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2016.10.02
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カテゴリ: 観照


9月18日(日)、自宅を出るとき雨が降っていましたが、奈良国立博物館(以下、奈良博と略す)に出かけました。特別展「忍性 -救済に捧げた生涯ー」展の会期が19日(月・祝)まででしたので、間際の鑑賞です。冒頭の写真は奈良博の新館手前で明日を過ぎると取り払われる展覧会ポスターです。
西大寺の叡尊に師事し、律宗の興隆に努めた奈良生まれの名僧です。生誕800年を記念しての特別展でした。

今回は展覧会を観た後で、ピロティに出て眺めた庭のご紹介をします。奈良博には恒例の正倉院展や特別展の折りに訪れては、この庭を眺めたり、写真を撮ることが好きなのです。今までに撮った写真を織り交ぜて、少し整理しておきたいと思いました。

奈良博所在地の位置関係は、 この地図(Mapion)をご覧ください。 ご紹介する庭は新館の南側の庭園風景です。

普段、ピロティなどという用語を使うことがありません。意味は体験的に理解していますが・・・・。手許の辞書を引きますと、「建物の1階または2階を列柱で支えてできた、壁のない空間」 (『日本語大辞典』講談社) のことだとか。

これは2004.2.8に撮った写真です。列柱のある空間です。 (以下、以前の写真には年月日を付記)

    (2005.5.4)
2004,5年のときは、この庭園内を散策できましたので、ピロティから庭園に渡る位置から写真が撮れたのです。

そこで序でに、よく使う言葉の方も一度同じ辞書を引いてみました。
テラス  :洋風建築で屋外に土を盛って設けた床面。表面をコンクリート・レンガ・敷石などで仕上げる。
バルコニー  :洋風建築で建物の階上から戸外に張り出した床の部分。屋根がなく手すりで囲まれている。露台。

更に連想すると、こんな用語も・・・。
ベランダ  :屋根付きのバルコニー。日本では2階以上に取り付けたものをいう。
 「外に張り出した縁のことで、屋根のあるもの。雨でも洗濯物が干せます。」という説明をネット検索で見つけました。そこから知ったのが、
「ルーフバルコニー」 で「下の階の屋根を上階の庭として使うもの。バルコニーの広いもの。」 (資料1) をいうそうです。我が家には小さなバルコニーはありますが、ルーフバルコニーなんて縁がありません。
そして、 「ウッドデッキ」 などと使われる言葉。 「デッキ」 は「建築物の外に設けられる、地面から高くされた床」であり、「甲板からの連想で、居室外の、ある程度の広さを持った平らな部分」 (資料2) をいうのですね。

観照視点ですから、脇道に逸れることをお許しください。

ピロティに出るドアの近くから、高い生籬 (いけがき) と黒文字垣( くろもじがき) で囲まれた寄せ棟造りの建物が眺められます。
上掲の写真は、左端にちょこっと写っている長方体の庭に渡る通路部分から撮ったものです。

生籬の手前に立つ 石灯籠 。春日燈籠のスタイルなのでしょう。


こちらは以前にこの庭で撮った写真(2004.2.4)です。


庭の方(南)に目を転じると、手前に 宝篋印塔 が置かれています。
右の写真は、ピロティを移動し、違う角度から撮ったものです。


                   (2009.11.1)

                (2013.10.29)

宝篋印塔は「過去現在未来にわたる諸仏の全身舎利を奉蔵するために『宝篋印陀羅尼経』を納めた供養塔」 (資料3) です。
この塔は、基壇上に、基礎・塔身・笠・相輪が積み上げられています。笠の四隅にある隅飾突起が時代が下るほど外側に大きく反ったものが作られるようになります。時代が古いものは真っ直ぐに立っている形だと言われています。

             (2005.5.4)
石造のものは鎌倉中期から造立されるようになったそうです。面白いことに、鎌倉時代後半頃から、宝篋印塔に関西型・関東型と呼ばれる地域による形状の違いが出てくるのだとか。関東型は基礎の下にはっきりとした反花座 (そりはなざ) を加えるようになるといいます。( 資料3)
ここに置かれているのは南北朝時代の作だそうです。反花座がありませんので、関西型に見えますが、相輪の先の宝珠が火焔を備えているのです。九州の国東半島由来のもののようです。京都・奈良の寺々でみかけるのは相輪の先に宝珠が載っている形式のものです。




ピロティ沿いにほぼ長方形の池が手前にあり、その池は庭園内の別の池に繋がっています。西方向に向くと、手前の池に繋がる池の先に、田舎屋風の建物が見えます。
 (2009.11.1)



ズームアップしてみました。 茶室「八窓庵」 です。
この茶室、「もとは興福寺の大乗院庭内にあった茶室で、含翠亭(がんすいてい)ともいい、江戸時代中期に建てられました。江戸時代の名茶人、古田織部(ふるたおりべ・1544-1615)好みと伝えられる多窓式茶室として有名です。」地元での永久保存を願う篤志家数名の努力があり、明治25年(1892)に博物館の敷地に移設されたそうです。(資料4)

ピロティを西方向に少し歩み、近くで眺めると、池の繋がる箇所に八ッ橋様の石橋が架けられていて、


踏み石通路の先に中潜戸が設えてあります。

  (2013.10.29)

 (2010.11.1)
もう少し西に移り、 八窓庵の北側面を眺めた全景 。こちらは2015.11.4に正倉院展を観に来たときに撮ったものえす。どこからか入ったのか、 庭に鹿を見ました。

 (2013.10.29)


この八窓庵の側、 池に近い側に、この石塔が見えます
左の写真の石塔は、 (くにさきとう) と称される九州の国東半島に分布する宝塔です。
「その(国東塔)特徴は、塔身の首部に穴がつくられていること。塔身の直下に蓮華座や反花よりなる台座があること。相輪の頂上に火焔のあること等である。」 (資料5)
石材には殆ど角閃安山岩が使われているそうです。
  (2009.11.1)


ピロティ側の池に繋がり、石橋の先を眺めると池中に島が見えます。



  (2010.11.1)
その中島の先には、木橋が架かり、大きな木の下に建物があります。

                                          (2010.11.1)
 ズームアップすると、こういう景色です。



 (2015.11.4)

  (2013.10.29)
ピロティの西側から東を眺めたほぼ全景

ピロティからの庭景色ですが、以前(2004-5年)にこの庭園を散策する機会がありました。次回は、その時に撮った写真をまとめてみたいと思います。

つづく

参照資料
1) 間取用語どう違う?  :「お部屋探しの気づき!マスターのカフェ[リプロ]」
2) デッキ  :ウィキペディア
3) 『図説 歴史散歩事典』 監修井上光貞 山川出版社 p332
4) 茶室「八窓庵」  :「奈良国立博物館」
5) 『国東文化と石仏』 文 大嶽順交 写真 渡辺信幸  木耳社 p92

補遺
宝篋印塔  :ウィキペディア
宝篋印塔について   :「石寅 浜田石材」
国東塔の魅力~最も国東らしい文化財~ :「豊後高田市」
岩戸寺宝塔(国東塔)   :「石仏と石塔!」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

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その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

観照 奈良にて -2 奈良博の庭を散策できた折に へ
観照 奈良にて -3 奈良博・庭の池面の表情 へ
観照 奈良にて -4 奈良公園の鹿 徒然に へ








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Last updated  2016.10.05 09:17:27
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