2020年11月24日
「大巨獣ガッパ」川路民夫山本陽子美樹克彦
に便乗した作品だが映画の出来は悪くない。
ストーリーは週刊誌記者の黒崎浩(川地民夫)がカメラマンの小柳糸子(山本陽子)や生物学の
教授殿岡大蔵(小高雄二)らと週刊誌プレイメイト社長の船津の命令で南海の孤島に探検にいく。
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目的は船津が南国を模倣したテーマパークを計画していて、そのための珍しい生物の調査や現地の
人間をスカウトすることにあった。
そして厳しい航海のはて、黒崎たちは火山の島のオベリスク島に到着する。
この島には謎の石像があったが島民たちは戦時中、日本軍の統治を受けていたせいか友好的で日本語も
通用した。
黒崎たちは石像の秘密を探るべく、小柳と二人で島の洞窟に探検に行くと巨大な卵があった。
突如として火山が噴火し地震が起こるがその影響からか卵が孵化する。
孵化した生物は島民の話では、ガッパといいワニとカッパをミックスしたような怪獣だった。
黒崎はガッパを日本へ連れ帰ろうとするが、島民はガッパを守護神としてあがめていて、猛烈に反対した。
しかし黒崎は言うことを聞かず強引にガッパの子どもを日本へ連れ帰る。一方子どもをさらわれた
ガッパは怒り狂い島の集落を襲撃し、その勢いで日本へと向かう。
ガッパには羽があり空を飛ぶことができたからだ。巨大な二匹のガッパが相模湾に現れ暴れまわり
日本中が恐怖のどん底に突き落とされるのだった・・・
ガッパの外観は迦楼羅天やカラス天狗に似た爬虫類状の怪獣で、飛行速度はマッハ6、口から
青白い4000度の炎を発射し水中でも活動することができる。
日活の特撮スタッフはよく頑張っていて、ガッパの光線で自衛隊の戦車が飴のように曲がったり。
ガッパの翼の衝撃波で家の瓦がめくれあがるシーンなどよくできてる。
また熱海の町や京浜工業地帯のセットもよくできていてスタッフの苦労が偲ばれる。
この映画は単に怪獣が街を破壊するのではなく親子愛をテーマにしていてほのぼのとしている。
唯一無二の怪獣映画と言える。
監督は野口晴康で美樹克彦のパンチの効いた主題歌もいい。監督の野口は惜しくもガッパを
取り終えて次作を撮影中亡くなった。
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2016年12月31日
「原子怪獣現わる」レイハリーハウゼン、ポールクリスチャン、ゴジラの元ネタ
北極で行われた水爆実験で全長30メートルの肉食恐竜が現代に蘇った。
水爆実験に立ち会った物理学者のトーマス・ネスビット(ポールクリスチャン)は、恐竜を目撃して驚くが
精神異常者扱いされて誰にも信じてもらえなかった。ネスビットは古生物学者のサーグッド・エルソン教授と助手のリー・
ハンターに恐竜の話をするがエルソン教授ですら信じようとしない。しかし助手のハンターだけはネスビットの話を
真剣に聞くのだった。
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そうしているうちも恐竜は南下してグランドバンクスで漁船を襲撃して沈没させ、メイン州の灯台も真っ二つに
たたき割り犠牲者が増えるばかりだった。
だがネスビットは生き残った漁師を訪ねて、証言を得ると再度教授の元へと説得にいく。ネスビットの目撃した
恐竜の特長と漁師の証言が一致したことから、教授はこの話に信ぴょう性があると思い早速調査に乗り出す。
教授は海軍の協力で潜水艇でハドソン川河口付近で、恐竜を待つが逆に襲撃されて殺されてしまう。
恐竜はついにマンハッタンからウォール街に上陸、勇敢な警官が拳銃で立ち向かうがひとたまりもなく食われる
のだった。恐怖のどん底に叩き込まれたニューヨーク市民は逃げまどい、警官隊はショットガンを打ちまくるが
恐竜はびくともしない。ついに政府は州兵を動員して恐竜との本格的な戦争に入るのだった・・・
