁を貰え
しかし俺みたいな所に来る奴なんか要るのかな
自分だってあても無く言ってるわけではない
歳は二十二で、すごく美人ってわけではないけど、背がスラッと
高い?
低くって
色がくっきりと黒い
スラッと低くって、くっきりと黒いんですか、、、
まぁ鼻はちょっと遠慮してるほうだな
両方の眉毛の長さが違うところに愛嬌があるな
目は小さいけど、口は大きい
まぁ縫い針とか女一通りさせても半人前だけど飯は五人前食べる
人との応対とか折り目切目の挨拶は上手くやらないが要らないこと良くしゃべる
仕事は遅いが、つまみ食いは早いぞ
しかしこれ言っておかないといけないのはこの女には一つ傷が在る
一つ!!
まだ何かあるのか?!
お腹に子供がおってもうすぐ産み月なんだ
この女を嫁さんにもらう気はないか?
・・・ちょっと考えさせてもらいます
悪い話じゃないと思うけどな
あまりいい話でもないでしょ
気に入らないならしょうがない
これは縁の問題だからなぁ
こんな女でも金の二十円もつければ誰かしら貰ってくれるだろう
それじゃ、邪魔したな
ちょ、ちょっと待った!
そう気を短くしないでじっくりと
何を言ってるんだ
金が二十円つくのか?
こんな女だからな
持参金というものじゃないけど二十円だけ用意させてある
左様か、貰おう
えっ?
この女を貰うのか?
嫁さん付きで二十円貰いましょう
違うだろ
二十円付きで嫁さんを貰うんだろ
どっちだっていいって
真面目に言ってるのか?
この傷のことも承知だな?
傷って何ですか
お腹の子供のこと
お腹に子供がおったら傷ですか?
これから縁談する相手のお腹に子供がおったら立派な傷だ
そうですか?
私はそうは思わない
男のお腹に子供が在ったら傷ですが、女のお腹に子供が在るのは当たり前だろ
・
考えて見なさい
長年連れ添った夫婦でも子供いなかったら、赤の他人を養子に迎えて身代を譲る人もおる。
それを考えたら、こちらは片方は本物だ
考えようだな
この話は進めてもいいな
進めていいって悠長なこと言ってないで今晩貰いましょう
猫の子を貰うんじゃないぞ
嫁を貰うんだぞ
誰かに相談するなり、
それが誰もいない
親もいないし、兄弟もいない、親類は付き合っていない
己が得心したらそれでいい
身軽な身体だな
でも今晩って
今晩だから貰うんだ
明日になったらいらん
お前の話どっか間違ってないか?
なんなら、二十円だけ今晩で嫁さんは来年でもいい
そんなこと出来るか
そうと決まったら向こうも事情が事情だから急いでるんだ
本人が得心したなら今晩連れてくることにしよう
よろしくお願いします。
お茶も出さずに
そうと決まったらこの部屋をちょっとは小奇麗にしとけよ
乞食も身祝っていうからイワシでもいいから尾頭付きを用意して
悪い酒の二合でもいいから、あとお前のところに盃はないだろ
大家のところに行って借りて来い
こんな貧乏長屋でも盃の真似事でもしたい
それでは今晩
えぇすみませんな
・
・
・
起きてすぐに忘れていた借金を催促されたかと思うと
今度は同じ額の金を持って嫁さんが来るって
昨夜寝るまで何も考えてなかった
先ほどは、、おい
また寝床でゴロゴロしているんのか?
走って金の工面してくれよ
それが出来たんだ
えっ。金の段取りができたって?
寝床でゴロゴロしてて金の算段が出来たのか?
面白いもんだな
出来ないときは走ってもできないのに、
出来るときは寝てても向こうから転がり込んでくる
ほんどかそれは?当てにしても良いのか?
えぇ暗くなった時分になったら来てください
助かった、すまん
それじゃな
ややこしい一日が終わり、この男は掃除したり、風呂行ったり、盃を借りたり酒を買ったりと用意しているところに、金物屋の佐助さんが花嫁を連れてやってきました。
はい、こんばんは
誠にお日柄も宜しくって
あぁ!二十円!!
まぁまぁ待て!
さぁ上げて貰いなさい
遠慮しないでいい、今日からあなたの家になるんだから
盃の準備は出来てるか?
・
・
さて話をしていたのはこの人だ
お前さん同様に身寄り便りの誠に少ない人だ
一つ目をかけてやってくれ
それでなあまり気になることをポンポン言ってやるなよ
お前も困ったことがあったら一人で悩まないでこっちに相談したらいいから
・
さぁこれをぐっと飲んだら、盃を、
・
これをこっちに回して納の盃だ
もうわしも何遍も仲人をさせてもらった
わしが仲人した者たちはみんな上手く言っている
ちゃんと収まって幸せになってもらうように
これで盃事も無事に終了した
仲人は宵の口と言うからな
わしはこれでお開きということで
ちょ、ちょっっと、、あれは?!
あれってなんだ?
二十円!!
あぁ二十円・・・。
ちょっと忘れた
忘れたら駄目だろ
嫁さん忘れてもいいけど
ちょっと都合が在って明日の朝ってことになったんだ
だけど今晩って
わしだって金物屋の看板をかけてやってんだ。
二十円やそこいらの額で逃げ隠れしないぞ
明日の朝間違いなく届けてやるから
早くに頼みますよ!
・
・
・
何か騙されたな
二十円明日になって嫁だけおいて行きやがって
・
なんか照れくさいな
隅の方で小さくなってないでもうちょっとこっちに来なさい
将棋、、は知らないか・・・
もう寝ようか・・・
明くる日の朝
おはよう
あ、どうも
昨日はすまなかった。
田舎の取引先が来て、その人は私が相手しないといけなかった
後の酒の席まで付き合ってしまって遅くなってしまったんだ
二十円出来てるか?
それがうちも今朝ってことになって・・・。
えぇ?大丈夫か?
確かな人が請け負ってくれてますので大丈夫です。
もうそろそろだと思います。
いやぁわしもな番頭だと言っても奉公人だ
そうそう出たり入ったりは出来ないから
ちょっとここで待たしてもらうことは出来るか?
一服してください
もう持ってきてくれると思います。
いやでも今回はお前が胸を叩いてくれて助かった
わしだってこの町内古いんだ
わしが頼めば二十円の金貸してくれる人はいる
でも今度ばかりはちょっと事情が在って人に言いにくいんだ
・
・
恥を言わないと分からないが、実は中持の寄り合いが在って
旦那が風邪で代わりに行ったんだ。
酒の席で旦那の名代なら飲まないかんって、うちの旦那酒が好きだから
で八方から酒を飲んで悪酔いしてしまって家に帰って上げたり下げたりして
で、うちにお鍋って女中がいるんだけど知ってるか?
知ってると思うんだけどなぁ
不細工な女子なんだけどそれが顔に似合わず親切な子で
わしが苦しんでいたら水を汲んでくれたり薬持ってきてくれたり介抱してくれた
・
こっちも気分が落ち着いてくるとうちの二階は誰もいない
若い男と女が二人っきり酒の勢いも手伝ってややこしい事になってしまった
そうなると一人者同士だろちょいちょい通うようになって相手は受け身でお腹が・・・。
別居を前に旦那にこんなことを知られたら大変だ
そこで金物屋佐助さんに相談したら、
金の二十円くらいつけたらどこかの阿保が貰ってくれるだろうって頼んでいたんだ
そうしたら昨日その阿保がおったんだって気の変わらないうちにまとめたいから。
お前ばっかり攻め立てて本当に申し訳ない
ほおぉ・・・実は私昨日嫁を貰いました
えぇ!なんで言ってくれなかったんだ
そんなお取込み中の所に、こんな話持ってこなかったのに
しかし、めでたいな
めでたいような、めでたくないような・・・
何がだ?
金物屋の佐助山から紹介を受けまして嫁さんを貰いました
えっ?
それは別の話では
別じゃない
お腹が身ごもっていて不細工な女子
あのお鍋?!
じゃ貰ってくれるあ、、相手っていうのはお前のことだったのか?
そうらしい
どうしたらいい?
どうしたもこうしたも、昨日杯から何から済ましてしまった
まぁあの人を私が引き受けたら宜しいんでしょ
何もかも承知の上で収まってくれるか?
もう夫婦の盃をしてしまった
私だってお腹の子供の父親が誰か分からないよりは
あんただって分かっていたら何かの時に頼りにするから
気にしなくって大丈夫、あの人を引き受けたらそれで宜しいんでしょ
重ね重ね本当にすまん
あの二十円はどうなる?
もう佐助さんが持ってきてくれるはず
佐助さんはうちでわしが二十円持って帰るのを待っているぞ
えぇ!
じゃいくら待っててもしょうがない理屈になる
そうなるな
まぁこの手ぬぐいを二十円としましょう
あなたに返します
長々と有難う御座いました。
確かに受け取った
これを佐助さんに渡して、そうしたら佐助さんがここに持ってくる
ぐるっとひと回りしますね
本当に金は天下の回り物だな
2017年07月27日
ちりとてちん
喜さん、気を使わずにやっておくれ、あり合わせの料理が並んでいるだけだから
お酒だけがな、ちょっと上等のを仕入れてあるんだ
京都の知り合いが送ってくれた白菊と言う銘酒らしいが知っているか?
なんでございますか旦様、白菊が手に入った?!
京都の中でも一番の銘酒として有名なお酒で中々手に入らないと言われている
えぇ私も名前だけは知っていますが頂くの初めてでございます
左様でございますか、えぇそれでは頂戴いたします。
.
これはいい香りしておりますな。
どんな味がするんでございましょう
ごくごくごく
あぁ〜〜!
評判通り銘酒間違いございません
昔から良いお酒は呑もうと思わずとも酒のほうから自然に口に入ると言われております。
このお酒はまさしくその通りでございます。
私はどんな味かと口をつけただけなのに
お酒のほうから勝手に口の中に流れ込んできます
ごくごくごく
引っかかりませんな
いえいえ、そんなガブガブ呑んでしまったら
酔っ払って帰れなくなってしまいます
・・何をおっしゃいますか、、ですか、、それでは一杯頂戴いたします
・
昔から初物頂いたら寿命が七十五日伸びると言われておりますがおかげで長生きさせて頂きます
有難うございます
いやいや、気に入ってもらえたら結構
どんどんやっておくれ
つまんで貰わないといけないけど
あり合わせの物ばかりだからな
口に合うか分からないけど、この鯛の造り
この刺身はどうだ
鯛の刺身!
初めてでございます
鯛の刺身くらい食べたことがあるだろ
いえいえ、鯛の塩焼きぐらいは食べたことがありますが
活造りなんて初めてでございます
これが鯛の造り綺麗でございますな
頂戴いたします。
もぐもぐ
うん!
身がぷりぷりしていて
あぁわさびが効きすぎて・・・
これは呑まないとしょうがない
ごくごく
鯛も初めてでこれでまた寿命が延びます
いちいち大層に言うことない
あのな、うちの家内がこしらえた茶碗蒸しどうだ?
茶碗蒸し?!
初めてでございます
何でも初めてだな・・
茶碗蒸しくらい
いえいえこんな料理があるなんて
蓋してありますな
取らせていただきます
うわぁ湯気が上がっていい香りが
上に柚子の皮が乗せてございますな
手間なことを、まるで料亭なようなことをなさっておりますな
中に具が入ってございます
これは海老ですか贅沢ですな
この黒い食べ物は、、アナゴ?
田んぼに跳んでいる?、、あれはイナゴですか
おっこれは何ですか
・・えっ銀杏??
あらぁ前から銀杏どんなん、こんなんでございますか?
あんた一人でよく遊びなさるな
・・え?鰻が焼けてきた?
丁度良かった。鰻が焼けてきたそうだ
酒の肴にするのも良いけど丁度炊き立てのご飯がある
うな丼にして食べて帰ったらどうだ?
遠慮することない
ご飯??
