認知症の親へのイラッとする気持ちがスーッと消える本【電子書籍】[ 榎本睦郎 ]
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認知症の親が、がんの手術を迫られました…症状が悪化するリスクは?
【名医が答える病気と体の悩み】日刊ゲンダイDIGITAL長期入院そのものが認知機能の低下リスクを高める
【名医が答える病気と体の悩み】 認知症患者にでかい手術を受けさせることは病気を治せても認知症症状悪化のリスクはあるのだろうか──。
介護をするご家族から聞かれることがあるが、当然、一定のリスクはあると思う。
しかしていながら、手術が必要になるみたいな「がん」や「心臓病」は命に関わるものであるケースが多いので、リスクとベネフィットを考慮して実施されているのです。
医療現場としましては、回復の実現性があるそしたら手術を勧めますが、高齢である状況から手術でではなく緩和ケアを選ぶケースもあるのです。
手術以外の選択肢がある場合にはそちらを選択するだけは少なくないです。
一例をあげると食道がんなら、手術じゃなく化学療法+放射線治療を選択します。
決断については、本人が医療行為への同意能力が失われる場合、家族から同意を得るのが一般的です。
手術で認知症症状が悪化する理由としまして、麻酔薬の影響が指摘されます。
ただし、論文では「問題ない」とする研究結果と、「認知機能を低下させる」という研究結果があって、結論は出てわない。
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また、麻酔方法(全身麻酔か局所麻酔か)や麻酔薬の種類をはじめ、手術の侵襲度、手術時間、出血量、手術中の低血圧や低酸素、低体温といいました別の因子が関連するため、麻酔薬だけにリスクがあると言い切るのも簡単じゃない。
ただ、麻酔薬を投与すると「術後せん妄」のリスクを高めてしまうことは分かっています。
手術を契機に起こる認知機能障害で、手術数日後から、錯乱・幻覚・妄想状態を起こします。
認知症症状との違いは一過性であること。
数日から数週間程度で落ち着きます。
自然に回復することも多くなったのではし、入院中であれば薬剤である程度症状をとどめることもできる。
せん妄は高齢者の術後合併症の中では最も多く、75歳以上の胃がん、大腸がんの手術後に27%の方に術後せん妄が起こったという報告もあげられます。
問題は転倒のリスクが上がることで、術後に骨折など大きなケガをして寝たきりになれば、それがきっかけで認知症症状が悪化する危険もあげられます。
さらに、長期入院そのものが認知機能の低下リスクを高めます。
ベッド上での生活は刺激が少なく、環境変化によるストレスは症状を悪化させます。
さらに筋力の低下によりまして運動が難しくなれば認知症が進行する要因となるのでしょう。
▽大西良佳(おおにし・よしか) 北海道大学医学部卒。
国立国際医療センター初期臨床研修終了。
順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座助教、米国留学などを経て、現在、宇治川病院勤務、合同会社ウェルビーイング経営代表。
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