2018年06月18日
六本木アート・トライアングル
六本木のアートシーンを引っ張ている象徴的な3つの美術館です。
防衛庁の跡地の再開発によって、新しく生まれた「東京ミッドタウン」は、デザインとアートの空気が濃厚なエリアです。
防衛庁の跡地の再開発は、「デザイン」が大きなテーマになっています。テーマを実践する象徴として、財団法人日本産業デザイン振興会が誘致されています。財団法人日本産業デザイン振興会はグッドデザイン賞を主催している団体です。グッドデザイン賞は、「デザインが優れている物事」に贈られる賞です。「物事」とあるように、工業製品だけではなく、ビジネスモデルも対象となっていますし、イベント活動もあります。2011年のグッドデザイン大賞は、東日本大震災でのインターナビによる取り組み「通行実績情報マップ」でした。
東京ミッドタウンには、デザイン専門施設の「21_21 DESIGN SIGHT」もあります。「21_21 DESIGN SIGHT」を運営しているのは三宅一生デザイン文化財団です。世界的に日本からデザインを発信していこうという強い意気込みが感じられます。実際に、東京ミッドタウンでは夜景の照明から遊歩道の整備まで、新しい時代の幕開けをイメージさせつつも日常生活に溶け込んでいるデザインが豊富です。とてもハイセンスなのに、しっかりと溶け込んでいる感覚とでも言いましょうか。いわゆる「違和感」が少なめの、心地の良い快適な空気感なのではないかと思いますが、そういえば「未来的」「和風」「和洋折衷」などの言葉で表現される分野とは明らかに違う世界観ですね。現実なのに仮想空間的な印象も受けるので、将来的にはVRとの相性が良い街になっているかもしれませんね。オンラインゲームやMMORPGが好きな私としては、VR空間的な空気感には期待していますが、でもまあ本当に重要なのは人間の暮らしなので、安全で快適に過ごせる美しい領域であり続けて欲しいなと願っています。
長くなってしまいました。
東京ミッドタウンの特徴は、デザインと言って良いでしょう。お洒落な空間というよりも、なにか4次元空間や仮想空間にダイレクトにつながっていきそうな予感に満ちているデザインなので、お洒落な空間だけれど肩肘張らずに気楽に近寄れる雰囲気です。ふらりと散策しながら過ごせるので、美術館に行くだけでなく東京ミッドタウンそのものがアートなんだなと思います。しかもビジネスの拠点でもあるわけですから、まさに24時間、デザインに浸れる空間です。ある意味で六本木バブルの華やかな遊び人の空気感が洗練されて新世紀を迎えたかのようです。そういえば六本木で深夜まで踊って飲んで遊んでいた人たちは、お金持ちは多かったでしょうが、それほどお小遣いがあるわけでもない学生も大勢いましたので、良い意味で「熱量のある空気」が引き継がれているのかもしれません。熱量のある空気がなんなのか、書いてしまった私は説明が難しいのですが、まあ、「良い意味でのエネルギー」という感じです。たぶん。
インターネットが日常化している現代で、なおかつインターネットを快適に利用できる空間の象徴にもなっているんだと思います。どんどん便利になって、バリアフリーも自然に整備されている領域になっていくと良いなと思っています。
理想的なのは東京ミッドタウンだけでなく、東京そのものが「安全で快適な領域」になることです。
ビジネス分野では、さまざまな企業の本社もしくは「東京本部」が集まっています。
平成元年の頃すなわち「バブルの時代」には、「東京は東京でも、住所も重要」と言われることがありました。住所が「どちらの町名?」かというだけで、価値が変わったというわけです。地価にも影響する不動産価値と言っても良いでしょう。そういう意味では、六本木の防衛庁の跡地は、「新しい街」ですが、一気に不動産価値を上昇させたエリアと言っていいのかもしれません。
東京ミッドタウンの住所は、「東京都港区赤坂9-7-1 他」とあります。
防衛庁の跡地は、防衛庁本庁檜町庁舎が存在していた「東京都港区赤坂九丁目7番45号」です。
基本的なことですが、東京ミッドタウンは大規模複合施設です。施設の名前、ということですね。そんな施設の管理運営者は、東京ミッドタウンマネジメント株式会社です。この、東京ミッドタウンマネジメント株式会社は、「防衛庁跡地を落札した」三井不動産の100%子会社です。