原作はレイブラッドベリの短編小説で、特撮は神と呼ばれたレイハリーハウゼンである。
怪獣はゴジラのようなぬいぐるみでなく、アニメーションとの合成だが違和感なく画面に溶け込んでいる。
怪獣の首をバズーカ砲で打ち抜いてダメージを与えたのはいいが、出血しその血から細菌が感染し
退治するのに難渋するのがポイントである。最後にラジオアイソトープを使って怪獣を倒すのだが
このやり方もゴジラはパクっているようである。
古い映画だがテンポも良く自然に物語に入りこめる。おそらくこの作品がなければゴジラの誕生もなかった
だろう。東宝特撮映画の自衛隊対怪獣というパターンもこの映画にその原型が見られる。
なかなかいい作品である。
最後にこのつたないブログに訪れてくれた皆さんに感謝します。よいお年をお迎えください。
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2016年12月28日
「大怪獣バラン」本多猪四郎、円谷英二、黒沼健、伊福部昭
描いた特撮映画である。北上川近くの集落付近でシベリアにしかいない蝶が発見される。早速現場に駆け付けた
生物研究所の調査員二人が何物に襲われて謎の死を遂げる。事件の真相を知るべく新聞記者の由利子と
研究員の魚崎(野村浩三)とカメラマンの堀口は、山奥までたどり着くが、村人たちはバダラギ様という謎の山神を信仰
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していて現場に近づくのを阻まれた。しかし一人の子供が犬を追って奥地へ入っていたのを見て助けようと魚崎たちは
後を追う。そして深い湖のほとりにたどり着くが、突如巨大な怪獣が現れ暴れまわる。さっそく自衛隊が出動
して迫撃砲や無反動砲や多連装ロケット弾で攻撃するが、分厚い皮膚におおわれたバランの身体はビクとも
しない。バランがもし帝都に現れた大変な事態になるので自衛隊も必死の反撃をするが願いもむなしく
バランは攻撃を跳ね除けて帝都へと向かっていった・・
バランはムササビのような羽を持ち空を飛ぶことができて、背中には針のようなトゲが生えていて、
顔はゴジラにも似ている。羽田空港にバランが登場するシーンは、「ゴジラの逆襲」にも似ている。
また自衛隊のありとあらゆる兵器が出てきて、戦車や護衛艦に戦闘機にジープなどマニアが喜ぶだろう。
バラン対自衛隊の戦闘シーンがとにかく迫力があり、爆雷攻撃で深海でじっと耐えるバランの表情が不気味だ。
バランはバラノボーダが正式名称だが、東宝の怪獣映画の中ではメジャーな存在ではない。
しかしその威圧感と神秘性といい独特の風格を持つバランは私好みである。
また主演の野村浩三も園田あゆみも主役級の俳優ではない。そういう意味であまり知られた作品ではないが
怪獣映画を語る上では無視できない映画である。またこの映画もナレーションの日本のチベットという表現が
放送禁止用語にかかりテレビ放映時は無音になっているようだ。
伊福部昭の音楽も最高でタイトルバックのバダラギ、バダラギ、ウオッ 、ウオッという呪術のような響きが
ワクワクしていい。さらに自衛隊が出てくるときのマーチも気分が高揚していいのだ。
東宝怪獣ファン必見の一作である。原作は怪奇作家の黒沼健が書いている。
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2016年12月26日
「大魔神怒る」本郷功次郎、藤村志保、大映
送っていた。また分家である名越の里には、守り神がまつられて穏やかな生活を領民たちは楽しんでいた。
しかしこの千草と名越の豊かな富を妬んだ隣国の御子柴弾正(神田隆)は、大軍を率いて攻め込んできたのだ。
不意をつかれた千草はひとたまりもなく弾正の軍門に下ったのだ。千種を束ねる十郎(本郷功次郎)はかろうじて
逃げのびるが、千草を陥落させた勢いで弾正は軍を進めて名越にも攻め入った。
