ポケットの中の大穴をまさぐりながら、コーヒーを落とした。
彼はきれいな英語を話す。
「コーヒー好きですねえ」
「今落としているけど、飲む?」
「いや、水でいいです。コーヒー苦い」
笑いながらミネラルウォーターのサーバーに手をやった。
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「聞いてくれるかな、笑い話があるんだ」
「なに?」
「今日、この短パンを買ったんだ。トンデムンで」
「そう。セカンド・ハンド(中古)?」
「そうそう。だからサイドのポケットをチェックして、
お尻のポケットをチェックして、小さいポケットをチェックして、
ポケットのボタンをチェックして、ジッパーをチェックして…」
「OKだから買った?」
「そう。で、今、帰ってきて、履いてみたら…」
「うん」
「このポケットだよ〜〜」
左右のメインのポケットを引っ張り出して、穴を見せた。
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「あははは、両方! チェックしなかったの?」
「まさかメインのポケットが破れてるとは思わないよ。
周りのポケットばっかりチェックしたんだよ〜。
ごみ入ってないかとか、ボタンついているかとか。
6箇所もあるから念入りにチェックしたんだけど、
2箇所のメインはチェックしなかったんだよ〜〜」
「あはは、ダメですね〜」
彼は笑いながら、腰を下ろした。
バカな話をしている間にコーヒーが落ちたので、カップに注ぎ入れた。
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「あ!そうだ! 宿の近くにクリーニング屋さんある?」
彼に笑われながら話しをしていると、自分の記憶に閃きが走った。
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