そんな三井不動産の不動産(大規模複合施設)に「入居」している企業は、代表的なものだけでも、
コカ・コーラ ボトラーズ、シスコシステムズ、ジーユー、スルガ銀行、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ナイキ、富士フイルムホールディングス、ユニクロ、コナミホールディングス株式会社
などがあります。
六本木アート・トライアングルと呼ばれる3つの美術館は、国立新美術館とサントリー美術館と森美術館です。
1つの美術館の「チケット半券」で、他の2つの美術館を割引で利用できます。観覧料が割引ということなので、イベントによってはチケットそのものが入手困難な人気ぶりの場合があるかもしれませんので、現実的に「美術館をハシゴする」のが容易かどうかは判断が難しいです。でも、「1日で3つ回ろう」と決めて行動する場合には、「1つの美術館だけ、展覧会のチケット」を購入しておいて、他の2つを「割引で」とすると良いと思います。
美術館は「企画展」によって価格が変わる可能性がありますし、美術館によっては「観覧時間」が変わることもあります。出かける前に、要チェックです。
国立新美術館
03-5777-8600
東京都港区六本木7-22-2
営業時間
●企画展 10:00〜18:00( 月水木土 日曜日)
●企画展 10:00〜20:00 ( 金 曜日)
●公募展 10:00〜18:00( 月水木金土日 曜日)
(いずれも、入館は閉館30分前まで)
展覧会によって観覧時間が異なりますので、必ずホームページをご確認下さい。
定休日 毎週 火 曜日
(祝日又は休日に当たる場合は開館し、翌日が休館) 年末年始
最寄駅 乃木坂 / 六本木
国立新美術館公式サイト
サントリー美術館
03-3479-8600
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガレリア 3階
営業時間 10:00〜18:00( 月水木 曜日)
10:00〜20:00( 金 曜日・ 土 曜日)
(入館は閉館30分前まで)
定休日 火 曜日、年末年始、展示替期間
最寄駅 六本木
サントリー美術館 公式サイト
森美術館
03-5777-8600
東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー 53F
営業時間
月水木金土日 曜日10:00〜22:00
火 曜日 10:00〜17:00
(入館は閉館30分前まで)
定休日 展覧会期中は無休
最寄駅 六本木
森美術館公式サイト
六本木に防衛庁があった時代の空気感
かつては「防衛庁」が、ありました。
三井不動産の、2001年のニュースリリースには、 三井不動産グループ、「六本木防衛庁跡地」を落札 、があります。
三井不動産ホームページでは、以下のように記されています↓
三井不動産グループ、「六本木防衛庁跡地」を落札
平成13年9月17日 三井不動産株式会社
本日、財務省(関東財務局)により、防衛庁檜町庁舎跡地の一般競争入札が実施されましたが、入札の結果、当社を幹事社とするグループがこれを落札いたしました。
落札金額(土地取得費)は、総額で1,800億円(坪単価@7,590千円/坪)で、グループメンバーは、当社(入札名義は複数特定目的会社名)、全国共済農業協同組合連合会、安田生命保険相互会社(入札名義は特定目的会社名)、積水ハウス株式会社、富国生命保険相互会社、大同生命保険相互会社の6社です。
本計画地は、都心に残された最後の大規模かつ優良な再開発案件のひとつであり、計画の詳細につきましては、上位構想も踏まえ、今後当社とメンバー会社で鋭意検討を継続し、オフィス、住宅、商業等の複合開発を実施していくこととなりますが、どの用途においても非常に高いポテンシャルをもった立地であると考えており、優良な再開発計画として、国際都市東京にふさわしい、名実ともに「都市再生」の一翼を担うプロジェクトとすべく、総力をあげて取り組んでまいりたいと考えております。