初めてでございます
アホなことをご飯初めてって
いや、しかしあんたは嬉しい人だな
何を出しても美味しいと喜んでくれる
あんたに比べたら裏に住んでるの竹という男、憎たらしい男だ
何を出しても旨いとか美味しいとか言ったことが一度もない
・
何時もお昼時に来て、私がご飯食べている時だから「食べていくか?」って言うと「食べたくないけど、食べてあげましょうか?」って
ご飯をよそってあげると「色が悪い」とか「芯が有る」とか
おかず食べて「しょっぱい」だの
これでご飯を五杯食べて行くんだ
これはむかつくだろ?
・
珍しいもの出しても喜ばないんだ
「前これ食べました。知っています。あんま美味しいことありません」
本当は知らないんだけど知ったかぶりをするんだ
あんたも笑っているところをみると同じめに会ったか?
・
・
これこれ!
そっちで何を騒いでいる?
豆腐が腐って面白くなっている?
もったいない何をしているんだ・・・
そうだ話のネタにこっちへ持ってきなさい
・
うわぁこんな風になるのか?
小さく黄色く縮んで、あっちこっちから赤や緑のカビが生えてる
うわぁ臭い、、えらい酸っぱい臭いが
見てみなさい豆腐の腐ったやつだ
豆腐の腐ったやつなんて初めてでございます
食べる気ですか??
流石にあんたでもこれは食べれないだろ
もったいないなぁ
世間には変わった人がいてこれが洒落ていると言って食べる人もいるけど・・・
・・・わしにちょっと面白いこと思いついたんだけどな
だいたい分かりますよw
分かるかい?
豆腐の腐ったやつをあの知ったかぶりの竹に食べさせるんだ
どこぞの名物名産の珍味だって言って前に出したら知っているって言うに違いない
これを口に入れてもがき苦しむだろう、、、その姿みて楽しもうじゃないか
旦さん、盛り上がってまいりましたなぁ!
是非ともやりましょう
豆腐っていうことが分からないように潰して
醤油を入れて味付け味付け、、、
味見はできないけどもな
毒消しにワサビを入れておこう
これをあいつの前に出して珍味の名前をつけないと
そうだあいつ長崎に行っていたって言うから長崎の名産にしよう
ほう、長崎の名産はどういう名前がよいでしょうな?
そうだな長崎らしい名前が良いな
カステラやチャンポンなんかそういう感じが良いな
長崎の名産・・・カスポンはどうでしょう
それはカステラとチャンポンを合わせただけだろ
なんか無いかな・・・
あら、、奥から三味線の音色が聴こえてきますね
お嬢様が習い事している
ちんとんしゃん ちんとんしゃん♪
ちりとてちん ちりとてちん♪
旦様、この音色のちりとてちんって言うのはいかがでしょう
そんなの合うか?
長崎名産「ちりとてちん」・・・合うじゃないか!!
・
これ!これをそっちに持って行ってしっかりした折箱に入れて
蓋をして厚手の半紙で包んでくれ竹に食べさせるんだけど
名前が決まったから「長崎名産ちりとてちん」って書いといてくれ
また理屈つけてくるからな「元祖」って入れといてな
それから竹を呼んできておくれ
竹が来た
旦さん!
呑んでいるんだったら呼んでくださいよ
いや、お酒の相手しますけど口が肥えているから
しょうもないお酒は呑みませんよ
何呑んでいるんですか?
え?白菊・・しょうもないお酒だ
名前ばかり売れて甘くってべたべたで美味しいことない
初めて?情けないな・・
こんなお酒何回も呑んでますよ
いや付き合いだから頂きますけど
ごくごくごく
あっま〜
ごくごくごく
ぷふぁ、なんて言う名前だっけ?
白菊??もう一杯!
文句言うんだったら呑まなきゃいいのに、相変わらずだな
つまんで貰わないといけないのに鯛のお刺身だったり茶碗蒸しだったり・・
旦さん。あのね私をこういう席に呼ぶんだったら
そんなありきたりなものじゃなくって粋なものや洒落たもの
なかなか手に入らない珍味を用意しないと駄目ですよ
・・・お前さん今何言った?珍味が食べたい。
いきなり珍味から食べますか???
いやいや実は珍味を一つ用意してあるんだ、食べるか?
食べますけど何処の珍味ですか?
長崎の名産らしい
長崎行っていました
知っています
これは本当に珍しいから多分おたくさんでも知らないと思うがな
何言ってるんですか
長崎に行っていたから知っています
あのな長崎名産ちりとてちんって言うんだ
長崎名産ちりとてちん?
・・・・知っています
ちりとてちん知っているか?
知っていますよ
あれは朝・昼・晩と三食、食べていましたから
ほう好物みたいだな
もちろん
お酒の肴によしご飯のおかずによし
旦さん、あのね最近は偽物も出回っているんです
本物の「ちりとてちん」じゃないと美味しくない
ほぉお・・・ちりとてちんに偽物がある・・・・
そこまで言うか・・・・
いやいや見てもらおう持ってこさせるから
・
・
これ!!こっちに持ってきてくれ
さっき貰って置いといた「ちりとてちん」
竹が大好物だそうだ
長崎名産ちりとてちん「元祖」、本物です!
本物は「元祖」で偽物は「本家」って書くんです。
やっぱりね、元祖のちりとてちんは・・くっさ!!
えらい臭いですね
え?えらい臭いって知っているんじゃないのか?
あっ、懐かしい臭いです
私この臭いだけで涙が止まりません
これは腐っているんじゃなく醗酵しているんです
お宅らは駄目なんですか?
情けない・・こんな洒落たものを食べれないなんて
珍味ですからがばがば食べるもんじゃないんです。
ちょっと、一口、これだけでお酒が進みます
これね、、目がピリピリしています
長崎の人は食べる前に目で味わうんです
ええ、、頂きます、、
もぐ
うぐぅ。。
うんんんあ゛ぁぁ
がぁっ・・・・・・・オイシ
涙が出てるぞ
涙が出るほど美味しいです
そうか、わしは食べたことないけど
ちりとてちんは、どんな味がするんだ?
丁度、豆腐が腐ったような味です
お酒だけがな、ちょっと上等のを仕入れてあるんだ
京都の知り合いが送ってくれた白菊と言う銘酒らしいが知っているか?
なんでございますか旦様、白菊が手に入った?!
京都の中でも一番の銘酒として有名なお酒で中々手に入らないと言われている
えぇ私も名前だけは知っていますが頂くの初めてでございます
左様でございますか、えぇそれでは頂戴いたします。
.
これはいい香りしておりますな。
どんな味がするんでございましょう
ごくごくごく
あぁ〜〜!
評判通り銘酒間違いございません
昔から良いお酒は呑もうと思わずとも酒のほうから自然に口に入ると言われております。
このお酒はまさしくその通りでございます。
私はどんな味かと口をつけただけなのに
お酒のほうから勝手に口の中に流れ込んできます
ごくごくごく
引っかかりませんな
いえいえ、そんなガブガブ呑んでしまったら
酔っ払って帰れなくなってしまいます
・・何をおっしゃいますか、、ですか、、それでは一杯頂戴いたします
・
昔から初物頂いたら寿命が七十五日伸びると言われておりますがおかげで長生きさせて頂きます
有難うございます
いやいや、気に入ってもらえたら結構
どんどんやっておくれ
つまんで貰わないといけないけど
あり合わせの物ばかりだからな
口に合うか分からないけど、この鯛の造り
この刺身はどうだ
鯛の刺身!
初めてでございます
鯛の刺身くらい食べたことがあるだろ
いえいえ、鯛の塩焼きぐらいは食べたことがありますが
活造りなんて初めてでございます
これが鯛の造り綺麗でございますな
頂戴いたします。
もぐもぐ
うん!
身がぷりぷりしていて
あぁわさびが効きすぎて・・・
これは呑まないとしょうがない
ごくごく
鯛も初めてでこれでまた寿命が延びます
いちいち大層に言うことない
あのな、うちの家内がこしらえた茶碗蒸しどうだ?
茶碗蒸し?!
初めてでございます
何でも初めてだな・・
茶碗蒸しくらい
いえいえこんな料理があるなんて
蓋してありますな
取らせていただきます
うわぁ湯気が上がっていい香りが
上に柚子の皮が乗せてございますな
手間なことを、まるで料亭なようなことをなさっておりますな
中に具が入ってございます
これは海老ですか贅沢ですな
この黒い食べ物は、、アナゴ?
田んぼに跳んでいる?、、あれはイナゴですか
おっこれは何ですか
・・えっ銀杏??
あらぁ前から銀杏どんなん、こんなんでございますか?
あんた一人でよく遊びなさるな
・・え?鰻が焼けてきた?
丁度良かった。鰻が焼けてきたそうだ
酒の肴にするのも良いけど丁度炊き立てのご飯がある
うな丼にして食べて帰ったらどうだ?
遠慮することない
ご飯??
初めてでございます
アホなことをご飯初めてって
いや、しかしあんたは嬉しい人だな
何を出しても美味しいと喜んでくれる
あんたに比べたら裏に住んでるの竹という男、憎たらしい男だ
何を出しても旨いとか美味しいとか言ったことが一度もない
・
何時もお昼時に来て、私がご飯食べている時だから「食べていくか?」って言うと「食べたくないけど、食べてあげましょうか?」って
ご飯をよそってあげると「色が悪い」とか「芯が有る」とか
おかず食べて「しょっぱい」だの
これでご飯を五杯食べて行くんだ
これはむかつくだろ?
・
珍しいもの出しても喜ばないんだ
「前これ食べました。知っています。あんま美味しいことありません」
本当は知らないんだけど知ったかぶりをするんだ
あんたも笑っているところをみると同じめに会ったか?
・
・
これこれ!
そっちで何を騒いでいる?
豆腐が腐って面白くなっている?
もったいない何をしているんだ・・・
そうだ話のネタにこっちへ持ってきなさい
・
うわぁこんな風になるのか?
小さく黄色く縮んで、あっちこっちから赤や緑のカビが生えてる
うわぁ臭い、、えらい酸っぱい臭いが
見てみなさい豆腐の腐ったやつだ
豆腐の腐ったやつなんて初めてでございます
食べる気ですか??
流石にあんたでもこれは食べれないだろ
もったいないなぁ
世間には変わった人がいてこれが洒落ていると言って食べる人もいるけど・・・
・・・わしにちょっと面白いこと思いついたんだけどな
だいたい分かりますよw
分かるかい?
豆腐の腐ったやつをあの知ったかぶりの竹に食べさせるんだ
どこぞの名物名産の珍味だって言って前に出したら知っているって言うに違いない
これを口に入れてもがき苦しむだろう、、、その姿みて楽しもうじゃないか
旦さん、盛り上がってまいりましたなぁ!
是非ともやりましょう
豆腐っていうことが分からないように潰して
醤油を入れて味付け味付け、、、
味見はできないけどもな
毒消しにワサビを入れておこう
これをあいつの前に出して珍味の名前をつけないと
そうだあいつ長崎に行っていたって言うから長崎の名産にしよう
ほう、長崎の名産はどういう名前がよいでしょうな?
そうだな長崎らしい名前が良いな
カステラやチャンポンなんかそういう感じが良いな
長崎の名産・・・カスポンはどうでしょう
それはカステラとチャンポンを合わせただけだろ
なんか無いかな・・・
あら、、奥から三味線の音色が聴こえてきますね
お嬢様が習い事している
ちんとんしゃん ちんとんしゃん♪
ちりとてちん ちりとてちん♪
旦様、この音色のちりとてちんって言うのはいかがでしょう
そんなの合うか?
長崎名産「ちりとてちん」・・・合うじゃないか!!
・
これ!これをそっちに持って行ってしっかりした折箱に入れて
蓋をして厚手の半紙で包んでくれ竹に食べさせるんだけど
名前が決まったから「長崎名産ちりとてちん」って書いといてくれ
また理屈つけてくるからな「元祖」って入れといてな
それから竹を呼んできておくれ
竹が来た
旦さん!
