マリリン・モンローがモンロー・ウォークで世界中を虜にした映画『ナイアガラ』の舞台、ナイアガラ・フォールズへとやってきた!
ナイアガラ・フォールズに2泊3日、実質1.5 日滞在
トロントのユニオン駅から列車でさらに2時間、ナイアガラの滝への玄関口 ナイアガラ・フォールズ駅に到着。
といっても鉄道駅とバスターミナル(バスディーポ)は滝からはかなり離れた場所にあるため、滝の気配は全く感じられず、豊かな森がすぐ近くに迫る何もない所という印象。
ところが観光シーズン真っ只中のホステルは、いい加減なカナダ人スタッフの能力を遥かに超えたカオス状態にあった…。
2泊で予約したはずが1泊しかベッドが確保されておらず、2日目の朝一度荷物をまとめて部屋を出るよう言われる。なんてこったい!面倒な手続きと共に重い荷物を、エレベーターなどない建物内の階段を上げ下げする羽目になるなんて…、ひどすぎる〜
世界三大瀑布のひとつ、ナイアガラの滝
二つの大きな滝のうち大きな方がカナダ側にある。 カナダ滝、 アメリカ滝双方の周囲は観光地として発展しており、滝の姿を部屋から眺められる高級ホテル群が建ち並ぶ。が、ホステルは鉄道駅の前に位置しており、滝までは 徒歩約30分の道のり。タクシーなんて贅沢はできないし、バスが通ってはいるが本数が少ないため、結局私はいつも歩いていた。
↑ こんな景色の中を延々歩いて滝へ向かうと… ↑ やがてアメリカ側へ渡る橋が見えてくる。 ↓ その橋の向こうにアメリカ滝がある。 ↓ 左(手前)がアメリカ滝、右(奥)の船が
近付いているのがカナダ滝。
カナダ滝の真横には テーブル・ロックというビューポイントがあり、そこから物凄い勢いで流れ落ちていく滝を間近で眺めることができる。何年か前この場所から身を乗り出して滝に転落した日本人女性がいたことを思い出し、体がキュッとなった。
が、身を乗り出したくなる気持ちもわからないでもない。落ちるかも、なんて危惧は吹っ飛んでしまうほど、その圧倒的な量の水が滝壺へと落ちていく様に見入っていると、体ごと持っていかれそうになるのだ、違う世界へと。
けしてそこに留まることのない水、垂直な崖に向かって歓び勇んで飛び込んでいくように流れていく水たちが、「あなたもどう?」と手招きしているかのように見えてくる。言葉をかき消す轟音と、この世の全ての塵芥を払えそうに立ち上る水煙の向こうには、見たこともない耽美的な世界が隠れているような、そんな危うい気持ちにさせるのだ。
幸い(?)崖の近くのテーブルロックには水滴が降り注ぎ、長時間そこにいるとびしょ濡れになるので、あまり長いことそこで魔の瀑布に魅入られていることはできない。そこで、飛沫を避けるため背後に建っている テーブルロック・コンプレックスに入る。
ここは観光案内所やレストラン、お土産ショップなどの入った複合施設であり、ジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズという、裏側から流れ落ちる滝を見られるツアーのチケットもここで売っている。水飛沫を浴びると凍ってしまいそうな季節には、この中のレストランから眺めるのが無難かもしれない。
テーブルロック・コンプレックスのさらに背後には高層ホテルが林立し、滝が見えるオープン・カフェでは青空の下でビールやワインなどを飲みながら、長時間過ごす人々で溢れていた。そういったレストランはどこも高級そうだし、ひとりで気軽に入れそうなカフェからは残念ながら滝が見えない。滝の見えるカフェを求めて彷徨ったものの、ついに諦めてビルの谷間のカフェで行き交う人を眺めてお茶をした。
滝を間近に眺めることができるマリオットやエンバシー、ヒルトン、ラディソンなどがずらりと並ぶテーブルロック背後の高層ビルの谷間で青い空を見上げながら、お金持ちは高層ホテルのゴージャスな部屋に居ながらにしてあの絶景を眺められるんだなぁ、いいな〜、いつかあの高級ホテルの滝側の部屋にパートナーと泊まれる日が来るかなぁ…などと夢見て。ああ、万人が平等に見られるのは青空だけなのか…?
ナイアガラの滝と周辺の散策でけっこうな距離を歩いてから戻り、新しい部屋へ…と思ったらまだ部屋を押さえていなかったらしく大分待たされた挙句、結局同じ部屋の同じベッドを案内される。だったらパッキングと荷物の上げ下げ必要なかったじゃん!と怒りながらも、ロッカーから出した大荷物を再び上階へと運んだ。
まだ誰も到着していない6人部屋でひとりしばらく休んだ後、ライトアップされた夕方の滝を見に再度出かけたが、これでトラブルが全て片付いたわけではないことを私はまだ知らなかった…。
ナイアガラ・フォールズもナンパのメッカ?