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そして弾正は名越の長である名越兵衛(内田朝雄)を殺害し占領するのだった。
名越兵衛の娘小百合(藤村志保)はこの混乱の中から脱出し、十郎と再会し手当をするが領民を見捨てることが
できない十郎は危険を顧みず千草へと潜入する。一方弾正は領民たちのよりどころであった守り神の像を
爆薬でこなごなに粉砕するのだった・・・
大魔神シリーズが面白いのは、とにかく悪人たちが絵に描いたような悪であることだ。
極悪非道の悪人がえげつないことをすればするほど、最後に魔神に退治されるシーンが拍手喝さいしたく
なるのである。この映画での御子柴弾正の悪人ぶりは、真に迫っていて見ていて殴りたくなるほどだ。
またこの映画での見どころは、大魔神の登場シーンである。湖が真っ二つに割れて大魔神が現れるシーンは
十戒のパクリではあるが子供のころ初めて見たときは驚愕したものだ。
大魔神が怒って御子柴の城を破壊するシーンもリアリティもあり大迫力だ。時々見せる魔神の目は
中に実際に人間(橋本力)が入っているので生生しいのだ。
また伊福部昭の音楽が一層物語を盛り上げてくれる。このシリーズの中でこの2作が私は一番好きだ。
さらにこの映画のセットも大がかりなもので、かなり人手もお金も掛けたようだ。監督は三隅研次
とにかく見るとスカッとする映画である。今の日本も大魔神に成敗してほしい政治屋や官僚や悪徳企業など
山ほどいる。ぜひ出現して征伐してほしいものである。
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2016年12月22日
「透明人間1954年」河津清三郎三條美紀土屋嘉男
テーマは戦時中日本軍の人体実験で透明人間に変えられた哀れな男をめぐる物語である。
銀座のど真ん中でタクシーが誤って人を引いてしまうが、姿は見えない。しかし死体が徐々に浮かびあがる
ように現れるのを見て見物人は驚愕する。轢死した男は透明人間だったのだ。
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そして死んだ男の遺書でもうひとりの透明人間がいることが判明する。
新聞記者の小松(土屋嘉男)は透明人間の正体を突き止めようと取材を開始する。その同じころ発生する
ギャング事件で帝都は恐怖の襲われていた。一方キャバレー「黒船」のピエロの南条は近くに住む盲目の少女
まりの面倒をなにくれとなく面倒みていた。まりの祖父は夜勤で守衛をしていて、孤独な毎日を送っていたのだ。
しかしまりの祖父はある夜強盗に襲われて殺されてしまう。
そのころ透明人間の行方を追っていた小松はついに南条のアパートを発見した。南条(河津清三郎)は小松を信用して
自分が戦時中軍の人体実験で特攻兵器として透明人間に改造されたことを打ち明ける。
ピエロの衣裳をひとつづつ脱いでいくと南条は完全に見えなくなり小松は驚くが・・・
そして帝都を震撼させたギャングの頭目は黒船を根城にした悪党であることがわかるが、ギャングは南条に
すべての罪を着せようとしていたのだ・・・
この映画の特撮シーンは円谷英二が担当しているが、通帳や電話が宙に浮いたりスクーターが無人で
走行したりするシーンは今見ても違和感がなくよくこの時代に撮影できたものと感心する。
また透明人間と格闘する役者は一人演技を自然に見せないといけないので大変だったと思う。
透明人間役には悪役で有名な個性的な河津清三郎が珍しく善良な役を演じている。
ピエロのメイクをしているのでほとんどわからないが・・そして南条の恋人役は当時のトップスターの
三条美紀が演じている。監督は「ゴジラの逆襲」の小田基義。どことなく哀愁がある映画である。
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2016年04月04日