所在地 東京都港区赤坂9丁目142-1外1筆
地積 78,393.60m2
交通 都営地下鉄大江戸線・営団地下鉄日比谷線「六本木」駅徒歩1分、営団地下鉄「乃木坂」駅徒歩3分
スケジュール
入札公示: 平成13年5月25日
入札: 平成13年9月17日
契約締結: 平成13年10月9日(予定)
売買代金の支払い: 平成14年2月28日(予定)
いまでは「バブル」と呼ばれる特徴的かつ限定的な時代には、六本木で遊ぶ人たちが「防衛庁正門前」を、よく目にしていたと思います。
ディスコから出てきて、街を歩いていると、ふとしたときに、独特の広さと深さを感じる「都会空間」が存在しているのを目の当たりにしたものです。初めて見たとき「なにがあるんだろう?」と思いましたが、昼間もしくは夕暮れ時に門柱に掲げられている表札を見て「ここが防衛庁なのか」と感動しました。
防衛庁があるから治安が良い、と思っていたかもしれません。
当時はバブル現在進行形でしたが、おそらく「バブル」という言葉は知らずに、六本木で踊り、騒ぎ、飲んで、口説いて、遊んでいたのかなあ、という感じです。
いまでも私がハッキリ覚えているのは、シネヴィヴァン六本木という名のミニシアターです。シネヴィヴァンと俳優座は、それはそれはもう何度も通いました。お金が無くなってもロビーによって映画のチラシをもらってくるのが日課のような感じです。なつかしいなあ。
六本木の防衛庁が「再開発されるらしい」と知り、やがて本当に「跡地」になっていました。
防衛庁檜町庁舎跡地の一般競争入札が実施され、落札したのが三井不動産だったというわけです。正確には、三井不動産を幹事社としたグループで、コンソーシアム6社です。
コンソーシアム6社とは、
積水ハウス、全国共済農業協同組合連合会、大同生命保険、富国生命保険、三井不動産、安田生命保険
です。
ちなみに。
三井不動産はバブルのときに月島・佃島にタワーマンションを建築したことで有名です。東京湾岸の「ウォーターフロントエリア」の開発を手掛けていた象徴的なマンションです。いまでは、あちこちにタワーマンションがありますが、先駆け的な存在でした。
歴史的に振り返りますと、1988年(昭和63年)7月19日の閣議決定です。まだ「昭和」です。その日の閣議決定に内容が、49の行政機関の移転です。移転する行政機関の中に、防衛庁も含まれていました。六本木に君臨していた防衛庁が、ついに別の場所へ移転するということなのですが、当時の私は知る由もなかったのか、あるいは気にも留めなかったのか、いずれにしても「あの跡地、どうなるんだろうね?」と気にするようになった時にはもうバブルは弾けて飛んでいたと思います。
多極分散型国土形成促進法に基づく閣議決定と言うことらしいのですが、もしかすると「首都移転計画」も取り沙汰されていましたから、大きく変化している時代でもあったのでしょう。というよりも、江戸・東京は、いつになったら、それなりの「完成形」を迎えるのでしょうね。いつも、どこかで、工事中です。それも修理や修繕と言うより、再開発の工事です。
深夜遅くまで遊んでいても安心できる空気感があり、そこに防衛庁があるという安心感と言いますか信頼を寄せられる空気感もありました。六本木で遊んでいて終電がなくなるのは、当たり前。始発電車まで、どうやって過ごそうかという問題では、いつも「ここ開いてる」というお店をハシゴしたり、さらに飲んで、ぐったりしてみたり、なんだか記憶の中では自由な息遣いです。まあ、当時は当時なりに苦悩や迷いがあったんですけどね、私の人生にも、一緒に遊び歩いていた仲間たちにも。時間の経過で、余計な記憶は削ぎ落されたのか、いいことばかりが記憶に残っています。
背伸びしていたかな、という気持ちもありますが、背伸びだろうがなんだろうが、楽しんでいたことに変わりありません。当時の音楽を聴くと、当時の空気感そのものを思い出します。いまでも強烈です。とくにマイケル・フォーチュナティの「Give Me Up」「Into The Night」は色あせないですね。いや、色あせない名曲はたくさんありますが、この2曲は特別で格別です。
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