香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、中国軍は26日朝、内陸部の青海省と沿岸部の浙江省からそれぞれ 中距離弾道ミサイルを1発ずつ>、南シナ海に向けて発射 した。中国軍に近い消息筋が明らかにしたという。
中国国防省は25日、 人民解放軍の北部戦区が実弾演習のために設定した 飛行禁止区域に米軍のU2偵察機が同日侵入した と非難する声明を発表していた。
弾道ミサイル2発(グアム・キラー、空母キラー)の発射は、こうした米軍の行動に警告を与える狙いがありそうだ。
◇中国弾道ミサイル、日本も射程内 高速変則軌道や潜水艦発射型も開発
中国は約2000基もの日本を射程に収めるミサイルを配備しているとみられている。今回発射された東風(DF)21DやDF26といった中距離の対艦弾道ミサイル(ASBM)のほか、変則軌道で高速飛行する新型、潜水艦発射型の弾道ミサイル(SLBM)の開発・保有も進めている。
昨年10月、北京・天安門広場で中国建国70周年の軍事パレードが行われ、さまざまな兵器が披露された。日米の防衛当局者が特に注目したのが、初登場した 中距離弾道ミサイルDF17と 大陸間弾道ミサイル(ICBM)DF41の2つだ。
DF17は在日米軍基地を含む日本の大半を射程に収める。複雑な動きをしながらマッハ5以上で飛ぶ極超音速滑空兵器(HGV)を搭載できる 。
イージス艦と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)による既存の日本の迎撃システムは、従来型の弾道ミサイルに対応しており、DF17の迎撃は難しいとみられる。
防衛省は戦闘機や巡航ミサイルを撃ち落とす「03式中距離地対空誘導弾」の改良型(中SAM改)を追加改良し、DF17などの新型弾道ミサイル迎撃能力を付与したい考えで、今年度、研究に着手した 。
DF41は射程が1万1200キロで米国のほぼ全土に届き、米国が強く警戒。10個の弾頭を搭載可能だ。
今回発射されたDF21Dは射程2150キロで、海上を航行する敵の空母も攻撃できる「空母キラー」。DF21Dの射程を倍以上に伸ばしたのが「グアムキラー」ことDF26である。
中国は
8000キロの長射程で潜水艦から発射する「巨浪(JL)2」 と、
搭載・発射するための原子力潜水艦も 開発。
潜水艦は海中を隠密に移動でき、相手に発射地点を特定されにくい。
中国の潜水艦が第一列島線(南西諸島〜台湾〜フィリピンを結ぶライン)を越え、東シナ海から太平洋に抜ければ日本はもとより米全土が脅威にさらされる。
防衛省制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は27日の記者会見で、中国のミサイル開発について「動向を監視しないといけない。日米の態勢強化を図っていく必要がある」と強調した。(田中一世)
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