2014年02月08日
本格化した「春闘」 どんな流れで行われるの?
企業と労働側による「春闘」が本格的にスタートしました。今年の春闘は大きな注目を集めています。アベノミクスによる円安・株高を背景に企業の業績は回復傾向にありますが、経済を活性化させるには、その企業の利益を働く人たちの賃金アップにつなげ、消費回復によって景気をさらに上向きにしなければなりません。このため、労働組合のトップである「連合」は5年ぶりに賃金全体を底上げするベースアップ(ベア)を要求、一方の経団連も6年ぶりにベアを容認する方針を示しているのです。では、そもそも春闘とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
日本独特である「春闘」
春闘とは労働条件をよくするための団体交渉のことです。日本では毎年4月から新年度が始まり、給料が上がったり、新入社員が入ってきたりします。そこで、新年度になる前の2月から3月にかけ、労働者の団体である労働組合が経営側に対して「給料を上げてほしい」「労働時間を短くしてほしい」といった要求を出し、待遇をよくしてもらう交渉をするのです。春闘は日本独特のやり方といわれ、「春季労使交渉」「春季生活闘争」とも呼ばれます。
3月の集中回答日がヤマ場
しかし、景気は毎年変動し、経営側も業績のいい会社ばかりではありません。そのため春闘は毎年2月にまず大手企業から始まります。大手企業のうち、特に景気のよさそうな業界、賃金アップができそうな会社が最初に労使交渉を行い、その年の労働条件がどう変わるかの基準を示すのです。今年の春闘では、まず自動車や電機メーカー、造船重機などの大手企業の労働組合が経営側に要望書を出します。自動車業界各社の労働組合のベアの要求額は3000〜4000円、年間ボーナスはトヨタ自動車が6.8か月分、本田技研が5.9か月分となる見通しです。こうした要求を基準に、交渉は大手企業から中堅企業、中小企業、大都市から地方の企業へと続いていくわけです。3月中旬には経営側の集中回答(大手は今年は3月12日) があり、これが春闘のヤマ場となります。その後、3月いっぱいまでにほとんどの企業の交渉は終わります。
今年のもうひとつの注目は?
もっとも、すべての会社の労働者が春闘の恩恵を受けるわけではありません。たとえば、自動車業界の場合、完成車メーカーの下に1次下請けや2次下請け、3次下請けと、さまざまな会社が関わっています。大手メーカーで働く人たちの賃金がアップすれば、それだけ人件費が増え、大手企業の利益も圧迫されます。春闘による賃上げが下請けの会社にコストダウンという形でしわ寄せが及ぶケースもあるのです。
特に今年の春闘でもうひとつ注目されるのが非正規社員の賃金アップ交渉です。これまで労働組合は正社員の交渉を優先させてきました。それもあって、正社員と非正規社員の賃金格差が容認されてしまい、結果的に賃金の低い非正規社員が増え、正社員の数は削減されるようになりました。このため、連合も今年の春闘ではパートなどの時給の30円アップを要求しています。非正規社員の待遇をどこまで改善できるか、そこも春闘で労使双方が考えるべき問題といわれているのです。
(真屋キヨシ/清談社)
THE PAGE より引用しました。
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