「退院でベッドが空いてもすぐ次の患者が来る。いっぱいいっぱいだ」。主に軽症の感染者を診る東京都杉並区の河北総合病院では、30床あるコロナ患者用病床がほぼ満床の状態が続く。感染対策で病室を分けるため、実際は全体の2割に当たる76床分を割いており、設置数は限界。杉村洋一院長は「これ以上増えれば、入院を断らざるを得なくなる」
症化した患者が移される拠点病院も切迫する。東京医科歯科大病院(文京区)では、入院の長期化で8床ある重症者用ベッドが空かず、受け入れに支障が出ている。内田信一院長は「本来2週間程度で病状が改善するが、高齢者が増え、なかなか良くならずベッドが回転しない」と話す。
重症者のケアには通常の集中治療室の約4倍の人手が必要。スタッフ数で逆算すると8床がぎりぎりだ。内田院長は「手を尽くしても良くならず亡くなる。この状態がいつ終わるかも分からず、ストレスは大きい。この体制がいつまで持つか」
◇大阪市コロナ専門病院「もたない」 看護師14人が退職
緊急事態宣言下の4月14日、松井一郎市長が十三市民病院をコロナ専門病院にすると表明。当時は、重症者の治療に必要な体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)がある医療機関で中等症患者も抱え、重症者の受け入れを難しくしていた。中等症専門となった十三市民病院は、「医療崩壊させないためのとりで」(松井市長)と位置づけられた。
だが、コロナ患者が一時的に減った6月ごろから、医師や看護師らが次々と辞めていった。10月までに医師4人、看護師14人を含む25人ほどの病院職員が病院を離れた。職員全体の7%を占めた。背景には本来の専門分野の患者を診られなくなったことへの戸惑いなどがあり、分娩(ぶんべん)に立ち会えなくなった産科の看護師も辞めた。
病院では、離職を防ごうと、7月から産科以外の外来を再開したが、利用者はコロナ禍前の半分程度にとどまる。新型コロナ以外の入院患者も以前の2割に満たず、退職者が続いた。
◇コロナ対応限界、看護師退職止まらず…
◇12/4 都道府県別「入院者数」と「新型コロナ対応のベッド数」
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