呑んでいるんだったら呼んでくださいよ
いや、お酒の相手しますけど口が肥えているから
しょうもないお酒は呑みませんよ
何呑んでいるんですか?
え?白菊・・しょうもないお酒だ
名前ばかり売れて甘くってべたべたで美味しいことない
初めて?情けないな・・
こんなお酒何回も呑んでますよ
いや付き合いだから頂きますけど
ごくごくごく
あっま〜
ごくごくごく
ぷふぁ、なんて言う名前だっけ?
白菊??もう一杯!
文句言うんだったら呑まなきゃいいのに、相変わらずだな
つまんで貰わないといけないのに鯛のお刺身だったり茶碗蒸しだったり・・
旦さん。あのね私をこういう席に呼ぶんだったら
そんなありきたりなものじゃなくって粋なものや洒落たもの
なかなか手に入らない珍味を用意しないと駄目ですよ
・・・お前さん今何言った?珍味が食べたい。
いきなり珍味から食べますか???
いやいや実は珍味を一つ用意してあるんだ、食べるか?
食べますけど何処の珍味ですか?
長崎の名産らしい
長崎行っていました
知っています
これは本当に珍しいから多分おたくさんでも知らないと思うがな
何言ってるんですか
長崎に行っていたから知っています
あのな長崎名産ちりとてちんって言うんだ
長崎名産ちりとてちん?
・・・・知っています
ちりとてちん知っているか?
知っていますよ
あれは朝・昼・晩と三食、食べていましたから
ほう好物みたいだな
もちろん
お酒の肴によしご飯のおかずによし
旦さん、あのね最近は偽物も出回っているんです
本物の「ちりとてちん」じゃないと美味しくない
ほぉお・・・ちりとてちんに偽物がある・・・・
そこまで言うか・・・・
いやいや見てもらおう持ってこさせるから
・
・
これ!!こっちに持ってきてくれ
さっき貰って置いといた「ちりとてちん」
竹が大好物だそうだ
長崎名産ちりとてちん「元祖」、本物です!
本物は「元祖」で偽物は「本家」って書くんです。
やっぱりね、元祖のちりとてちんは・・くっさ!!
えらい臭いですね
え?えらい臭いって知っているんじゃないのか?
あっ、懐かしい臭いです
私この臭いだけで涙が止まりません
これは腐っているんじゃなく醗酵しているんです
お宅らは駄目なんですか?
情けない・・こんな洒落たものを食べれないなんて
珍味ですからがばがば食べるもんじゃないんです。
ちょっと、一口、これだけでお酒が進みます
これね、、目がピリピリしています
長崎の人は食べる前に目で味わうんです
ええ、、頂きます、、
もぐ
うぐぅ。。
うんんんあ゛ぁぁ
がぁっ・・・・・・・オイシ
涙が出てるぞ
涙が出るほど美味しいです
そうか、わしは食べたことないけど
ちりとてちんは、どんな味がするんだ?
丁度、豆腐が腐ったような味です
2017年07月25日
2017年07月24日
手紙無筆
昔は字が読めないかけない無筆が多くいました。
特にお職人は腕さえあればどんどん出世が出来ました。
そういう時代のお話です。
こんにちは
おう、どうした
こっちに上がれ
良かった
兄貴がいなかったらどうしようかと思って
実はとんでもないことが持ち上がっちゃって
相談に乗ってくださいよ
お前たちは決まってやがるよ
兄貴だのなんだのって持ち上げて困ったことが在ると俺のところにやって来る
まぁまぁいいやな
俺も退屈していたんだよ
相談事を聞いてやるよ、どんなことだ?
実はね、手紙が来ちゃって
いつもは隣の提灯屋で読んでもらうんだけど今日は居ないんですよ
だからどうしようと思っていたら兄貴のことを思い出して
兄貴は普段から言ってるでしょ
「俺は職人だけどお前たちと違って学問ってもんがある」
兄貴のところに行ったら何とかなると思って
手紙を読んでほしいんです。
あっ、、、あぁぁ手紙かぁ、、、。
そうか、よしよしよし・・・。
まぁそうだな、俺は学問が在るんだお前たちとは訳が違う。
お安い御用だ
そこに置いといてな一週間したら取りに来い
それまでに読んどいてやるから
一週間っていうのは困るんだ
今読んでほしいんだ
今は忙しいから駄目だよ
忙しいって退屈してるって言ってましたよね。
今までは退屈だったんだ
お前が来た途端に忙しくなった
そんな馬鹿な事を言わないで読んで下さいよ
本当のことを言うと俺は鳥目なんだよ
鳥目って夜目が見えなくなるんですよね
そうよ
だって今は昼間ですよ
だからさ俺はミミズクの鳥目なんだよ
馬鹿なこと言ってないで読んでくださいよ
駄目だよ
あぁそうか
兄貴は実は字が読めないんだ
だからそんなこと言って誤魔化してるんだ
俺はみんなにこの事を話しちゃうから
兄貴はあんなこと言っても無筆だ。
字が読めないって
おいおい待て
誰が無筆だってんだ?
その言い方だったら俺が無筆みたいじゃないか
じゃ分かった、分かった読んでやるからこっちに貸せ
すみません
これなんですけど
なんだ無筆とかって馬鹿にしやがって。
あぁこれは手紙だな。
えぇそうです。
そうじゃないって奴がいるか?
いいえ、いません
いなきゃ良いんだよ
いるっていうならそいつと議論を戦わせてな
それでも違うって言うなら取っ組み合いの喧嘩を始めて、、、
それは手紙ですから先に進めてください。
あぁ手紙はいいもんだな
これはどっから来たんだ?
どっから来たってそこに書いてありますよ
まぁ書いてあるけどお前に聞いた方が早いから
早いとか遅いとかの問題じゃ
赤坂のおじさんから届きました。
お前のおじさんは赤坂に住んでるの
あ、書いてあった、ここのところに書いてあった
赤坂のおじさんよりハチ公へってしてある
ハチ公?
ずいぶん乱暴な言い方ですね
いつも提灯屋で読んで貰う時は八五郎様や八五郎殿って
読んでもらってるんですけど、今日はハチ公ですか?
別にいいだろうが
おじさんってお前より上だろ?
大体ハチ公が気に入らないっているけどそれは素人だ
昔から偉い人は公の字がついてる
家康公、秀吉公、信長公、中堅ハチ公なんて
犬と一緒にしないでください
まぁ良いので中を読んでください
黙ってろ読んでやるから
おや、随分と書いたね
これは字ばかりで絵がないな
当たり前ですよ
しかしお前のところのおじさんは長いことないね
そうですか
年も年ですからね
何か患ってるとかって書いてますか?
それはどうだか分からないけど
昔ら墨色判断って言って薄墨で書く人は短命とされている
お前のところのおじさんもこう薄墨で書く所を見るとそう長くないね
そうですか
そんなことが分かるんですね。
・・・・兄貴、それ裏返しじゃないですか?
えっ?裏返し?
あぁ裏だった、表から見ると長命だ
じゃ読んでやるけど、俺が読むと早いよ
立て板に水だよ、もう一回読んでくれって言っても駄目だよ
二度読むと文句が変わってくるから
じゃ読むぞ
すみません
よろしくお願いします。
えぇぇっと
拝啓謹啓前略前文御免下されたく候然らば一筆啓上火の用心お先泣かすな馬肥せっと
この中からどれが良い?
どれが良いって書いてあるやつをやって下さい
お前手紙の書きだしなんて誰が書いたって読んだって同じなんだよ
どうせならお前の贔屓なやつでやってやろうと思って
贔屓も何もそこに書いてあるやつでいいですよ
そうか、じゃ前文でどうだ?
それでいいですよ
前文御免下され候然らば
どうだ読めない奴がこうスラッといくか?
なるほどね
さすが兄貴は学問がある
今更そんなこと言ってもも間に合わねぇよ
えぇ前文御免下され候然らば、前文御免下され候然らば
、前文御免下され候然らば、前文御免下され候然らばって息もつかずに百回言えるか?
そんなこと言えませんよ
ちゃんと読んでくださいよ
ちゃんと読んでやるよ
前文御免下され候然らば、さてハチ公やあばよ
あばよって、それじゃ始めっから全文じゃないですか?
使いの人が返事をもらいたくって家で待ってるんですよ
使いが来ているの?
それを先に言わないといけないよ
俺は急がないと思うから
その使いの奴はどういう恰好してた?
どういうって半纏(はんてん)着てたから職人ですよ
それで手に大きな風呂敷を持ってました
手に大きな風呂敷・・・。
それが手がかりだな
お前はおじさんに借りている物が在るんだろ?
それを代わりに取りに来たんだ
いや、借りている物なんてありません
じゃおじさんに最近会わなかったか?
あっそうだいつの日だったか、近所の子供を連れてね
上野動物園に行った帰りに広小路のところでばったり会いました
そのとき何か言ってなかったか?
そう言えばね
今度家でお客するからお店から本膳を借りて欲しい言ってました
馬鹿野郎なんでそれを先に言わないだ
それがここにきちんと書いてある
待ってろ読んでやるから
前文御免下され候然らば、さてハチ公やいつの日だったか、近所の子供を連れて
上野動物園に行った帰りに広小路のところでばったり会ったけな
なんかあっしが言った事と同じ事が書いてあるんですね。
第一その「会ったけな」って、いつも読んで貰うと御座候って決まるんですけど
今日はあったけなですか?
うるさいよ
御座候が欲しければすぐ付くよ
広小路のところにばったり会ったけな御座候
その時にお前に頼んであった本膳を借りておくれよっとしてあるな
またおかしい・・・。
御座候の後に借りておくれよって
良いだろ別に
いちいち文句が多いんだよ
おくれよって気に食わないようだけど、以前は里言葉って花魁が使ったんだ
こういう粋な言葉を知ってるところを見るとお前のおじさんは昔花魁か?
そんなわけないでしょ
そもそもおじさんは男ですよ
それよりも本膳は何人前ですか?
そこだよ
多くても、少なくっても困るって奴だな
ん人前って書いてあるからそれだけ持っていけばいいんだよ
えっ?
何人前ですって?
だから、ん人前って書いてあるって
あぁ五人前ですか?
そうだよ
さっきから五人前って言ってるだろ
おかしいな十人前って聞いてたんだけど
だから、なんでそれを先に言わねぇんだよ・・・。
そうそう五人前と五人前で締めて十人前だ
おかしな所で締めるんですね。
そう言えば本膳と言えば細々としたものが付き物ですが
それは書いてありますか?
あぁ書いてあるよ
大皿小皿は頼むよ御平も頼むよ箸なんかは荒物屋で買うから良いよ
今聞いてるとお猪口が出てきませんが
本膳にはお猪口が付きもんですが書いてませんか?
猪口か
在った在った
在りましたか?
御平の陰で見えなかった
特にお職人は腕さえあればどんどん出世が出来ました。
そういう時代のお話です。
こんにちは
おう、どうした
こっちに上がれ
良かった
兄貴がいなかったらどうしようかと思って
実はとんでもないことが持ち上がっちゃって
相談に乗ってくださいよ
お前たちは決まってやがるよ
兄貴だのなんだのって持ち上げて困ったことが在ると俺のところにやって来る
まぁまぁいいやな
俺も退屈していたんだよ
相談事を聞いてやるよ、どんなことだ?
実はね、手紙が来ちゃって
いつもは隣の提灯屋で読んでもらうんだけど今日は居ないんですよ
だからどうしようと思っていたら兄貴のことを思い出して
兄貴は普段から言ってるでしょ
「俺は職人だけどお前たちと違って学問ってもんがある」
兄貴のところに行ったら何とかなると思って
手紙を読んでほしいんです。
あっ、、、あぁぁ手紙かぁ、、、。
そうか、よしよしよし・・・。
まぁそうだな、俺は学問が在るんだお前たちとは訳が違う。
お安い御用だ
そこに置いといてな一週間したら取りに来い
それまでに読んどいてやるから
一週間っていうのは困るんだ
今読んでほしいんだ
今は忙しいから駄目だよ
忙しいって退屈してるって言ってましたよね。
今までは退屈だったんだ
お前が来た途端に忙しくなった
そんな馬鹿な事を言わないで読んで下さいよ
本当のことを言うと俺は鳥目なんだよ
鳥目って夜目が見えなくなるんですよね
そうよ
だって今は昼間ですよ
だからさ俺はミミズクの鳥目なんだよ
馬鹿なこと言ってないで読んでくださいよ
駄目だよ
あぁそうか
兄貴は実は字が読めないんだ
だからそんなこと言って誤魔化してるんだ
俺はみんなにこの事を話しちゃうから
兄貴はあんなこと言っても無筆だ。
字が読めないって
おいおい待て
誰が無筆だってんだ?
