一階の部屋の水面は、足首が浸かる位置にある。
なぜか学ランを着ていて、生徒会的な打ち合わせをしていた。
4人ほどの学生たちと『これぞ青春学園ドラマ!!』的な熱い話し合いをした。
内容は忘れた。
どういう流れか、校歌をつくることになった。
二枚目で素っ気ない男の子が小さく歌いだした。
「ねぇ、大好きな君へ」笑わないで聞いてくれ♪
おとなしいメガネをかけた女の子が応えるように、つぶやくように歌いだす。
だけど この言葉以外 伝える事ができない♪
副会長でヒロイン的な女の子が、何かを吹っ切ったように立ち上がり歌いだす。
君の選んだ人生(ミチ)は僕(ボク)で良かったのか?なんて♪
生徒会長の主役的な男の子が高らかに歌いだす。
ただ 泣いて 笑って
過ごす日々に
隣に立って 居れることで
僕が生きる 意味になって
君に捧ぐ この愛の唄♪
4人がお互いの想いを確認し合うように顔を見合せ、歌を続ける。
この状況が飲み込めずポカンとする僕。
なのに、体はなにか気まずそうにうつ向いて机の上で座っている。
(ん?なに俺?なにこのポジション?)
主役の彼が歌いながら近いてくる。
お互いの間にあった問題が氷解した和解の眼差しをしている。
その眼差しに耐えられず、目を固く閉じて懺悔するように歯を噛み締める僕。
直後。
いつも迷惑をかけてゴメンネ
密度濃い時間を過ごしたね♪
(歌うんかぃいい!!)
自分の歩みを確かめるように、ゆっくり5人が外に並ぶ。
本当の仲間になったこの瞬間を誇るように、世界に向かって歌う。
5人の思い出がセピア色にのって甦る。
幼なじみで両想いの会長と副会長。
副会長への気持ちを隠さない二枚目の男の子。
二枚目の男の子に想いを寄せるメガネの女の子。
みんなで乗り越えた学校行事。
クラス内の衝突。
暴走族と生徒会の対決。
族抜けに苦しむ僕。
(…僕!?ちょっ、そんな過去なんかあらへんし!!)
ただアリガトウじゃ 伝えきれない
泣き笑いと悲しみ喜びを共に分かち合い生きて行こう
いくつもの 夜を越えて
僕は君と 愛を唄おう♪
涙に濡れながら、笑顔の大円団を迎えた。
ニヤニヤしている自分に気づいて目が覚める。
傍らにあるiPodからGReeeeNの『愛唄』が流れている。
「…なんの、夢やねんな」
軽く疲労感を覚えた。
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