「透明人間と蠅男」北原義郎、品川隆二、毛利郁子
映画は、旅客機での謎の殺人事件から始まり、帝都で正体不明の生物による連続殺人事件で人々は恐怖のどん底
へ落とされる。
手がかかりはいずれも蝿の羽音を聞いた証言があるだけで何の手がかりもなかった。
警視庁捜査一課長の若林(北原義朗)はなんとか証拠をつかもうと必死の捜査を続ける。若林は怪しい容疑者に部下の葉山を
張り付かせるが逆襲されて蝿に変身した殺人鬼に殺されてしまう。
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殺人鬼はなおもキャバレーの女も殺し連続殺人を犯す。進退窮まった若林は大学時代の親友で透明光線を研究する
科学者月丘の力を借りようとする。月丘の発明した光線で透明人間になり犯人を捕まえようというのだ。
殺人鬼をあやつる男は、大富豪で元帝国軍人の楠木であることは目星がついていた。
透明人間と蠅男の死闘が始まったのだ・・・
この映画の製作は1957年なので本家「蠅男の恐怖」より1年早いのでパクリとは言えないかも知れない。
蠅男というと「蠅男の恐怖」のようなグロテスクな造形をイメージするかもしれないが、この映画の蠅男はほとんど
普通の人間と変わらず特に印象が残るモデルではない。
犯人は、自分ひとり戦犯の罪を受けたことを恨み、帝国陸軍開発の秘密の薬品を使って次々に殺人を犯していく。
戦争の傷跡がまだ残っていた1950年代ならではの設定である。このあたりは、東宝の「電送人間」と似ている。
サスペンス映画としてもよくできていて面白い。
キャバレーのダンサーを演じる毛利郁子は後に世間を震撼させる事件を起こすがそのことはまた他で触れる。
主演の北原は後に悪役へ転向して大成功する。月丘博士役の品川隆ニはこのときはシリアスな役で後の時代劇
のコミカルな役の片鱗もなかった。
若林の部下葉山は、元オリンピックの水泳の銀メダリストである浜口喜博でセリフが棒読みなのは素人なので仕方な
い。
人生様々、悲喜交々である。監督は村山三男
しかし「マタンゴ」でもそうだがこの時代の変身映画はやたらキャバレーシーンが多いのはなぜだろうか。
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2016年04月03日
「海底軍艦」本田猪四郎、押川春浪、高島忠夫、神宮寺大佐
主人公の痛快な特撮映画である。
物語は日本各地で土木技師の誘拐が相次ぐところから始まる。偶然事件の現場に居合わせたカメラマンの旗中らは
モデルを頼もうと光国海運の楠見専務(上原謙)に秘書神宮寺麻琴(藤山愛子)と事務所へゆくが怪人物に二人が
拉致されようとするのを防いだ。
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怪しい男の正体は、ムー帝国の工作員23号で楠見は帝国海軍の元軍人で麻琴は部下の神宮寺大佐のひとり娘
だった。
神宮寺大佐は、帝国の敗北を認めることができず、忠実な部下を連れてイ103潜水艦とともに消息を絶った。
楠見は部下の最後の頼みを聞いて麻琴を代わりにそだてていたのだ。一方1万2000年前に海底に沈んだはずの
ムー帝国は密かに存続していてその高度な文明で世界を支配しようと狙っていたのだ。
ムー帝国の科学力は凄まじく世界の都市は破壊され。ムー帝国が飼っている怪獣マンダによって人々は恐怖のどん底へ叩き落とされていた。
そして死んだはずの神宮寺大佐は生き延びて万能潜水艦轟天号を開発していたのである。楠見たちは神宮寺に
ムー帝国と戦うために轟天号の力を借りたいと懇願するが神宮寺は、日本帝国の再建の目的以外では拒絶する。
頑固な神宮寺に楠見や旗中は頭を抱えるが、そうするうちにもムー帝国の世界破壊は続いていた・・・
この映画の魅力はなんといっても轟天号だろう。トップのドリルをつけて空も飛び回る轟天号は、後のマイティジャックや
