聴衆に手を振る立憲民主党の枝野幸男代表(C)日刊ゲンダイ
比例区に異変アリ 立憲民主党に無党派殺到し全員当選も
日刊ゲンダイDIGITAL 2017年10月21日
いよいよ2日後に迫った10月22日の総選挙。「自民無風」「希望失速」「立憲躍進」——となっている選挙情勢。最終盤になって、さらに立憲民主党が勢いを強めている。「比例区」であっと驚く議席を奪う可能性が出てきた。
朝日新聞が17、18日に実施した世論調査に自民党が衝撃を受けている。「比例区の投票先はどこか」と政党名を挙げて聞いた結果は、自民は34%と2週間前(3、4日)の35%とほとんど変わらなかったが、立憲民主党が7%から13%へ倍増しているのだ。
朝日新聞の調査は、9月26、27日も行われている。自民は32%→35%→34%、希望も13%→12%→11%と、ほとんど数字が動いていない。要するに、これ以上、支持が広がらない頭打ち状態。なのに、立憲民主党だけがグングン数字を伸ばしているのだ。
「まだ投票先を決めていない」有権者は、29%→27%→23%と少しずつ減っている。無党派が立憲に流れているのは間違いない。いざ投票となったら、まだ23%いる「投票先を決めていない」無党派が雪崩を打って立憲に「比例票」を投じておかしくない。23%の半分が上乗せされるだけでも、立憲は24%となる。
自民党が密かに恐れているのは、自民党支持者までが、「比例」では立憲に一票を投じる可能性があることだ。選挙制度に詳しい政治ジャーナリストの泉宏が言う。
「クロスボートといって、有権者が選挙区と比例区で投票先の政党を変えることはよくあることです。とくに比例では、遊び心が生まれやすい。世論調査をみると安倍内閣の支持と不支持が逆転し、『今後も首相を続けて欲しい』34%、『そうは思わない』51%となっている。自民党は支持するけど安倍首相は嫌い、という有権者が相当数いそうです。彼らが比例で立憲に一票を入れる可能性はあるでしょう」
■野党第一党なら絶大な影響力
定数176の比例の議席によって選挙結果もガラリと変わってくる。立憲民主党は、比例だけで40議席を大きく超える可能性が高い。
泉氏は、「立憲は比例区で予想以上に得票し、北海道ブロック(定数8)と東北ブロック(定数13)では候補者が足りなくなり、東海ブロック(定数21)は選挙区で2人勝てば、重複を含めた比例候補6人全員が当選する可能性があります」と予測している。
政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「立憲民主党は選挙区に63人、比例単独を15人擁立しています。たとえ選挙区で負けても、次々に比例復活し、結果的にほぼ全員当選という事態もあり得ます。もし、立憲が50議席以上を奪って野党第1党になれば、選挙後にも絶大な影響力を発揮することになります。国会運営は政権与党と野党第1党の話し合いによって決めるのが暗黙のルールです。改憲にしても、『野党第1党の理解を得る必要がある』というのが、自民党議員のマジョリティーです」
立憲民主党が、比例区で議席を奪い、ほぼ「全員当選」という選挙結果になったら、安倍首相も好き勝手はやれなくなる。
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