新型コロナの抗体価は持続しにくく、長期的な「免疫パスポート」にならない!
先ごろ、nature medicineに発表された中国の重慶医科大学の研究グループによる
COVID-19感染者の血中抗体価を追跡した研究結果が明らかになった。
それによると感染者の退院8週間後のCOVID-19特異的IgG抗体は、
無症候者の93.3%、有症状者の96.8%で減少し、
抗体減少率の中央値は無症候者で71.1%、有症状者で76.2%。
また、中和抗体量は無症候者の81.1%、有症状者の62.2%で減少し、
抗体減少率の中央値は無症候者で8.3%、有症状者で11.7%だった。
抗体検査で陽性であっても長期的な「免疫パスポート」にはならないという結論だ。
しかも、現時点では特異的な治療薬、ワクチンも存在しない。
つまるところ、抗体検査を受けた人は結果が陰性であれ、陽性であれ、今後注意すべきことは変わらない。
それなのに、最近では大都市圏のクリニックを中心にこのCOVID-19の抗体検査を行う医療機関が増えている。
通常よりもややお金がかかる自由診療で検査を受けようとする人の心中は
「何らかの安心を得たい」
ことがほとんどだろう。
しかし、医学的に見て何らかの安心が得られる状況ではない。
逆にこうした医療機関には、
自由診療で抗体検査を行うことで患者側にどんなメリットがあるのか、
と問いたい。
医療を提供するということは、
その人の人生に責任を持つという自覚を持って欲しい。
少なくても”医は算術ではない”はずだ。