宇宙戦艦ヤマトの先駆者と言っていいだろう。そのフォルムやデザインのかっこよさは今なおマニアに間で人気が高い。
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そしてもうひとりの主役はやはり田崎潤演じる神宮寺大佐である。神宮寺の頑なに日本の敗北を認めずもう一戦を
企む戦争狂ぶりは極右も顔負けである。だが旗中カメラマンに「日本は戦争を放棄したんですよ。憲法に書いてある」
と言われておもわずムットするのは、勝手に憲法改正して戦争したいどこかの国の政治屋みたいである。
ムー帝国の攻撃で東京の町も粉砕されるが、東芝のネオンサインが木っ端微塵になるのは2016年東芝倒産を予言し
ているようで不気味だ。
秘密兵器の冷凍銃でムー人たちが凍るのだが、冷凍人間のシーンが絵で描いたのがまるわかりなのがやや笑える。
またムーの怪獣のマンダは、口から火を吐いて次々と船舶を炎上させるが打たれ弱く簡単に死んでしまうのは
あっけない。ムー帝国の女帝を演じる小林哲子の性悪演技もなかなかいい。旗中役の高島忠夫は
新東宝がつぶれて東宝に移って間がないころだったので張り切っていたと思う。
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2015年09月20日
東宝特撮の金字塔「マタンゴ」
映画の始まりは、ひとりの青年が病院の独房で、東京のキンキラキンのネオンを背に独白するシーンである。
青年の名は、村井研二(久保明)城東大学助教授で心理学者である。青年の話はとても信じがたく狂って
いるのではないかと思われた。
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ここで回想シーンとなり、青年たちが仲間を募りヨットで大海原に出てはしゃぐ場面となるのだ。
一行のリーダーは実業家の笠井で恋人の歌手麻美(水野久美)、推理作家の吉田、スキッパーの作田(小泉博)、
日雇いの男(佐原健二)らがメンバーだった。
楽しいバカンスに思えたヨットでの航行は、突然の嵐に遭って一変した。荒々しい波にさらわれ木の葉の
ように揺れるヨット、一行は不安と恐怖で一杯になるが、漂流の末とある無人島へ漂着する。
しかし、この島はほとんど食料もなく生き延びるのが困難な島であると思われた。
一行は、この島に漂着した難破船からなんとか食料の缶詰を確保するが、僅かな量しかなく喫緊の課題は
生き延びるための食料を見つけることである。
だが、絶望的な状況でメンバーたちがいがみ合いエゴイズムをむきだしにしてゆく。
そんなメンバーたちに、正体不明の影が迫りつつあったのだ・・・
マタンゴはウイリアムホープホジソンの原作「夜の声」をベースに福島正実が脚本を書き、本多猪四郎が監督したものである。
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主演の久保明をはじめ東宝特撮でお馴染みの、土屋義男、佐原健二、小泉博、水野久美といった常連が出て
おり、各俳優の名演技で作品を一層引き立てている。カビだらけの難破船の気持ち悪さやマタンゴの不気味な
笑い声やヨットの波浪場面など素晴らしく円谷英二の特撮技術も際立っている。
マタンゴの声など後の ケムール星人などの声の原型でないだろうか。
また、水野久美が恍惚とした表情で毒きのこを食べるシーンはやたらエロティックである。
回想シーンで東京のキャバレーのシーンが出てくるが、この時に流れる「 水のたまった石畳〜アカシヤの
花が ♪〜」の歌が印象に残って耳から離れない。この歌のCDが出ないものだろうか。
別宮貞夫 のサントラが出ているが、廃盤で入手困難である。また映画の最後のオチが凄い。
特撮ファンなら一度は見るべき作品である。
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2015年01月12日