その言い方だったら俺が無筆みたいじゃないか
じゃ分かった、分かった読んでやるからこっちに貸せ
すみません
これなんですけど
なんだ無筆とかって馬鹿にしやがって。
あぁこれは手紙だな。
えぇそうです。
そうじゃないって奴がいるか?
いいえ、いません
いなきゃ良いんだよ
いるっていうならそいつと議論を戦わせてな
それでも違うって言うなら取っ組み合いの喧嘩を始めて、、、
それは手紙ですから先に進めてください。
あぁ手紙はいいもんだな
これはどっから来たんだ?
どっから来たってそこに書いてありますよ
まぁ書いてあるけどお前に聞いた方が早いから
早いとか遅いとかの問題じゃ
赤坂のおじさんから届きました。
お前のおじさんは赤坂に住んでるの
あ、書いてあった、ここのところに書いてあった
赤坂のおじさんよりハチ公へってしてある
ハチ公?
ずいぶん乱暴な言い方ですね
いつも提灯屋で読んで貰う時は八五郎様や八五郎殿って
読んでもらってるんですけど、今日はハチ公ですか?
別にいいだろうが
おじさんってお前より上だろ?
大体ハチ公が気に入らないっているけどそれは素人だ
昔から偉い人は公の字がついてる
家康公、秀吉公、信長公、中堅ハチ公なんて
犬と一緒にしないでください
まぁ良いので中を読んでください
黙ってろ読んでやるから
おや、随分と書いたね
これは字ばかりで絵がないな
当たり前ですよ
しかしお前のところのおじさんは長いことないね
そうですか
年も年ですからね
何か患ってるとかって書いてますか?
それはどうだか分からないけど
昔ら墨色判断って言って薄墨で書く人は短命とされている
お前のところのおじさんもこう薄墨で書く所を見るとそう長くないね
そうですか
そんなことが分かるんですね。
・・・・兄貴、それ裏返しじゃないですか?
えっ?裏返し?
あぁ裏だった、表から見ると長命だ
じゃ読んでやるけど、俺が読むと早いよ
立て板に水だよ、もう一回読んでくれって言っても駄目だよ
二度読むと文句が変わってくるから
じゃ読むぞ
すみません
よろしくお願いします。
えぇぇっと
拝啓謹啓前略前文御免下されたく候然らば一筆啓上火の用心お先泣かすな馬肥せっと
この中からどれが良い?
どれが良いって書いてあるやつをやって下さい
お前手紙の書きだしなんて誰が書いたって読んだって同じなんだよ
どうせならお前の贔屓なやつでやってやろうと思って
贔屓も何もそこに書いてあるやつでいいですよ
そうか、じゃ前文でどうだ?
それでいいですよ
前文御免下され候然らば
どうだ読めない奴がこうスラッといくか?
なるほどね
さすが兄貴は学問がある
今更そんなこと言ってもも間に合わねぇよ
えぇ前文御免下され候然らば、前文御免下され候然らば
、前文御免下され候然らば、前文御免下され候然らばって息もつかずに百回言えるか?
そんなこと言えませんよ
ちゃんと読んでくださいよ
ちゃんと読んでやるよ
前文御免下され候然らば、さてハチ公やあばよ
あばよって、それじゃ始めっから全文じゃないですか?
使いの人が返事をもらいたくって家で待ってるんですよ
使いが来ているの?
それを先に言わないといけないよ
俺は急がないと思うから
その使いの奴はどういう恰好してた?
どういうって半纏(はんてん)着てたから職人ですよ
それで手に大きな風呂敷を持ってました
手に大きな風呂敷・・・。
それが手がかりだな
お前はおじさんに借りている物が在るんだろ?
それを代わりに取りに来たんだ
いや、借りている物なんてありません
じゃおじさんに最近会わなかったか?
あっそうだいつの日だったか、近所の子供を連れてね
上野動物園に行った帰りに広小路のところでばったり会いました
そのとき何か言ってなかったか?
そう言えばね
今度家でお客するからお店から本膳を借りて欲しい言ってました
馬鹿野郎なんでそれを先に言わないだ
それがここにきちんと書いてある
待ってろ読んでやるから
前文御免下され候然らば、さてハチ公やいつの日だったか、近所の子供を連れて
上野動物園に行った帰りに広小路のところでばったり会ったけな
なんかあっしが言った事と同じ事が書いてあるんですね。
第一その「会ったけな」って、いつも読んで貰うと御座候って決まるんですけど
今日はあったけなですか?
うるさいよ
御座候が欲しければすぐ付くよ
広小路のところにばったり会ったけな御座候
その時にお前に頼んであった本膳を借りておくれよっとしてあるな
またおかしい・・・。
御座候の後に借りておくれよって
良いだろ別に
いちいち文句が多いんだよ
おくれよって気に食わないようだけど、以前は里言葉って花魁が使ったんだ
こういう粋な言葉を知ってるところを見るとお前のおじさんは昔花魁か?
そんなわけないでしょ
そもそもおじさんは男ですよ
それよりも本膳は何人前ですか?
そこだよ
多くても、少なくっても困るって奴だな
ん人前って書いてあるからそれだけ持っていけばいいんだよ
えっ?
何人前ですって?
だから、ん人前って書いてあるって
あぁ五人前ですか?
そうだよ
さっきから五人前って言ってるだろ
おかしいな十人前って聞いてたんだけど
だから、なんでそれを先に言わねぇんだよ・・・。
そうそう五人前と五人前で締めて十人前だ
おかしな所で締めるんですね。
そう言えば本膳と言えば細々としたものが付き物ですが
それは書いてありますか?
あぁ書いてあるよ
大皿小皿は頼むよ御平も頼むよ箸なんかは荒物屋で買うから良いよ
今聞いてるとお猪口が出てきませんが
本膳にはお猪口が付きもんですが書いてませんか?
猪口か
在った在った
在りましたか?
御平の陰で見えなかった
2017年07月23日
権兵衛狸
村はずれに権兵衛さんという床屋のおじいさんがおります。
毎晩毎晩、村の若い者が大勢寄りますと馬鹿話をはじめ
狐がどういう風に人を化かす狸がどう化ける等くだらない話をしては帰っていきます。
あんまり遅くなると、とっさまに怒られるでな
また明日遊びに来いや
明日遊びに来ます
片さないでごめんなせぇ
はいよ、お休みなせぇ
ごめんなせぇまし
ゾロゾロとみんなが帰っていきます。
後片付けをしますと戸締りをし、布団を敷きます。
独り者の気散じで腕を枕にごろりと寝ますと表の戸を
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
誰だい?木佐衛門か?
若い奴はみんな帰えちまったって誰もいなねぇだよ
おら一人だ、明日遊びに来いや
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
おら布団に入っちまって起きるの大儀だ
明日来いや、お前誰だ?
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
あれ?
お前誰だってのに
おらの名前「権兵衛、権兵衛」って呼びやがって
待て待て開けてやるべ、しょうがねぇ野郎だ
土間に降りますと戸に手をかけてカラカラっと開けてみると
足音もしなければ姿も見えません
誰だい悪さをぶつのは?
隠れてて面だしたら、ウワッて脅かすつもりだなぁ
・・・さてな?悪さぶつなら足音ぐらいしそうだなぁ
足音も無ければ姿もねぇ・・・
朧夜(おぼろよ)だ、野郎裏山の狸だなぁ??
いつおらの名を覚えやがった
若い奴らが毎晩、権兵衛ぇ権兵衛って来るでな覚えただな
今度悪さぶつと、とっ捕まえてやるからな!
戸締りして寝てしまいます。
明くる晩に若い者がわぁわぁ騒いでいる内は出てきません
ゾロゾロと帰ってしまい一人になって床を敷いて枕に着くと同じ刻限に
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
来たな野郎
待てよ、返事をせずに・・・
布団をはねのけ、抜き足で土間に降ります
戸にしっかりと手をかけて待ってます
狐狸は尾で人の家を叩くと申しますが嘘だそうですな
尾で叩いたのでは人間が拳で戸を叩くような音はしませんので頭で叩きます。
戸に背中をよっかかり、腕組み?しながら叩きますと
丁度人間が叩いているように聞こえます
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
ドンと来たやつをガラッと開けると二度目の分で土間に転がりこんで
表の戸を閉めて土間で権兵衛さん狸と取っ組み合いです。
狸だってむざむざ捕まるのは嫌ですから引掻いたり食いついたり
ミミズ腫だらけになりながらとっ捕まえました
あっ痛て、おぉ痛てぇ
毎晩来やがって「権兵衛ぇ権兵衛」って抜かしやがるのは
われがみてぇなのに友達はねぇ
あぁ痛てぇ・・・っ捌きやがって
待てよ、夜が遅せでな明日になったらしょっ引いてくれべぇがな
狸の四足を結わいつけ田舎の家なので梁が出ています
この梁に縄を通しまして天井へ吊るし上げると
そのまんまグーグーと寝込んでしまいました。
明くる朝早く起きましてすっかり掃除をしましてお茶を飲むのが習いです
五左衛門か!寄ってけや!
おはようございます
いかく早ぇの
何処へ行くだ?
隣村まで借り物があって行くだがな
何か用があったか?
別に用はねぇがな
茶が入ったで飲めや
そうかい
それじゃ御馳走になるべぇかな
いかく早起きしただな
よくこんだら早く起きれた
起きたじゃねぇだよ、起こされた
夕べなんか一番鳥が鳴いてから寝たで、眠くって、眠くって、、、
とっさま頑固だで、寝かしてくれねぇだ
「起きろー!起きろ!」って抜かしやがってよ
ちょっと位寝てでぇけど布団ひんむきやがって
火吹き竹でケツをプープーって吹くだ
寒くって寝ていられねよ
・
起きたってあんにも用はねぇ、藁べ打ってるだ
飯食っちゃとっさまクークーって寝るだもの
あんだら何ぼでも早起きできるだ
権兵衛どんは相変わらず早えの
おらは星見て起きねぇと気持ち悪い性分だよ
茶が入ったで飲め
面洗わねぇか?
面どころじゃねぇ
床も上げづに来ただ
茶飲め
折角だから茶呼ばれるか
お前の妹が病気してたってどうした?
この頃良くなっただ
米の飯食わしたら直ぐに治っちゃったよ
茶飲め
御馳走さんです
ありゃりゃ?なんじゃこれりゃ?
すすだらけで毛だらけだ
馬鹿こけ
おらぁ掃除きちがいだって言われてるだ
すすなんか有るもんじゃねぇ
ほれ見なせぇ
こけやすすだらけだじゃ
茶は飲んだけ、毛が入ってる
毛が? あっ!!!
そうか、すまねぇすまねぇ
毛は入るべぇや、われの頭の上見ろ
頭の??
うわぁっ!!びっくりこいた!
あんじゃこりゃ??
狸だあなぁ
いけぇ(でかい)狸だのぉ
どうやってとっ捕まえた?
罠作ってけ?
なに、手で捕まえだ
こんないけぇ狸罠で捕まえたんだろ
手では無理だ
罠じゃなねぇ
毎晩うちに来ては「権兵衛、権兵衛」呼ばがっての
戸を引っ叩くでの我慢できねぇからな
戸に手をかけて待っていたら野郎きやがって
ガーって開けると土間に転がりこみやがってよ
後の戸を断ってよ取っ組み合いしただ
とっ捕まえた時に掻っ捌かれて、傷を見ろ
えれぇ傷ぶったな
こんなもの捕まえるなんて
こん畜生だろ方々で悪さぶつのは?
