2017/6/27日刊ゲンダイDIGITAL
築地移転20年目の真実 最終回(水谷和子)
「最後はカネ」であっさり片づけた 石原知事のツルの一声
頓挫した臨海開発の尻拭いに築地市場再整備の積立金2400億円を流用し、「豊洲ありき」の移転計画と築地跡地売却のセットで穴埋めする——当時の市場長から就任直後に説明を受けてから3カ月。ついに石原慎太郎都知事が決断します。
開示請求して入手した1999年8月10日付の「Gブリ資料」。Gは「Governor=知事」の略で、知事へのブリーフィングを指す都庁用語です。市場当局の作成で「築地市場の再整備について」と題し、A4用紙7枚に「現地再整備」と「豊洲移転」の課題をまとめてあります。この際の石原氏の発言記録は同年8月13日付の「Gブリ概要」に残っていました。
〈移すだけの話。多摩の方に行くわけじゃないんだよな〉〈移転の場合、豊洲はいつ頃から工事に入る予定か〉〈いまのアクセスではだめだろ。この地区だけ環2を早くつくればいいのでは〉
百条委では脳梗塞の後遺症で「すべての字を忘れた」と知らぬ存ぜぬだった石原氏の当時の認識が分かります。そして、こう結論づけました。
〈予算の面が何より重要だな〉〈ローリング(築地市場を営業しながらの再整備)なんかでやっていられない。移転しかないな〉〈築地市場には視察に行く〉
豊洲移転が事実上、決まった瞬間です。約3週間後、生まれて初めて築地市場を視察した石原氏の感想は「古い、狭い、危ない」。ここから豊洲移転が具体的に動き始めました。
注目は〈予算の面が何より重要〉とした石原氏の決断理由です。臨海開発の後始末に積立金を流用した都のフトコロ事情が、移転の最大の要因だと証明しています。
驚くのはGブリ資料に現地再整備の問題点として〈建設費用はトータルで約2400億円に達する見込み〉と記されていること。現在まで都が公開してきた額は、96年に都が再試算した約3400億円です。1000億円もの開きは、都が積立金の流用をごまかすため、莫大なコストをデッチあげ、業者に再整備をあきらめさせる狙いがあったとしか思えません。
ひもといてきた築地移転の「謀議」は常に密室で話し合われ、都民は「真実」を知らされることはなかった。「築地再整備は不可能」とするデマに20年近くもダマされてきたのです。 (おわり)
私個人の感想は、午後〜遅くとも明日にはUPします。
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