「コスプレトークン(Cosplay Token)」と呼ばれる、イーサリアムベースの仮想通貨が誕生しようとしている。
このコインを発行するのは、世界のコスプレイヤーたちをつなぐソーシャルメディアプラットフォームの「CureWorldCosplay」だ。
「Cure WorldCoplayはコスプレ分野のクリエイターやメーカー、ファンのためのプラットフォームで、クラウドファンディングのような資金調達を目的とした場ではない。コスプレはアニメやコミック、ゲームなどの多様なカルチャーに根ざしており、コスプレトークン(COT)はその包括的な市場を相手にすることになる」とCosplay Tokenプロジェクトの広報担当であるIan Yunは、筆者のEメール取材に回答した。
「コスプレイヤーやコスプレ業界全体の持続的成長をもたらすためにCospay Tokenプロジェクトは今後、多様なプロジェクトを立ち上げ、コスプレイヤーたちが自身のバリューを認識する機会を与えていく」
プロジェクトの詳細はコスプレトークンのホワイトペーパー(発行計画書)で参照可能だ。しかし、手短に説明すると、コスプレイヤーらは自身のサブコインの「プレイヤーコイン」を保有し、Cure WorldCosplay内のプロトコルでビジネスができることになる。人気の高いコスプレイヤーはコインの値上がりが期待できる。
Yunによるとコスプレトークンは、ファンたちがお気に入りのコスプレイヤーらにチップを支払う手段として考案されたという。このアイデア自体は「PATRON(パトロン)」というコインと類似したものだ。
しかし、コスプレトークンはCure WorldCosplay内に限らず、イベント等でのグッズやサービスの支払いにも利用可能だ。また、将来的には法定通貨と同様に、様々な場面の決済で用いられることを目指している。
「COTは非中央集権型で運用され、他の仮想通貨と同様に送金も可能なコインになる。プラットフォーム上のプロジェクトの運営及び開発は、Cure WorldCosplayが行なう」とYunは述べた。
ホワイトペーパーによると、発行トークンのうち運営元に還元されるのは15%のみだという(オタクコインの場合は39%となっていたが、これよりも理にかなった比率といえる)。また、Yunのような内部関係者が受け取る比率も明確に記載されている。
有名コスプレイヤーが独自コインを発行
ただし、気になるのは彼らがかなり莫大な額の発行を計画している点だ。CosplayTokenプロジェクトはコスプレトークンの発行総額のうち0.5%を、ファンたちに無料で配布しようとしているが、これは40万ドルに相当する大金だ。この価値がいつまで維持できるのかは不明だが、既にテレグラムのフォーラムを通じ、エアドロップ(無料配布)も始まり、3言語(日英中)で参加者20万人を超えている。
オタクコインはEコマースサイトの「Tokyo Otaku Mode」を通じて配布されようとしている。それと同様な手法で、世界最大のコスプレコミュニティーであるCure WorldCosplayは、コスプレトークンを発行しようとしている。コスプレトークンが発行後ただちに、膨大なオーディエンスを獲得することは確実だ。
トークンの発行に向けて、彼らは既に17名の有名コスプレイヤーをアンバサダーに起用した。野臣かずみやRikachuu、Maridahらの参加も決定済みで、メンバーらは自身のプレイヤーコインを発行し、コスプレトークンの経済圏で流通させることが可能になる。
しかし、世界的に有名なコスプレコミュニティーが運営元であったとしても、一般の人々に仮想通貨の概念を理解させるのはかなり難しい。また、Cure WorldCosplayがコスプレイヤーに信頼されていることは確かだが、彼らがこのプラットフォームを価値交換の場としても受け入れるかどうかは未知数だ。
しかし、この疑問を前提として、Yunはまずコスプレトークンを、既に仮想通貨ユーザーであるファンをターゲットとして想定しているという
「イーサリアムの利用が広がるなかで、ユーザーの多くはERC20準拠のウォレットを使用し、トークンを管理した経験を持っている」とYunは述べる。彼の話す言葉が理解できないという人は、おそらく彼らが想定する初期ユーザーではないと、考えたほうがいいだろう。
コスプレトークンは今後、シンガポール本拠のQUOINEが運営する仮想通貨取引所「Qryptos」で、IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)を予定している。IEOは取引所がICOを取り仕切る、新しい形のトークンの売り出し方として注目を集めている。(編集部注:Qryptosは日本居住者からの登録は受け付けていない)
引用元:Forbes JAPAN
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180708-00021971-forbes-bus_all