東宝特撮変身人間シリーズ「美女と液体人間」
雨の降る街で、麻薬密売犯の三崎が、まるで溶けたように跡形もなく消え去った。
三崎には、 キャバレー「ホムラ 」の人気歌手千代子(白川由美)がいたが、三崎の行方を追って三崎の相棒のギャング内田(佐藤允)
生物科学専攻の学者政田(佐原健二)があらわれる。
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政田は、水爆実験の結果、人間が液状化するのではないかと疑いを持っていたので、三崎が水爆実験のとき
船に乗り込んでいなかったのか千代子を尋ねるのだった。
政田が、 ガマガエル に放射線を照射して液状化に成功していたので、人間も水爆実験のときに放射能を浴びると
液状化するのでは考えたのである。
政田は、大学の同級生で友人の警視庁の富永一課長(平田昭彦)に相談するが、富永は戯言としてまともに取り合おうとはしない。
だが、水爆実験当時、近くにいた、第二龍神丸に乗り込んだことのある船員たちを病院に訪ねたとき船員が
液体人間を見たことを証言する。疑い深い富永もようやく政田の意見を取り入れるがそのころギャングの内田は
千代子を拉致して地下下水道に潜り込む。
しかし、そんな二人を追って液体人間の影が迫る・・
液体人間を倒すべく捜査陣は、下水道にガソリンを流し込み焼き払おうとするが・・・
監督は、本多猪四郎、特撮はおなじみ円谷英二、佐藤勝の軽快なマーチ風のサントラが楽しい。
ゼリー状の液体人間のシーンは後の怪奇大作戦の「人食い蛾」の チラス 菌のシーンによく似ていると思う。
またこの1958年製作の映画もご多分にもれず東宝特撮のお約束というべきキャバレーシーンが出てくる。
そのあたりが60年代特撮と違ってどこかフィルムノワールの雰囲気を漂わせている。
なお原作者の海上日出男は、前作の地球防衛軍の撮影中に亡くなっている。佐藤允の個性的な容貌もギャング役
がはまっていた。
中丸忠雄の怪演技特撮「電送人間」
人が殺される謎の事件が発生。東都新聞記者桐岡勝( 鶴田浩二 )は、現場の遺留品から戦争中に戦局挽回のために
物質電送装置を開発研究していた仁木博士の存在を突き止めた。
仁木博士は終戦の日、金の延べ棒を横取りしようとした軍人たちに護衛の須藤とともに生き埋めにされてしまったが
密かに生き延びて電送装置を完成させていたのである。須藤( 中丸忠雄 )はこの装置を悪用して自分を抹殺しようとした一味に
復讐を開始したのである。遊園地で殺されたブローカーに続いて軍国キャバレー ダイホンエイ を経営してい隆の他大西、滝が須藤のターゲットとして狙われていた・・・
正直言って中途半端なできだと思う。電送人間がテレポーションするのに、いちいち移動先にも
電送装置を設置しなければならないためあらかじめ装置を配送しておかなければならない。そのため電送人間須藤は
犯行現場から装置のある場所まで官憲の追跡を走ってかわすのである。これがどうもスピード感にかけ間延びした印象になる。
当時の技術的な問題からそういう設定になったのか。もう少し工夫がほしかった。
また特撮出演が珍しい鶴田浩二もなぜ鶴田なのか使いかたを間違っているような気がする。
須藤が電送機械からテレポーテーションするシーンで青い走査線が螺旋状に走るシーンはその後のSFや特撮で
多用される原型になった思える。電送人間の断末魔のシーンは「 スキャナーズ 」や「ヴァーチャルウォーズ」にも影響を
与えたのではないだろうか。
軍国キャバレーでの女性ダンサーの金粉ショーも60年代を感じさせるエロいシーンである。そして時代背景か作品に戦争の影が
色濃く現れている。
中丸忠雄の怪人の演技力で作品の欠点をカバーしたと言えるだろう。
やはり福田純の演出も今ひとつという気がする。特撮は円谷英二。
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