AKIYAN'S SHOW

AKIYAN'S SHOW

2004.11.30
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テーマ: 愛しき人へ(903)
カテゴリ: カテゴリ未分類
もう4年近くも前のことだ。

親父は高血圧やらなんやらで普段から町の病院に通っていた。

正確には覚えていないが、もう暖かくなってきたという頃。

普段と変わらぬ、いつも通りの定期診断を受けに行った。

ちょっとした体調の変化を医者に訴えたところ、

「シコリがある」と言われたらしい。

「少し大きな病院できちんと診察をされた方がいい」とのことで、

市原にある大学病院で検査を受けることになった。


3日間ほどの入院だと思った。

ちょっとした検査程度と思った。

しかしどうやら勝手が違うらしい。

息子さん(つまり俺)や奥さんも一緒に説明を聞いてほしいと言われた。


日程を決めお袋と二人で、親父の待つ病院へ向かうことに。

病院は田舎に位置する立派な建物だった。


「ゼンリツセンガン」


メガネをかけた主治医の口から、よくわからない病名がまるで外国語のように聞こえる。

癌そのものに対して「無縁」と思っていたため、何の知識もない。

だからわかるはずもない。

ただ「癌」という単語だけが嫌によく響いた。

パニックになった。もちろん母も。

しかし親父は毅然とした態度で一言ずつ確認するように質問を繰り返す。

病気に対しての可能性、今までのケース、入院後のシュミレーションなど…。

そして最後に「余命はどの位ですか」と…。

一瞬耳を疑った。

余命…なぜそんなことを聞くんだ。治すんじゃないのか。

本当にそう思った。

主治医から「こればかりはわからない。半年で死ぬ方もいれば、6年7年生き続ける人もいる」

そりゃそうだ。人に人の命の限界なんて判るわけがない。

しかも今のピンピンしている状態ならなおさらだ。

話によると「前立腺癌自体では、直接死に至ることは少ない(あるいはない)」とのこと。

つまり治療法も多いというわけだ。

ただ親父の場合は発見が遅く、もうすでに前立腺から骨へ転移していた。

この骨がやっかいなのだと言う。

骨へ転移した癌は、放って置くとあっという間に全身を蝕んでいく。

転移した個所は非常に脆く、骨折もしやすい。

骨折の状況次第では、くっつくことは不可能。

一刻も早く治療を行い、進行を止めたいと、

医者は治療に関しての同意を求める。

家族誰の反対もなく、癌と戦う方を選んだ。もちろんだ。

今の段階なら骨といっても一部分だけなので、放射線治療と薬で治められる可能性も高いという。

お金はいくらかかってもいい。治してくれ。

そういった願いのもと、入院生活が始まった。


親父と癌の長い付き合いのはじめの一歩である。






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Last updated  2004.11.30 18:53:16
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Comments

kakun9016 @ Re:ウィ~ッス!(02/10) こんにちは! 久しぶりにやってきました …
さっちょん9761 @ Re:ウィ~ッス!(02/10) お久しぶり~!! 元気そうで良かった~…
bittersweet @ Re:ウィ~ッス!(02/10) しばらく書かないと、モチベーションって…

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