音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月26日
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カテゴリ: ジャズ




 ブッカー・アーヴィンはテナー・サックス奏者で、1930年テキサス生まれ。1970年に腎臓病で39歳の若さで亡くなっている。1956年から63年までチャールズ・ミンガスとともに行動し、60年代前半にはプレスティジ、その後はパシフィックやブルーノートに演奏を残した。
 さて、筆者は世間のブッカー・アーヴィンの評価に不満がある。悪く言う人は、くどいだの垂れ流しの演奏だの、よく言う人は、前衛的(アヴァンギャルド)だの先鋭的だの泥臭さなどと形容する。しかし、実際に何枚か聴いてみて、単純な疑問を持った。いい方も悪い方もそのような方向性の評価で済ませてしまっていいものだろうか。
 上で挙げた悪い方の評価から考えてみたい。泥臭いブルース感覚の問題ではなかろうか。泥臭いんだからくどくて当り前。ブルース感覚というのも、ジャズの世界で言うブルースは本来のブルースとは少しイメージされるものが違っていて、それゆえ齟齬があるように思う。もともとの黒人のブルースや戦前ブルースといった世界のイメージからすると、「垂れ流し」は心の叫びや心情のストレートな吐露の一形態のうっぶんに属するものだろう。つまるところ、アーヴィンの演奏は、ジャズでありながらも、あまりにブルース的なのだ。
 こう考えるてみると、「前衛的(アヴァンギャルド)な」という評価にも疑問がわく。音的にはエリック・ドルフィーなどを意識して、こういう評価が出てきたのだろうと推測するが、もし演奏者本人が前衛に走るつもりならば、自然な泥臭さを消そうとするはずだ。そうした方向性を目指すならば、ブルースらしさをこれほど前面に出す必要性はない。いや、むしろそれを消すことが前衛に向かうためには必要だったのではないか。
 要するに、ブッカー・アーヴィンの音楽、少なくともこのアルバムやその前後のプレスティジ盤は、そうした評価の枠外にあるように思う。ただただ、きわめて自然に、彼のブルース魂の趣くままに吹き綴ったと考える方が納得がいく。ミュージシャンの出自だけですべてを判断する気はないが、彼に限っては、やはり南部の血がじつに濃く流れていると言っていい。


[収録曲]
1. The Lamp Is Low
2. Come Sunday
3. All The Things You Are
4. Just Friends
5. Yersterdays
6. Our Love Is Here To Stay

Bokker Ervin (ts), Tommy Flanagan (p), Richard Davis (b), Alan Dawson (ds)
録音:1964.2.27






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Last updated  2016年02月04日 10時10分28秒
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