住宅ローン「変動型」で金利1%以下も
日本銀行の超低金利政策を背景に当初の適用金利が年1%以下の商品も登場し、固定型金利からの移行が鮮明だ。ただ、将来、金利が上昇に転じた際には固定型と比べ負担が重くなるリスクもある。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの新規契約者のうち変動型金利を選ぶ人の割合は、2007年1月の9・4%から最近は5割前後に上がっている。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3行では、今年に入り8〜9割が変動型を選択しているという。
要因は、超低金利政策が続く中で、変動型のローン金利も当面は上がらないとの見方が強いことだ。09年以降は、金融機関と住宅販売業者が提携し、一定の頭金などを条件に年1%を下回る金利を適用するローンも相次いでいる。これに対し、主要銀行の固定型の住宅ローン金利は現在、期間10年で年4%前後だ。
銀行側には、設備投資の低迷などで法人向け融資が伸び悩む中、住宅ローンなど個人向けの取引を伸ばしたいという事情がある。変動型は固定型より金利を下げやすく、「他の金融商品の販売につながるきっかけにもなる」(大手行幹部)と、当初は利ざやを抑えてでも金利を下げ、顧客を囲い込もうとしているようだ。住宅販売業者も、販売促進のため当面の返済額が少ない変動型を勧めるケースが多いという。
さらに8月に入って、日本に加え欧米でもデフレ懸念が出ていることなどを背景に、国内外で長期金利が下がっている。そのため、「金利の先安感が強い間は、変動型の人気が続く」(大手行)とみられている。
一方、変動型は半年ごとに金利を見直すため、景気が上向くなどして市場金利が上昇すれば、ローン金利も上がることになる。その場合、返済計画に狂いが生じる恐れもある。専門家は「変動型を選ぶ人はゆとりを持った返済計画を立てることが重要。低金利のうちに返済額を確定できる固定型に切り替えられるよう、準備もしておくべきだ」(ファイナンシャルプランナーの西原憲一さん)と助言している。(山内竜介)
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