おらの妹が土橋の上で、こげんな大きな大入道を見て帰ってきた
それから熱が出て今まで寝ていただ
こん畜生の業だ!
・
・
いい事を思いついた
こいつをぶち殺してな村中の若い衆で狸汁にして食うべ
いかねぇいかねぇ
おらも何にも気づかずにとっ捕まえただよ
考えたらとっさまの小月命日だ
若いうちからいかく手ぇ焼したとっさまの命日に、
こんなもんの命とるでもねぇわ
因果を含めて放してやるだ
よしなせぇ権兵衛どん
そんなことしたって畜生だって、ありがてぇって思うもんじゃない
忘れてすぐに悪さぶつべぇ
とっさまの命日なんて構うもんじゃねぇ
狸汁こしらえたら仏壇に供えるだ
そんだらもん、あげられるかい
こんだらもんでも逃がしてやったら功徳になるべぇと思うんだ
これから悪さしたら狸汁でもなんでもしべぇが今日はいがねぇ
惜しげなもんだ・・・
このモモの肉見れや
でくでくと太りやがって生でもかじれそうだな
狸は気が気ではありません
片っぽでは助けてやるって言っているのに
片っぽは生でも食えるって言われてビクビクしています。
使い遅くなってとっさまに怒られるといげねぞ
使い行ってこいや
では行ってきます。
早く行ってこいや
帰りにでも寄れや
・
・
若けぇから元気だ
さぁ降りろ
今帰ったやつが言うたことを聞いてたか?
狸汁にして食うべぇって、おらが良しって言えば鍋の中で煮られてるだぞ
とっさまの命日だで放してやるべ、功徳になれよ
あっと!こん畜生め放してやるっていうのにおらの手を食いつく気だな
このまま放すと畜生だから忘れて悪さぶつべ
奥に飛んでいきますと大きなハサミを一丁持ってきました
狸の頭の毛と背中の毛を刈り始めました。
こげんに頭に毛を生やすからのぼせて人に悪さぶつだ
ちょっとくれぇ刈りこんでやるべ
悪さをぶちたくなったら頭へ手を伸ばしてみるだ
ええか?
おらは毛がないのは人間に悪さぶったからお仕置きをぶたれったって
動くでねぇじっとしてろ!
狸の頭を刈りこんでしまいますと表へ放り出して
恩を感じましたのもか二、三回後を振り返ると山の中へ帰っていきました。
あっはははは!
逃げおった、良いことしたな
その晩になって床を敷いていると同じ刻限に表の戸を・・・
ドンドン、権兵衛さん
ドンドン、権兵衛さん
また来ただぁ?
昨夜まで「権兵衛、権兵衛」って言っていたのに
今朝命を助けてもらったと思って権兵衛さんになっている
頭を刈りこんでやったのに何の用で来やがった?
戸をガラガラっと開けると土間に狸が入って来て
親方、今度はひげをやってくれ
毎晩毎晩、村の若い者が大勢寄りますと馬鹿話をはじめ
狐がどういう風に人を化かす狸がどう化ける等くだらない話をしては帰っていきます。
あんまり遅くなると、とっさまに怒られるでな
また明日遊びに来いや
明日遊びに来ます
片さないでごめんなせぇ
はいよ、お休みなせぇ
ごめんなせぇまし
ゾロゾロとみんなが帰っていきます。
後片付けをしますと戸締りをし、布団を敷きます。
独り者の気散じで腕を枕にごろりと寝ますと表の戸を
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
誰だい?木佐衛門か?
若い奴はみんな帰えちまったって誰もいなねぇだよ
おら一人だ、明日遊びに来いや
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
おら布団に入っちまって起きるの大儀だ
明日来いや、お前誰だ?
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
あれ?
お前誰だってのに
おらの名前「権兵衛、権兵衛」って呼びやがって
待て待て開けてやるべ、しょうがねぇ野郎だ
土間に降りますと戸に手をかけてカラカラっと開けてみると
足音もしなければ姿も見えません
誰だい悪さをぶつのは?
隠れてて面だしたら、ウワッて脅かすつもりだなぁ
・・・さてな?悪さぶつなら足音ぐらいしそうだなぁ
足音も無ければ姿もねぇ・・・
朧夜(おぼろよ)だ、野郎裏山の狸だなぁ??
いつおらの名を覚えやがった
若い奴らが毎晩、権兵衛ぇ権兵衛って来るでな覚えただな
今度悪さぶつと、とっ捕まえてやるからな!
戸締りして寝てしまいます。
明くる晩に若い者がわぁわぁ騒いでいる内は出てきません
ゾロゾロと帰ってしまい一人になって床を敷いて枕に着くと同じ刻限に
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
来たな野郎
待てよ、返事をせずに・・・
布団をはねのけ、抜き足で土間に降ります
戸にしっかりと手をかけて待ってます
狐狸は尾で人の家を叩くと申しますが嘘だそうですな
尾で叩いたのでは人間が拳で戸を叩くような音はしませんので頭で叩きます。
戸に背中をよっかかり、腕組み?しながら叩きますと
丁度人間が叩いているように聞こえます
ドンドン、権兵衛
ドンドン、権兵衛
ドンと来たやつをガラッと開けると二度目の分で土間に転がりこんで
表の戸を閉めて土間で権兵衛さん狸と取っ組み合いです。
狸だってむざむざ捕まるのは嫌ですから引掻いたり食いついたり
ミミズ腫だらけになりながらとっ捕まえました
あっ痛て、おぉ痛てぇ
毎晩来やがって「権兵衛ぇ権兵衛」って抜かしやがるのは
われがみてぇなのに友達はねぇ
あぁ痛てぇ・・・っ捌きやがって
待てよ、夜が遅せでな明日になったらしょっ引いてくれべぇがな
狸の四足を結わいつけ田舎の家なので梁が出ています
この梁に縄を通しまして天井へ吊るし上げると
そのまんまグーグーと寝込んでしまいました。
明くる朝早く起きましてすっかり掃除をしましてお茶を飲むのが習いです
五左衛門か!寄ってけや!
おはようございます
いかく早ぇの
何処へ行くだ?
隣村まで借り物があって行くだがな
何か用があったか?
別に用はねぇがな
茶が入ったで飲めや
そうかい
それじゃ御馳走になるべぇかな
いかく早起きしただな
よくこんだら早く起きれた
起きたじゃねぇだよ、起こされた
夕べなんか一番鳥が鳴いてから寝たで、眠くって、眠くって、、、
とっさま頑固だで、寝かしてくれねぇだ
「起きろー!起きろ!」って抜かしやがってよ
ちょっと位寝てでぇけど布団ひんむきやがって
火吹き竹でケツをプープーって吹くだ
寒くって寝ていられねよ
・
起きたってあんにも用はねぇ、藁べ打ってるだ
飯食っちゃとっさまクークーって寝るだもの
あんだら何ぼでも早起きできるだ
権兵衛どんは相変わらず早えの
おらは星見て起きねぇと気持ち悪い性分だよ
茶が入ったで飲め
面洗わねぇか?
面どころじゃねぇ
床も上げづに来ただ
茶飲め
折角だから茶呼ばれるか
お前の妹が病気してたってどうした?
この頃良くなっただ
米の飯食わしたら直ぐに治っちゃったよ
茶飲め
御馳走さんです
ありゃりゃ?なんじゃこれりゃ?
すすだらけで毛だらけだ
馬鹿こけ
おらぁ掃除きちがいだって言われてるだ
すすなんか有るもんじゃねぇ
ほれ見なせぇ
こけやすすだらけだじゃ
茶は飲んだけ、毛が入ってる
毛が? あっ!!!
そうか、すまねぇすまねぇ
毛は入るべぇや、われの頭の上見ろ
頭の??
うわぁっ!!びっくりこいた!
あんじゃこりゃ??
狸だあなぁ
いけぇ(でかい)狸だのぉ
どうやってとっ捕まえた?
罠作ってけ?
なに、手で捕まえだ
こんないけぇ狸罠で捕まえたんだろ
手では無理だ
罠じゃなねぇ
毎晩うちに来ては「権兵衛、権兵衛」呼ばがっての
戸を引っ叩くでの我慢できねぇからな
戸に手をかけて待っていたら野郎きやがって
ガーって開けると土間に転がりこみやがってよ
後の戸を断ってよ取っ組み合いしただ
とっ捕まえた時に掻っ捌かれて、傷を見ろ
えれぇ傷ぶったな
こんなもの捕まえるなんて
こん畜生だろ方々で悪さぶつのは?
おらの妹が土橋の上で、こげんな大きな大入道を見て帰ってきた
それから熱が出て今まで寝ていただ
こん畜生の業だ!
・
・
いい事を思いついた
こいつをぶち殺してな村中の若い衆で狸汁にして食うべ
いかねぇいかねぇ
おらも何にも気づかずにとっ捕まえただよ
考えたらとっさまの小月命日だ
若いうちからいかく手ぇ焼したとっさまの命日に、
こんなもんの命とるでもねぇわ
因果を含めて放してやるだ
よしなせぇ権兵衛どん
そんなことしたって畜生だって、ありがてぇって思うもんじゃない
忘れてすぐに悪さぶつべぇ
とっさまの命日なんて構うもんじゃねぇ
狸汁こしらえたら仏壇に供えるだ
そんだらもん、あげられるかい
こんだらもんでも逃がしてやったら功徳になるべぇと思うんだ
これから悪さしたら狸汁でもなんでもしべぇが今日はいがねぇ
惜しげなもんだ・・・
このモモの肉見れや
でくでくと太りやがって生でもかじれそうだな
狸は気が気ではありません
片っぽでは助けてやるって言っているのに
片っぽは生でも食えるって言われてビクビクしています。
使い遅くなってとっさまに怒られるといげねぞ
使い行ってこいや
では行ってきます。
早く行ってこいや
帰りにでも寄れや
・
・
若けぇから元気だ
さぁ降りろ
今帰ったやつが言うたことを聞いてたか?
狸汁にして食うべぇって、おらが良しって言えば鍋の中で煮られてるだぞ
とっさまの命日だで放してやるべ、功徳になれよ
あっと!こん畜生め放してやるっていうのにおらの手を食いつく気だな
このまま放すと畜生だから忘れて悪さぶつべ
奥に飛んでいきますと大きなハサミを一丁持ってきました
狸の頭の毛と背中の毛を刈り始めました。
こげんに頭に毛を生やすからのぼせて人に悪さぶつだ
ちょっとくれぇ刈りこんでやるべ
悪さをぶちたくなったら頭へ手を伸ばしてみるだ
ええか?
おらは毛がないのは人間に悪さぶったからお仕置きをぶたれったって
動くでねぇじっとしてろ!
狸の頭を刈りこんでしまいますと表へ放り出して
恩を感じましたのもか二、三回後を振り返ると山の中へ帰っていきました。
あっはははは!
逃げおった、良いことしたな
その晩になって床を敷いていると同じ刻限に表の戸を・・・
ドンドン、権兵衛さん
ドンドン、権兵衛さん
また来ただぁ?
昨夜まで「権兵衛、権兵衛」って言っていたのに
今朝命を助けてもらったと思って権兵衛さんになっている
頭を刈りこんでやったのに何の用で来やがった?
戸をガラガラっと開けると土間に狸が入って来て
親方、今度はひげをやってくれ
2017年07月22日
半分垢
こんにちは、奥さんですか?
いやどうも急にすみませんな
誰かと思ったら徳さんじゃないですか
いつもうちの人ご贔屓有難う御座います。
何を仰います、ご贔屓やなんて
こっちが勝手に応援しているだけです
関取が江戸から帰ってきたって聞いてね
あっ、びんつけ油の香りが堪らんな。
関取どっか出て行かれましたか?
