マハティール首相(C)共同通信社
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消費税撤廃に続き…有言実行のマレーシア首相が反原発宣言
2018年9月26日日刊ゲンダイ
「うらやましい」で済ませちゃいけない——。5月に92歳でマレーシアのトップに返り咲いたマハティール首相。就任すると直ちに、選挙で公約に掲げていた物品・サービス税(GST=消費税に相当)6%を撤廃。さらに、東海岸高速鉄道計画や南部ジョホールバル近郊の大規模都市計画などにメスを入れ、“ムダな公共事業”の中止、見直しに積極的だ。消費税をゼロにする一方、大型公共事業を見直して、財政を健全化させようとしているわけだ。
一方、日本では来年10月から消費税が10%に引き上げられる。高速鉄道といえば、必要性に疑問符がつくリニアも立ち止まることなくドンドン進んでいる。マレーシアがうらやましい気持ちになるが、今度は、マハティールが「原発反対」を打ち出した。
9月18日にクアラルンプールで開かれた「電力供給産業会議2018」の講演で、マハティールは「マレーシアは電力確保の手段としては既存の方法を踏襲し、原子力は選択肢にはない」と断言。国策として「反原発」を宣言した。
マレーシアではナジブ前首相が就任した直後の2009年6月、20年以降の発電の選択肢として原子力を加える方針を示し、21年の原発運転開始を計画していた。マハティールが百八十度、政策転換したわけだ。
マハティールはこう言っている。
「平和利用でも戦争使用でも、われわれ(人類)には核物質を利用するに十分な知見を持っていないと考えている」
用途がどうであれ、核物質を制御できない以上、利用しちゃいけない。平和利用の核だって、何かあれば、たちまち核兵器と化すのである。
「講演でも触れていましたが、1986年の旧ソ連(ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故と11年の福島第1原発事故から、マハティールさんは原発の恐ろしさ、リスクを痛感したのです。その答えが反原発への政策転換です」(アジア担当記者)
ウクライナや日本など他国で起きた原発事故をしっかり見て、教訓にして、自国の政策に生かす——。ますますうらやましいが、マレーシアで、現にやっていることは、日本でもできないことはない。
消費税撤廃、ムダな公共事業見直し、反原発——。
しがらみにまみれた安倍政権では到底無理な話だが、マトモな政権に交代すれば、希望は持てる。マレーシアで起きていることは“対岸”ではないのだ。
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