参院選後会見をする安倍首相(C)日刊ゲンダイ
衆議院選挙は日本など眼中にない連中の討伐が争点になる
適菜収 作家1975年生まれ。早大で西洋文学を学び、ニーチェを専攻。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体」など著書多数。近著に「もう、きみには頼まない 安倍晋三への退場勧告」。
日刊ゲンダイDIGITAL公開日:2019/07/27 06:00 更新日:2019/07/27 06:00
7月21日投開票の第25回参議院選挙で、自民党は改選前から9議席減らし、公明党と日本維新の会を加えた「改憲勢力」は3分の2を下回った。すると 安倍は「(改憲の)議論をすべきではないかという国民の審判だった」と言い出した。 意味不明。選挙の結果を受けて共同通信社が調査したところ、安倍政権下の改憲に「反対」と回答したのは56.0%で、「賛成」の32.2%を上回っている。安倍は「国際社会における責任ある立場」などと与太を飛ばしながら、アメリカ隷属憲法への改悪を進めていく予定なのだろうが 「 国民の審判」は明らかに「NO !」なのだ。
世界史的に見れば、安倍とその周辺の勢力は今後追い込まれていく可能性が高い。世界の動向が十数年遅れで日本に入ってくるのは常だが、80年代イギリスのサッチャー政権がインフレ対策として行った新自由主義路線を、文脈抜きにデフレ下の日本で推進し、平成の30年をドブにぶち込んだのも自民党だった。
世界各国の指導者が移民政策の失敗を認め、グローバリズムの弊害について深刻な議論を進める中、全力で移民政策を推進したのも自民党。2008年6月、自民党の「外国人材交流推進議員連盟」は50年間で1000万人の移民を受け入れる提言をまとめている。そこには「移民庁」の設置まで含まれていたが、この議連は、安倍の政権復帰後に「自民党国際人材議員連盟」として復活。安倍一味による嘘、デマ、プロパガンダも実り、日本はすでに世界第4位の移民大国になっている。
連中にとっては最初から「日本」など眼中にない。いみじくも安倍がウォール街の証券取引所で宣言したように「国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去った」のである。
ただし、ここまでくるとさすがに疑問に思う人々も増えてきた。「なぜわれわれはこんなに疲れているのか」と。構造改革をストップさせるという「れいわ新選組」の登場もその兆候だ。代表の山本太郎は「世の中変わるなら捨て石上等」と言っていたが、参院選では2議席を獲得し、政党要件を満たした。捨て石どころか、国会に確実にくさびを打ち込んだ。しかも、山本は落選したので自由に動き回れる。衆院選は遠くない。計算していたなら策士だろう。次の衆院選は賊軍の討伐と戦犯処理が争点になるだろう。
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タグ: 改憲
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