■業績予想を下回った、
エヌビディア
とAMD
11月に決算発表を行ったエヌビディア、10月に決算発表を行ったアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は米半導体大手企業ですが、共に業績見通しが市場予想に届かず、決算発表後の株価は大幅安となりました。
エヌビディアとAMDは、半導体の中でも画像処理半導体(GPU)の大手であり、GPUの需要減速懸念が2社の株価の下落の背景と考えられます。
GPUはゲーム用PCなど高画質が求められるPCに用いられますが、ゲーム用PC需要の一巡だけでなく、近年は仮想通貨のマイニングでの需要が大きかったものと思われます。
■急落した株価
図1は、直近1年間のエヌビディアとAMDの株価(終値)の推移です。
2018年11月28日時点で、エヌビディアは2018年10月1日の終値から44.7%、AMDは2018年9月14日の終値から34.8%の下落となっています。
エヌビディアの決算発表後には日本の半導体関連株も売られました。
GAFA
と呼ばれる
グーグル
(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドットコムなどと共に、これまで米国株式をけん引してきた株式だけに、今後の株価動向次第では米国のみならず日本の投資家マインドにも少なからず影響がありそうです。
■仮想通貨相場が影響?
エヌビディアやAMDが生産しているGPUは、従来、ゲーム用PCなど高画質の画像処理が求められるPC向けの製品とされてきました。
この高い処理能力に目をつけたのが仮想通貨の「
miner(マイナー)
」と呼ばれる人々です。マイナーとは「採掘する人」という意味です。
仮想通貨の代表とも言える
ビットコイン
は、「mining(マイニング、採掘の意味)」という方法で手に入れることもできます。
マイニングをするには高速の計算処理が必要となりますが、この作業を「採掘」にたとえてこう呼ばれます。
ビットコインが高騰したことで世界中でマイニング競争が起き、マイニング用マシンに搭載するため、GPUに対する需要が急増しました。これがエヌビディアやAMDの株価急騰の一因と考えられます。
しかし、図2と図3にあるようにビットコイン相場は2018年に入って下落を続けました。
マイナーの立場で見れば、ビットコイン相場が下落しても高値圏にあるうちはマイニングによる利益が見込めること、またビットコイン相場が2017年末のように高騰する可能性もあったので、GPUの需要は急減することはないものと思われました。
ところが、2018年9月以降ビットコイン相場の値動きは小さくなり、さらに下落基調を強めています。
香港の仮想通貨交換所BTCCがマイニング・プール(複数のマイナーが協力してマイニングを行う)事業の終了を発表するなど、マイニングから撤退する事業者も現れ、GPUに対する需要は一段と後退していくものと思われます。
■今後の行方
ビットコイン相場が更に下落を続けるのであれば、エヌビディアとAMDの株価にも下落圧力がかかるでしょう。
エヌビディアとAMDはeワラントの対象原資産になっていることから、この2社の株安に備えるならば、プット型eワラントを保有しておくという手段もあります。
プット型eワラントは対象原資産が下落するほど価格上昇が期待できるeワラントです。
一方で、ビットコインの急騰以前と比べると、半導体の利用用途はマイニングだけではなく、クラウドサービス用のサーバー、自動車、家電など多種多様化しています。今後もGPUの需要が増えてエヌビディアやAMDの株価が上昇していくことを予想するなら、コール型eワラントを保有しておくこともできます。
コール型eワラントは対象原資産が上昇するほど価格上昇が期待できるeワラントです。
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
引用元:MONEYzine
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181203-00000001-sh_mon-bus_all