スコーンと晴れた青空の下、あまりに暑いのでタンクトップという軽装にもかかわらず汗だくになりながら、滝が良く見える高い位置にある右手の クイーン・ビクトリア公園へ登ってみた。
高所から見下ろす滝の絶景写真を撮っていると、いつの間にか近くにいた茶色い髪の中肉中背の男性があなたの写真を取ってあげる、と申し出てくれたので、ありがたく自分の姿もカメラに収める。が、その後彼は私の横を並んで歩き、会話を続けた。
↑クイーン・ビクトリア公園から見たカナダ滝
成り行きで一緒にスタバに入りコーヒーをテイクアウトして、歳の頃30代半ばに見えるこのロバートと共に公園のベンチへ。
むやみに現地人の誘いを断るデメリットをネパールやヨルダンといった先の旅で感じていたので、警戒しながらもロバートと英語での会話を楽しむ。
彼は1年のうち4カ月ずつブダペスト、日本、トロントと移動して暮らしているカナダ人ということで、日本人の私に興味を持ったようだった。確かに日本のことは多少知っていたけれど日本語は全く話せず、どの程度信頼できるのかわからなかったが、1年の3分の2遠距離恋愛をしているというカノジョのことなど、英語で会話するのは楽しかった。
とはいえ次第に縮まってくる距離と「君は可愛い」という褒め言葉の連発、そしてついにマッサージしてあげる攻撃が出た時点で、これはナンパだと断ずるには充分であり、私は即刻立ち上がって、このあと車で周囲を案内してあげるという執拗な誘いを丁重に断り、逃げ出したのだった。なぜいつもナンパする男ってマッサージしたがるんだろう???
ナイアガラという第一級の観光名所を一人で訪れる日本人女性は多いと思うが、そのうちのどれだけがこの手のナンパに付いて行くのだろう。アバンチュールを楽しむ覚悟がある(というのもヘンな表現だが…)女性ならそれはそれで良いだろうが、生憎私は極度の臆病者なので、この時は無傷で無事帰国することを最優先したのだった。
日が暮れるとこんなふうにライトアップされるので女ひとりで歩くのはかなり肩身が狭い…
カナダの国民的カフェ、ティム・ホートン
私の記憶では、このナンパされた時に立ち寄ったのは確かにスタバだったと思うが、アメリカの隣国であるカナダに実はスタバはほとんど存在しない。カナダではスタバやミスドを凌ぐコーヒー・ショップが幅を利かせているからだ。
その名も「 ティム・ホートン Tim Hortons」という。
この、カナダ全土に拡がるチェーン店はスタバやコスタといったコーヒー・ショップとミスド、ダンキン・ドーナツ、マック、ケンタといったファスト・フードを合わせたカフェ。コーヒーを始めドーナツを中心としたスイーツ、店の規模によってはソーセージ・ロールやナゲットといった軽目のファスト・フ—ドまで揃った超便利なカフェで、カナダ滞在中頻繁に利用させてもらった。
どの町にも(勿論プリンス・エドワード島にも!)この「ティム・ホートン」が必ず一軒はあり、多くのショップが入ったガラガラのモールでもこの「ティム・ホートン」だけにはいつも客の列が出来ているのだった。もちろんテーブルロック・コンプレックス内にも入っているし、全ての鉄道駅に入っているのではないかと思うくらい、どこにでもある。
ドリンクはスタバより安いし食べ物の選択肢が豊富なので助かるのだが、サービスはやはり超いい加減なカナダらしく、セット(コンボ)を頼んでも日本のようにトレーに一式まとめてとかキレイに紙袋に入って出てくることは、まずない。用意できた順にバラバラに出てくるので、頼んだ本人が注意していないと揃わないまま忘れ去られたりもする。
日本ほどきめ細かいサービスを期待できる国はないことに、ナンパ男ロバートもおおいに同意してくれた。彼曰く、大雑把なイメージのアメリカ人よりもカナダ人の方が更にいい加減なのだそうだ。やっぱりそうなのかー(ナットク)…
大雑把なカナダ人、恐るべし
疲弊して夜10時過ぎにホステルの部屋へ戻った私を、更なるトラブルが待ち受けていた。
女性用ドミトリーのはずの6人部屋で、何故かオヤジやキッズが寛いでいる。目が点状態の私に母親らしき女性が「ここはファミリールームのはずよ」と主張するので、二人で受付へ確認にいく。
結局スタッフの手違いによる ダブル・ブッキングが発覚し、夜の11時(!)にまたしても別の部屋へ移動させられる。嘘でしょ…
ツイン・ルームの先客はすでに寝ていたので、真っ暗な中で何もできずにそのまま寝た。朝食も手抜きばかりが目につき、改めて振り返ってみてもひどいホステルだったと言わざるをえないのは、残念な記憶だ。何なのかしら、まったく。嫌がらせのようにトラブル続きのホステルだったわ…(-_-;)
到着した午後に1回、翌日の昼間と夜に2回の合計3回、カナダ滝まで足を運んだ。何度見ても吸い込まれるように恐ろしく魅惑的なナイアガラの滝は素晴らしかったが、最悪のホステルとナンパに少し疲れを感じながら カナダを一旦あとにして、今度はバスで友人の住む アメリカのデトロイトへと向かったのだった。
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