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日刊ゲンダイDIGITAL2017/6/3
小池知事が墓穴 「都民F」代表就任は都議選で凶と出る
幕開けを告げるファンファーレは華々しく鳴り響かなかった。小池劇場の“最終章”ともいえる都議選の投開票を1カ月後に控え、1日、都内のホテルで開かれた「都民ファーストの会」(都F)の総決起大会。会場には1000人ほどが集まったが、小池都知事を誕生させた昨年の知事選のような熱気は感じられなかった。
会場が大きく沸いたのは、小池知事が「本日、自民党に離党届を出させていただいた」と挨拶した瞬間くらい。この日は都議会定例会で所信表明があり、毎週金曜の定例会見も1日前倒し。夕方のニュースに合わせた決起集会で都Fの代表に就任、そのために離党届を提出——。これだけ集中的に話題を提供すれば、電波ジャックの“小池デー”になると計算したのだろうが、もくろみ外れ。メディアの騒ぎ方は想定以下の静けさだった。
「もともと組織がない政党だし、頼みの無党派層は決起大会などに来ない。自公両党の決起集会と同じようにはいかないにしても、少し物足りない感じがしました。知事選では、グリーンの服を身に着け、自民党と“都議会のドン”を攻撃していれば、どんどん支持が集まった。今回の都議選はそうもいかず、メディアもトーンダウン。小池知事が、決起大会を機に顧問の立場から代表に就いたのも、自分が全面的に選挙の顔になるしかないところまで追い込まれている証拠。投票日まで、いろいろ仕掛けてくるのでしょうが、小池人気をV字回復させる策があるとも思えません」(政治評論家・有馬晴海氏)
■人気頼みの空中戦を封じる“あの男”
むしろ、代表就任が裏目に出る可能性もある。知事が特定の政党への投票を呼び掛けること自体は、維新が大阪で散々やってきたから問題ないのだろうが、テレビ局側は今から「都議選は報道しづらい」と、こう漏らす。
「数字が取れるなら、都Fを毎日追いかけてもいいのですが、視聴者は個別の候補者になど関心がないでしょう。小池知事本人の選挙ならまだしも、無名の候補者ばかりでは絵にならない。それに、選挙となると、小池知事だけを追いかけ回すわけにもいきません。他の党の代表も取り上げないと、不公平になりますからね」(ワイドショーのディレクター)
なにしろ自民党都連の総務会長は、2014年の衆院選の際、「公平中立な放送をするように」という“圧力文書”をテレビ局に送った萩生田官房副長官だ。「都Fを取り上げるなら、自民党都連も同じだけ報道しろ」と言い出しかねない。何も言わなくても、小池知事の離党で自民との対決姿勢が鮮明になったことで、メディア側が勝手に政権与党に“忖度”することも考えられる。
小池劇場もテレビで流れないとキツイ。都Fが当てにしていたのは、小池人気と空中戦。しっかりした組織がないため、選挙区内のポスター張りさえ、ままならないのが現実だ。
支援を合意した連合東京も、どの候補ともまだ政策協定を結べず、「推薦」を出せないという。
「うちは急ぎたいが、都F側は『空中戦で勝てる』と甘く考えているフシがある」(連合関係者)と嘆く声も聞こえてくる。
「選挙協力する公明党の動きも鈍いと聞きます。やはり、国政で20年近くも自公の選挙協力が続いているわけだし、都政ではもっと歴史が長い。急に都F支援と言われても、しがらみもあるし、2年以内にある衆院選のことを考えたら、現場は簡単に切り替えられないでしょう」(有馬晴海氏)
その公明党東京都本部の高木陽介代表が、来賓挨拶で「新党ブームが起きても、長続きしたものはない」と、決起大会で水を差すような発言をしていたのが印象的だ。
パフォーマンスだけではブームは維持できない。いよいよ小池知事も思い知ったのではないか。以上日刊ゲンダイ
タグ: 都知事選
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