2017年06月21日 07時00分 ニフティニュース経由 NEWSポストセブン
天皇の生前退位発表により「平成のおわり」が確実となり、新元号制定の準備が進められている。新元号をどのようなものにすべきかの法的基準はないが、1979年の大平内閣時代にまとめられた閣議報告「元号選定手続き」には以下の6項目がある。
【1】国民の理想としてふさわしいような良い意味を持つものであること
【2】漢字2字であること
【3】書きやすいこと
【4】読みやすいこと
【5】これまでに元号又は諡として用いられていないこと
【6】俗用されていないこと
これらの“条件”を守ることは、簡単なようで案外難しいと内閣内政審議室長として「平成」の新元号制定の実務を担当し、後に元内閣官房副長官を務めた的場順三氏は言う。
「特に難しいのが【5】と【6】です。平成を制定する際は中国、ベトナムなどかつての元号使用国で使われていないか、同じ名称の地名や企業名はないかなどを徹底してチェックした」
さらに、「平成の頭文字(H)は明治(M)、大正(T)、昭和(S)のどれとも被らず実務面も都合がよかった」(的場氏)という。新元号もこれらと被らない頭文字となる可能性が高い。
“条件”を踏まえたうえで、識者たちは次の元号をどのように予測するのか。
「昭和と平成に見られるのは『初出漢字』と『頻出漢字』を組み合わせるパターンです。この“法則”から予想されるのは、過去に最多の29回使われた『永』と初出の『感』を組み合わせた『感永(かんえい)』ではないか。“いまの平和な感性が永く続くように”との意味を込めています。また、大きな戦争がない喜びが永く続くようにとの願いを込めた『喜永(きえい)』もあり得そうです」(元号に詳しい東京大学特任教授の鈴木洋仁氏)
「永」のほかにも多く使われている漢字として、多いものから順に「天」(27回)、「元」(27回)、「治」(21回)、「應」(20回)がある。
国文学研究資料館の相田満准教授は「景星(けいせい)」と予想する。
「出典は、中国の唐の時代の法律を元に平安時代の日本で編纂された『延喜式』。その中にいくつか“めでたい言葉”が出てくるのですが、それらのなかでも最も初めに出てくる、一番めでたいものといわれている言葉が『景星』です。これは『めでたいことの予兆として見える星』『徳のある人』という意味で、徳のある日本、徳のある日本人であるようにという願いが込められると思います」
ここで紹介した3つの候補はすべてイニシャルは「K」のため、重複の問題もクリアされる。ただし、これらが人目に触れた瞬間、「絶対に採用されない案」へと変わってしまう。“候補”であったとしてもこの中から新元号が出ることは絶対にないこともお伝えしておく。
※週刊ポスト2017年6月30日号
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