さっきまで私としゃべっていましたが、
流石に江戸からの長旅で疲れて
居眠りしているので今のうちに休んだ方がいいって二階で休んでいます。
もうちょっと早くきたら良かったなぁ
今そこで聞いたものでな
えっ?起こす?起こしたりしたら贔屓の引き倒しですよ!
しかしだいぶ大きくなって立派になって帰って来たんでしょうな
もう大きくなってびっくりするくらい
びっくりするくらい?!
どれくらい大きくなりました?
今帰ったという声でこの家がぐらぐらと揺れました
おぉ声でこの家が揺れる?!
身体はどのくらい大きくなりました?
慌てて表に出たらおへその当たりから上がひさしに隠れて見えなかった
それで一遍二階に上がって雨戸を開けたらちょうどうちの人の顔がそこにあって
おかえりなさいと挨拶したとこ
えぇ顔?!
大きくなりました?
えぇ顔の大きさがちょうど畳一畳分です。
畳一畳って大きいな
そんな大きい人よくこの家に入れましたね
なかなか入れなかったのですが、うちの人が一遍この家を持ち上げて
そこからガバッて入りました。
うわぁ!
そんなら酒や御飯なんか良く食べますか?
菰樽(こもだる)って言うんですか?
それを片手でもって人差し指で開けて一口で飲みました
喉乾きませんか?
そうそう喉乾いたって言って琵琶湖まで水を飲みに行ってきました。
本当ですか?
御飯の方は?
町内の方がハマチ十本差し入れてくれましたが、
それを三枚に下ろして私の分も残してくれと言う前にペロッと全部食べてしまいました。
ハマチってかなり大きい魚ですよ?!
うわぁすごいなぁ
江戸から帰る時に何か面白い事はありませんでしたか?
面白いかは分かりませんが、なんか可哀想なことをしたって
帰る途中で暴れている牛を三頭踏み殺したって
人間が暴れている牛を三頭も踏み殺すって!
どんだけ力強いんですか。
会いたいなぁ。
晩になったらまた来ます。
今の話ちょっと表でしてきます。
おい嬶(かかあ)
何ですか、起きていたんですか。
今まで徳さんがいたんですから降りてきて挨拶してくれても良かったのに
挨拶の一つもできるものか、できないものか。
上で聞いていたら大きくなった、大きくなたって。
わしの顔が畳一畳ってどんな顔や?
で、中に入られないからって家を持ち上げて入った・・・。
あまり阿保な事を言うもんじゃないぞ
私もあの徳さん大阪の方だから、いつツッコミしてくれるのかと思ってました。
なのにあの人は感心するばかりで、あの人阿保ですよ。
あのな、そこに座りなさい。
お前にこんな話がある。
親が我が子の自慢をする、亭主が我が女房、女房が亭主の自慢をする
これほどな傍で聞いてて嫌なものはない
・
・
江戸からの帰りに三島の宿をとった話だ。
窓を開けるとそれは実に見事な、日本一の富士の山だ
見事だなぁ、きれいだなぁっと見とれているとお女中が入ってきた。
わしは、
「あなた方は実に幸せな方ですな、朝夕とこの日本一の富士の山を眺めることができる
これはきっと先の生で人の役に立って善い行いをしたからに違いない、うらやましいな」
と言ったらそのお女中は三つ指をついたまま
「お客様、朝晩と見慣れておりますのでさほど大きいとは思いません」
「大きい無いわけないだろ、いまにも頭が雲に届きそうだ」
「お客様、ああ見えましても半分は雪で御座います。」
・
・
どうだ、これが謙遜と言うものだ。
大きくなった、大きくなったって、阿保な事を言うんじゃないぞ。
すみません。
今度から気を付けます。
分かってくれたら良い
この話はもう二度としないからな
わしは晩までゆっくりと休ませてもらう
関取は二階に上がって寝てしまいます。
奥様の方は久しぶりに会ったのに叱られてしまい落ち込んでいます。
しかし相撲好きの連中はお構いなしに入れ代わり立ち代わりやってきます。
こんにちは
奥さん今さっき徳さん会って聞きましたよ。
あっ言ってた通りにびんつけ油の香りが堪らないね
関取帰ってきたそうですね
しかも大きくなって、大きくなって帰ってきたそうですね!
いいえ
小さくなって帰ってきました。
いやいや!
今帰ったという声でこの家がぐらぐらと揺れたって!
いいえ
そうそう!気のせいかと思って外に出たら、
おへその当たりから上がひさしに隠れて見えなかったって
いいえ
溝(みぞ)にはまって見えませんでした。
溝!?
表の溝ってだいぶ低いですよ
関取そんな所にはまったんですか?あれ?
あっ顔の大きさが畳一畳もあるって
いいえ
煎餅一枚の大きさです。
この煎餅一枚分ですか?
なかなか家に入れなかったから一遍家を持ち上げて入ったって
いいえ
障子の破れ目から飛んで入りました。
ノミですよ、、、
どうなってんだろう。
ハマチ十本差し入れて三枚に下ろしてペロッと食べたって話は?
いいえ
ハマチではなくシラスを三枚に下ろしてペロッと食べました。
シラスを三枚に下ろすのってなかなか難しいですよね
あれ??あの話も嘘ですか?
菰樽を片手でもって一口で飲んだって言うのは?
酒三滴の匂いを嗅いだだけでコテッとひっくり返りました。
ほんとですか?
帰る途中で暴れている牛を三頭踏み殺したって話は?
牛じゃなく虫です。
暴れている虫三匹を踏み殺した・・・。
なんだ徳さんはどんな話してるんだろう
あぁこれは、これはご町内の若い衆
いつもご贔屓ごっちゃんで御座います。
うわぁあ!関取!!
大きくなりましたねぇ!!!
こんなに凄い人が本当にうちの町内から出たんだろうか!
拝ましてもらいます。
本当に大きいなぁ!!
ちょっと奥様、いい加減な話ばかりして
小さくなった、小さくなったって
こんなに大きくなってますよ!
お客様、朝晩と見慣れておりますのでさほど大きいとは思いません。
何を仰ってるんですか?いまにも頭が天井に届きそうですよ
お客様、ああ見えましても半分は垢で御座います。
いやどうも急にすみませんな
誰かと思ったら徳さんじゃないですか
いつもうちの人ご贔屓有難う御座います。
何を仰います、ご贔屓やなんて
こっちが勝手に応援しているだけです
関取が江戸から帰ってきたって聞いてね
あっ、びんつけ油の香りが堪らんな。
関取どっか出て行かれましたか?
さっきまで私としゃべっていましたが、
流石に江戸からの長旅で疲れて
居眠りしているので今のうちに休んだ方がいいって二階で休んでいます。
もうちょっと早くきたら良かったなぁ
今そこで聞いたものでな
えっ?起こす?起こしたりしたら贔屓の引き倒しですよ!
しかしだいぶ大きくなって立派になって帰って来たんでしょうな
もう大きくなってびっくりするくらい
びっくりするくらい?!
どれくらい大きくなりました?
今帰ったという声でこの家がぐらぐらと揺れました
おぉ声でこの家が揺れる?!
身体はどのくらい大きくなりました?
慌てて表に出たらおへその当たりから上がひさしに隠れて見えなかった
それで一遍二階に上がって雨戸を開けたらちょうどうちの人の顔がそこにあって
おかえりなさいと挨拶したとこ
えぇ顔?!
大きくなりました?
えぇ顔の大きさがちょうど畳一畳分です。
畳一畳って大きいな
そんな大きい人よくこの家に入れましたね
なかなか入れなかったのですが、うちの人が一遍この家を持ち上げて
そこからガバッて入りました。
うわぁ!
そんなら酒や御飯なんか良く食べますか?
菰樽(こもだる)って言うんですか?
それを片手でもって人差し指で開けて一口で飲みました
喉乾きませんか?
そうそう喉乾いたって言って琵琶湖まで水を飲みに行ってきました。
本当ですか?
御飯の方は?
町内の方がハマチ十本差し入れてくれましたが、
それを三枚に下ろして私の分も残してくれと言う前にペロッと全部食べてしまいました。
ハマチってかなり大きい魚ですよ?!
うわぁすごいなぁ
江戸から帰る時に何か面白い事はありませんでしたか?
面白いかは分かりませんが、なんか可哀想なことをしたって
帰る途中で暴れている牛を三頭踏み殺したって
人間が暴れている牛を三頭も踏み殺すって!
どんだけ力強いんですか。
会いたいなぁ。
晩になったらまた来ます。
今の話ちょっと表でしてきます。
おい嬶(かかあ)
何ですか、起きていたんですか。
今まで徳さんがいたんですから降りてきて挨拶してくれても良かったのに
挨拶の一つもできるものか、できないものか。
上で聞いていたら大きくなった、大きくなたって。
わしの顔が畳一畳ってどんな顔や?
で、中に入られないからって家を持ち上げて入った・・・。
あまり阿保な事を言うもんじゃないぞ
私もあの徳さん大阪の方だから、いつツッコミしてくれるのかと思ってました。
なのにあの人は感心するばかりで、あの人阿保ですよ。
あのな、そこに座りなさい。
お前にこんな話がある。
親が我が子の自慢をする、亭主が我が女房、女房が亭主の自慢をする
これほどな傍で聞いてて嫌なものはない
・
・
江戸からの帰りに三島の宿をとった話だ。
窓を開けるとそれは実に見事な、日本一の富士の山だ
見事だなぁ、きれいだなぁっと見とれているとお女中が入ってきた。
わしは、
「あなた方は実に幸せな方ですな、朝夕とこの日本一の富士の山を眺めることができる
これはきっと先の生で人の役に立って善い行いをしたからに違いない、うらやましいな」
と言ったらそのお女中は三つ指をついたまま
「お客様、朝晩と見慣れておりますのでさほど大きいとは思いません」
「大きい無いわけないだろ、いまにも頭が雲に届きそうだ」
「お客様、ああ見えましても半分は雪で御座います。」
・
・
どうだ、これが謙遜と言うものだ。
大きくなった、大きくなったって、阿保な事を言うんじゃないぞ。
すみません。
今度から気を付けます。
分かってくれたら良い
この話はもう二度としないからな
わしは晩までゆっくりと休ませてもらう
関取は二階に上がって寝てしまいます。
奥様の方は久しぶりに会ったのに叱られてしまい落ち込んでいます。
しかし相撲好きの連中はお構いなしに入れ代わり立ち代わりやってきます。
こんにちは
奥さん今さっき徳さん会って聞きましたよ。
あっ言ってた通りにびんつけ油の香りが堪らないね
関取帰ってきたそうですね
しかも大きくなって、大きくなって帰ってきたそうですね!
いいえ
小さくなって帰ってきました。
いやいや!
今帰ったという声でこの家がぐらぐらと揺れたって!
いいえ
そうそう!気のせいかと思って外に出たら、
おへその当たりから上がひさしに隠れて見えなかったって
いいえ
溝(みぞ)にはまって見えませんでした。
溝!?
表の溝ってだいぶ低いですよ
関取そんな所にはまったんですか?あれ?
あっ顔の大きさが畳一畳もあるって
いいえ
煎餅一枚の大きさです。
この煎餅一枚分ですか?
なかなか家に入れなかったから一遍家を持ち上げて入ったって
いいえ
障子の破れ目から飛んで入りました。
ノミですよ、、、
どうなってんだろう。
ハマチ十本差し入れて三枚に下ろしてペロッと食べたって話は?
いいえ
ハマチではなくシラスを三枚に下ろしてペロッと食べました。
シラスを三枚に下ろすのってなかなか難しいですよね
あれ??あの話も嘘ですか?
菰樽を片手でもって一口で飲んだって言うのは?
酒三滴の匂いを嗅いだだけでコテッとひっくり返りました。
ほんとですか?
帰る途中で暴れている牛を三頭踏み殺したって話は?
牛じゃなく虫です。
暴れている虫三匹を踏み殺した・・・。
なんだ徳さんはどんな話してるんだろう
あぁこれは、これはご町内の若い衆
いつもご贔屓ごっちゃんで御座います。
うわぁあ!関取!!
大きくなりましたねぇ!!!
こんなに凄い人が本当にうちの町内から出たんだろうか!
拝ましてもらいます。
本当に大きいなぁ!!
ちょっと奥様、いい加減な話ばかりして
小さくなった、小さくなったって
こんなに大きくなってますよ!
お客様、朝晩と見慣れておりますのでさほど大きいとは思いません。
何を仰ってるんですか?いまにも頭が天井に届きそうですよ
お客様、ああ見えましても半分は垢で御座います。
タグ: 相撲
2017年07月21日
まわり猫
兄貴どうしたんですか
懐に猫なんて抱いて
いや家の前でみゃーみゃー鳴いていたんだ
飯を食わしたら懐かれてなぁ
名前つけたんですか?
名前?
名前なんてつけねぇよ
そうなんですか
でも名前つけるともっと可愛くなりますよ
そうだなぁじゃ・・ネコでいいんじゃないか
なんですかそんな安直な名前は・・・
強そうな名前をつけましょうよ
じゃトラってどうだ!
強そうだろぉ
トラですか、いいですね〜
でも龍虎って言うぐらいですから龍のほう強いんじゃないですか
じゃリュウってどうだ?
でも龍は雲が無いと空には昇れませんからね
じゃクモにしよう
でも雲は風に流されてしまいますから・・・
じゃカゼだ
風も壁に遮られてしまいますよ
じゃカベだ
壁は鼠に食いちぎられて穴だらけになりますからね〜
じゃネズミだ
でも鼠の天敵は猫ですよ
じゃネコだ・・・・
懐に猫なんて抱いて
いや家の前でみゃーみゃー鳴いていたんだ
飯を食わしたら懐かれてなぁ
名前つけたんですか?
名前?
名前なんてつけねぇよ
そうなんですか
でも名前つけるともっと可愛くなりますよ
そうだなぁじゃ・・ネコでいいんじゃないか
なんですかそんな安直な名前は・・・
強そうな名前をつけましょうよ
じゃトラってどうだ!
強そうだろぉ
トラですか、いいですね〜
でも龍虎って言うぐらいですから龍のほう強いんじゃないですか
じゃリュウってどうだ?
でも龍は雲が無いと空には昇れませんからね
じゃクモにしよう
でも雲は風に流されてしまいますから・・・
じゃカゼだ
風も壁に遮られてしまいますよ
じゃカベだ
壁は鼠に食いちぎられて穴だらけになりますからね〜
じゃネズミだ
でも鼠の天敵は猫ですよ
じゃネコだ・・・・
2017年07月20日
雷の親子
おとっちゃんお出かけかい?
おう、そこいらをひと回りまわってくる
それじゃ坊やを一緒に連れってくださいな。
しょうがないなぁ・・・。
子供は足手まといだからな、けど末には立派な雷になるんだから
じゃ一緒に来いよ
ちゃんとおもちゃの太鼓と虎の皮のふんどしをしっかり締めてな
さぁ来い
ゴロゴロゴロゴロ
ピカピカピカ
子供のほうはそうは参りません
ころころころ・・・
ひかひか・・・
おぉそっちに行ったらいけない
雲の切れ目に足を踏み入れるとそのまま下界に落っこちるから気を付けろ
ゴロゴロゴロゴロ!!
ピカピカピカ
ころころころ・・・
ひかひか・・・
いい感じに駆け回っていると案の定雲の切れ目に足を踏み入れたら
そのままストーンと下界へ
落ちたところが竹やぶでちょうど虎が昼寝をしている頭に落っこちた
痛て!!!誰だ??
おや見慣れない奴がきょとんとしている
おい!謝れよ!
ヴゥーーーー!!!
うぁあ!
おとっちゃん!ふんどしがいじめるよ!
おう、そこいらをひと回りまわってくる
それじゃ坊やを一緒に連れってくださいな。
しょうがないなぁ・・・。
子供は足手まといだからな、けど末には立派な雷になるんだから
じゃ一緒に来いよ
ちゃんとおもちゃの太鼓と虎の皮のふんどしをしっかり締めてな
さぁ来い
ゴロゴロゴロゴロ
ピカピカピカ
子供のほうはそうは参りません
ころころころ・・・
ひかひか・・・
おぉそっちに行ったらいけない
雲の切れ目に足を踏み入れるとそのまま下界に落っこちるから気を付けろ
ゴロゴロゴロゴロ!!
ピカピカピカ
ころころころ・・・
ひかひか・・・
いい感じに駆け回っていると案の定雲の切れ目に足を踏み入れたら
そのままストーンと下界へ
落ちたところが竹やぶでちょうど虎が昼寝をしている頭に落っこちた
痛て!!!誰だ??
おや見慣れない奴がきょとんとしている
おい!謝れよ!
ヴゥーーーー!!!
うぁあ!
おとっちゃん!ふんどしがいじめるよ!
タグ: 鬼
2017年07月18日
寿限無
こんにちは
ごめん下さい
はいはい、おぉどうした
今日は何の御用だい?
子どもが産まれましてね
あっしら夫婦で色々と名前を考えたんですが
中々良い名前が思いつかなくってね
今日は和尚さんに名前を付けてもらいたいと思って来たんでございますが
何かめでたくって、すくすくと育つような名前がありましたら
教えて貰いたいのですがね
おぉそうかい
あたしが名前を付けるこれは嬉しいことだ
お寺の方にある経文の中にも大変めでたい言葉がいくつもある
寿(ことぶき)限り無しと書いて寿限無(じゅげむ)というのはどうだい
あぁなるほど寿限無ね
めでたいことがいっぱいって事ですか
それで決めてもいいのですが他には何かありますか
五劫(ごこう)の擦り切れっというのがあるぞ
えっ牛蒡(ごぼう)がなんですか?
牛蒡じゃない五劫の擦り切れだ
これはな一劫というのは三千年に一度
天から天女が降りてきて羽衣を大きな岩をなでるんだ
この大きな岩がなでられて無くが一劫
これが五劫だからこれも果てしの無い時間ということから
おめでたいとされているなぁ
あぁなるほどねぇ
他には何かございますか
海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)っていうのはどうかな
海砂利水魚ってなんですか
うん、海の砂利取っても取っても取り尽くせない
水の中の魚も取っても取っても取り尽くせないという事から
おめでたいとされているなぁ
なんだかめでたい感じがしますね
他にも何かありますか
水行末、雲来末、風来末っていうのもあるぞ
水の行く末、雲の行く末、風の行く末だ
何処から来て何処へ去って行くのか
これは無限の広がりがあり
これもまためでたいとされているな
あぁそうですか
他には?
食う寝る処に住む処っていうのはどうだい?
なんだか名前らしくないですね
何ですかそれ
人というのは衣食住が足りていないと生活ができない
それが食う処と住む処がずっと付いて回ったらめでたいだろ
なるほど食う寝る処に住む処ですか
他にありますか
藪(やぶ)ら柑子(こうじ)の藪柑子っていうのもあるぞ
なんですか藪柑子っていうのは
これはめでたい木とされていてな
春には芽が出、夏には緑の葉をたたえ、
秋には赤い実を付け、冬の寒さにじっと耐える
これはとっても元気で丈夫でおめでたい木とされている
へぇなるほどねぇ〜
他には何かありませんかね
昔唐土でなパイポという国があってなぁ
そこの王様でシューリンガン、お妃でもってグーリンダイという方がいた
このお二人の間に産まれたのがポンポコピーのポンポコナー
このお二方が大変長いきされたとして、これまたおめでたい名前だな
長生きをしておめでたいですね
他にはありますか
う〜ん・・・
長く久しい命と書いて長久命(ちょうきゅうめい)っていうのはどうだい?
これはめでたいですね
他には?
これはね私がいつか付けてあげたいと思っている名前で
考えていたのは長く助けると書いて長助だ
これはどうだろうな
長助ね良い名前ですね
う〜んどうしようかな・・・
今ここで決めるのはなかなか難しいのでね
家に帰って家内と相談して決めますんで
すみませんがこの紙に書いてくれますか
どうもありがとうございました
おい行ってきたよ
どうだった?
やっぱりねぇ〜和尚さんは色んな事を知っているよ
こんなに色々考えてもらったんだ
この中から決めようと思っているんだけど
どれにしようね
そうだね
たくさん良い名前があるね
寿限無を付けて、病気になって長久命を付けていれば良かった
なんて事になるといけないしなぁ・・・
これ全部めでたいんだからこれそっくり付けてしまおうか
のんきな話があったもんですが、付けられた子供は大変です
さらに大変なのは友達だったりご近所の方です
名前が良かったのですか病気一つ無く
すくすくと育っていきました
お友達が学校へ行くために誘いに来てくれます
じゅげむじゅげむ、ごっこうのす〜りきれ
か〜いじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ
くうねるところにすむところ
やーぶらこうじのやぶこーじ
ぱいぽぱいぽ、ぱいぽのしゅ〜りんがん
しゅうりんがんのぐ〜りんだい
ぐーりんだいのぽんぽこぴいのぽんぽこな〜っの
ちょうきゅうめいのちょ〜すけさんがっこうに行きましょう
まぁよく来てくれたねぇ
うちの寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助はまだ寝てます
ちょっと待っててください
今起こしますから
これ寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助や!
お友達が誘いに来ていますよ
早く起きて学校へ行きなさい!
これ寿限無、寿限無、五劫の・・・
おばちゃん、もういっかい聞いていたら
がっこうおそくなるから先にいきます
病気一つしなかったのですが腕白で喧嘩早い子になりました
この子に殴られた子供が泣きながら言い付けに来ています
うわぁ〜〜〜ん
おばちゃ〜ん
あんたの子のなぁじゅげむじゅげむ、ごっこうのすりきれ
かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ
くっ、くうねるところにすむところ
やぶらこうじのやぶこうじ
ぱいぽぱいぽ、ぱいぽのしゅうりんがん
しゅうりんがんのぐーりんだい
ぐーりんだいのぽんぽこぴいのぽんぽこなの
ちょうきゅうめいのちょうすけさんがぁ
ぼっぼくの頭をたたいて大きなこぶができたぁ(涙)
まぁ!!なんだってうちの
寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助が頭叩いてこぶを作ったって?!
ちょっとあんた!
うちの寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助がこの子の頭叩いて大きなこぶをつくたって!!
なんだって寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助がお前の頭叩いって大きなこぶをつくたって?!
それは悪い事をしたなぁ
おじさんが見てやるから何処を叩いたんだ?
・・・おい嘘ついたダメだろ
何処に大きなこぶがあるだ?
おじさん大きなこぶはあったんだけど
名前をいっているあいだに長いから
こぶがひっこんじゃった
ごめん下さい
はいはい、おぉどうした
今日は何の御用だい?
子どもが産まれましてね
あっしら夫婦で色々と名前を考えたんですが
中々良い名前が思いつかなくってね
今日は和尚さんに名前を付けてもらいたいと思って来たんでございますが
何かめでたくって、すくすくと育つような名前がありましたら
教えて貰いたいのですがね
おぉそうかい
あたしが名前を付けるこれは嬉しいことだ
お寺の方にある経文の中にも大変めでたい言葉がいくつもある
寿(ことぶき)限り無しと書いて寿限無(じゅげむ)というのはどうだい
あぁなるほど寿限無ね
めでたいことがいっぱいって事ですか
それで決めてもいいのですが他には何かありますか
五劫(ごこう)の擦り切れっというのがあるぞ
えっ牛蒡(ごぼう)がなんですか?
牛蒡じゃない五劫の擦り切れだ
これはな一劫というのは三千年に一度
天から天女が降りてきて羽衣を大きな岩をなでるんだ
この大きな岩がなでられて無くが一劫
これが五劫だからこれも果てしの無い時間ということから
おめでたいとされているなぁ
あぁなるほどねぇ
他には何かございますか
海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)っていうのはどうかな
海砂利水魚ってなんですか
うん、海の砂利取っても取っても取り尽くせない
水の中の魚も取っても取っても取り尽くせないという事から
おめでたいとされているなぁ
なんだかめでたい感じがしますね
他にも何かありますか
水行末、雲来末、風来末っていうのもあるぞ
水の行く末、雲の行く末、風の行く末だ
何処から来て何処へ去って行くのか
これは無限の広がりがあり
これもまためでたいとされているな
あぁそうですか
他には?
食う寝る処に住む処っていうのはどうだい?
なんだか名前らしくないですね
何ですかそれ
人というのは衣食住が足りていないと生活ができない
それが食う処と住む処がずっと付いて回ったらめでたいだろ
なるほど食う寝る処に住む処ですか
他にありますか
藪(やぶ)ら柑子(こうじ)の藪柑子っていうのもあるぞ
なんですか藪柑子っていうのは
これはめでたい木とされていてな
春には芽が出、夏には緑の葉をたたえ、
秋には赤い実を付け、冬の寒さにじっと耐える
これはとっても元気で丈夫でおめでたい木とされている
へぇなるほどねぇ〜
他には何かありませんかね
昔唐土でなパイポという国があってなぁ
そこの王様でシューリンガン、お妃でもってグーリンダイという方がいた
このお二人の間に産まれたのがポンポコピーのポンポコナー
このお二方が大変長いきされたとして、これまたおめでたい名前だな
長生きをしておめでたいですね
他にはありますか
う〜ん・・・
長く久しい命と書いて長久命(ちょうきゅうめい)っていうのはどうだい?
これはめでたいですね
他には?
これはね私がいつか付けてあげたいと思っている名前で
考えていたのは長く助けると書いて長助だ
これはどうだろうな
長助ね良い名前ですね
う〜んどうしようかな・・・
今ここで決めるのはなかなか難しいのでね
家に帰って家内と相談して決めますんで
すみませんがこの紙に書いてくれますか
どうもありがとうございました
おい行ってきたよ
どうだった?
やっぱりねぇ〜和尚さんは色んな事を知っているよ
こんなに色々考えてもらったんだ
この中から決めようと思っているんだけど
どれにしようね
そうだね
たくさん良い名前があるね
寿限無を付けて、病気になって長久命を付けていれば良かった
なんて事になるといけないしなぁ・・・
これ全部めでたいんだからこれそっくり付けてしまおうか
のんきな話があったもんですが、付けられた子供は大変です
さらに大変なのは友達だったりご近所の方です
名前が良かったのですか病気一つ無く
すくすくと育っていきました
お友達が学校へ行くために誘いに来てくれます
じゅげむじゅげむ、ごっこうのす〜りきれ
か〜いじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ
くうねるところにすむところ
やーぶらこうじのやぶこーじ
ぱいぽぱいぽ、ぱいぽのしゅ〜りんがん
しゅうりんがんのぐ〜りんだい
ぐーりんだいのぽんぽこぴいのぽんぽこな〜っの
ちょうきゅうめいのちょ〜すけさんがっこうに行きましょう
まぁよく来てくれたねぇ
うちの寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助はまだ寝てます
ちょっと待っててください
今起こしますから
これ寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助や!
お友達が誘いに来ていますよ
早く起きて学校へ行きなさい!
これ寿限無、寿限無、五劫の・・・
おばちゃん、もういっかい聞いていたら
がっこうおそくなるから先にいきます
病気一つしなかったのですが腕白で喧嘩早い子になりました
この子に殴られた子供が泣きながら言い付けに来ています
うわぁ〜〜〜ん
おばちゃ〜ん
あんたの子のなぁじゅげむじゅげむ、ごっこうのすりきれ
かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ
くっ、くうねるところにすむところ
やぶらこうじのやぶこうじ
ぱいぽぱいぽ、ぱいぽのしゅうりんがん
しゅうりんがんのぐーりんだい
ぐーりんだいのぽんぽこぴいのぽんぽこなの
ちょうきゅうめいのちょうすけさんがぁ
ぼっぼくの頭をたたいて大きなこぶができたぁ(涙)
まぁ!!なんだってうちの
寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助が頭叩いてこぶを作ったって?!
ちょっとあんた!
うちの寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助がこの子の頭叩いて大きなこぶをつくたって!!
なんだって寿限無寿限無、五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助がお前の頭叩いって大きなこぶをつくたって?!
それは悪い事をしたなぁ
おじさんが見てやるから何処を叩いたんだ?
・・・おい嘘ついたダメだろ
何処に大きなこぶがあるだ?
おじさん大きなこぶはあったんだけど
名前をいっているあいだに長いから
こぶがひっこんじゃった
2017年07月16日
あたま山
ケチな方がサクランボを食べていて
種ももったいないと思い一緒に食べてしまう
この種がお腹の中で体の温かみで種から芽が出て
これがだんだん成長して木になります。
頭を突き抜けて、これは立派な幹になった
枝を広げますと立派な桜の木に成長いたしまして
春になると綺麗な桜の花が咲きました。
ごめんくださいまし、旦那様
おいでになりましたね
今日お留守だったらどうしようと思ってました。
実はね、あたま山の桜を。
私も噂を聞かない事はないが立派なそうだな
一度行ってみたいと思っているんだけどね
それでございますよ
たった一本の桜の木でございますが、それは見事な事というのは実に大したもので
それがために人が出ますよ
どうですか旦那様、今日は別段お差支えはございませんか?
・
・
ございませんか。あぁ良かった
実はねあたしどもで趣向を凝らしましていつもの女の子を残らず味方につけまして、
もう食べるものから飲むものまで一切合財支度をして酒屋の四つ角で待ってるんですよ
これからお出ましになりませんかな?
そうだね、花を見に行くのに何も着物を着替えて改めて行かなくっても良いわな
じゃ、このまんまで羽織でもひっかけて出かけるか
是非ともお供いたしますよ
旦那様、ご覧ください
この人の多さ、賑やかなものですね
あっちの方じゃ一塊になって歌を歌っている
酒を飲んで歌うのは発散して身体には極良いもので
ところで手前どもはどこに陣取りしましょうか?
・
・
ここいらで良いでしょうか?
それじゃみんな毛氈を敷くから、お重箱やおにぎりは真ん中に置いて
さて旦那様、正面にお座りください。
家に良いお酒が御座いましたので、旦那様お注ぎいたします。
これはいい酒だ
御酒が回ったところで、向こうは歌で盛り上がっております。
こっちはきれいなお姉さん方いますので踊りと行きましょうか?
手踊りでもって奴さんといきましょう。
♪?♪???♪?♪???♪?♪????♪???
良いね!ご苦労様でした。
こっちに来てお食事と行きましょう
えっ?お前もやったらどうだって、あたくしがですが?
駄目ですよ男の踊りなんて、、えっ俺が言いつけるからやれっと?
困ったらな・・・。
それじゃステテコと参りましょう
???♪???♪?♪???♪????♪??
その陽気なことは御座いません。
別の方ではお酒ばかり飲んでいます。
おい注いでくれよ
もうお終いだよ
何を??
酒がねぇのか?
飲んじゃったんだからねぇよ
無ければ買って来いよ
買って来いって言ってもこの山に酒屋なんてありはしない
山にねぇって言っても日本中の酒屋が辞めちまった訳じゃあるまい
探して買ってきたらどうだ?
そんな無理を言っても・・・
何が無理なんだよ!
無理も提灯袋もあるか!!
おぉお前茶飲み茶碗を俺に投げつけたな!
てめぇは喧嘩を売るつもりか?!
売るつもりだったらどうした!
てぇめは買うつもりか?!
当たり前だ!
といって取っ組み合いの喧嘩が始まりました。
もう日が一日騒々しい
頭を一つ振りますとみんな地震だと言って逃げていった
こんな木があるから人が寄ってくる
頭に生えている木を引っこ抜くと大きな窪みが出来ました
この人が用足しに参りますと夕立があってこの窪みに水がたまった。
根がケチな人だからこの水を捨てません
そうこうする内に魚が泳ぐようになりました。
そうなると朝から子供が釣りに来ます。
子供っていうのは妙なもので、糸が切れたら泣きわめく
隣の子供の糸と絡まるとすぐに喧嘩になる。
夜になると舟を漕いてきて網を打つ人もいる。
何が取れただの、ゴミしか取れないだの実にうるさい。
うるさくって敵わないと思い
自身の頭の池に身を投げてしまいました。
種ももったいないと思い一緒に食べてしまう
この種がお腹の中で体の温かみで種から芽が出て
これがだんだん成長して木になります。
頭を突き抜けて、これは立派な幹になった
枝を広げますと立派な桜の木に成長いたしまして
春になると綺麗な桜の花が咲きました。
ごめんくださいまし、旦那様
おいでになりましたね
今日お留守だったらどうしようと思ってました。
実はね、あたま山の桜を。
私も噂を聞かない事はないが立派なそうだな
一度行ってみたいと思っているんだけどね
それでございますよ
たった一本の桜の木でございますが、それは見事な事というのは実に大したもので
それがために人が出ますよ
どうですか旦那様、今日は別段お差支えはございませんか?
・
・
ございませんか。あぁ良かった
実はねあたしどもで趣向を凝らしましていつもの女の子を残らず味方につけまして、
もう食べるものから飲むものまで一切合財支度をして酒屋の四つ角で待ってるんですよ
これからお出ましになりませんかな?
そうだね、花を見に行くのに何も着物を着替えて改めて行かなくっても良いわな
じゃ、このまんまで羽織でもひっかけて出かけるか
是非ともお供いたしますよ
旦那様、ご覧ください
この人の多さ、賑やかなものですね
あっちの方じゃ一塊になって歌を歌っている
酒を飲んで歌うのは発散して身体には極良いもので
ところで手前どもはどこに陣取りしましょうか?
・
・
ここいらで良いでしょうか?
それじゃみんな毛氈を敷くから、お重箱やおにぎりは真ん中に置いて
さて旦那様、正面にお座りください。
家に良いお酒が御座いましたので、旦那様お注ぎいたします。
これはいい酒だ
御酒が回ったところで、向こうは歌で盛り上がっております。
こっちはきれいなお姉さん方いますので踊りと行きましょうか?
手踊りでもって奴さんといきましょう。
♪?♪???♪?♪???♪?♪????♪???
良いね!ご苦労様でした。
こっちに来てお食事と行きましょう
えっ?お前もやったらどうだって、あたくしがですが?
駄目ですよ男の踊りなんて、、えっ俺が言いつけるからやれっと?
困ったらな・・・。
それじゃステテコと参りましょう
???♪???♪?♪???♪????♪??
その陽気なことは御座いません。
別の方ではお酒ばかり飲んでいます。
おい注いでくれよ
もうお終いだよ
何を??
酒がねぇのか?
飲んじゃったんだからねぇよ
無ければ買って来いよ
買って来いって言ってもこの山に酒屋なんてありはしない
山にねぇって言っても日本中の酒屋が辞めちまった訳じゃあるまい
探して買ってきたらどうだ?
そんな無理を言っても・・・
何が無理なんだよ!
無理も提灯袋もあるか!!
おぉお前茶飲み茶碗を俺に投げつけたな!
てめぇは喧嘩を売るつもりか?!
売るつもりだったらどうした!
てぇめは買うつもりか?!
当たり前だ!
といって取っ組み合いの喧嘩が始まりました。
もう日が一日騒々しい
頭を一つ振りますとみんな地震だと言って逃げていった
こんな木があるから人が寄ってくる
頭に生えている木を引っこ抜くと大きな窪みが出来ました
この人が用足しに参りますと夕立があってこの窪みに水がたまった。
根がケチな人だからこの水を捨てません
そうこうする内に魚が泳ぐようになりました。
そうなると朝から子供が釣りに来ます。
子供っていうのは妙なもので、糸が切れたら泣きわめく
隣の子供の糸と絡まるとすぐに喧嘩になる。
夜になると舟を漕いてきて網を打つ人もいる。
何が取れただの、ゴミしか取れないだの実にうるさい。
うるさくって敵わないと思い
自身の頭の池に身を投げてしまいました。