音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月26日
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カテゴリ: ジャズ




 1927年ニューヨーク生まれのジェリー・マリガンは、バリトン・サックスの第一人者にして、西海岸ジャズ(ウエスト・コースト・ジャズ)の立役者。さらには、マイルス・デイヴィスのノネット(九重奏団)作編曲家で、マイルスの『クールの誕生』に参加したことでも知られている。西海岸ジャズ絡みでは、チェット・ベイカーとの競演が有名で、パシフィックに吹き込んだオリジナル・カルテットの演奏はよく聴かれているだろうから、ここではあえて別の愛聴盤を紹介したい。

 本作『マリガン・プレイズ・マリガン』(PRESTIGE7006、後に同7251として再発)は、1951年、ニュージャージーでの録音。つまり、『クールの誕生』(1949~50年)よりも後で、なおかつカリフォルニアに移ってのピアノレス・カルテット(1952年~)よりも前という時期に当たる。

 この作品は、タイトルからもわかるように、7曲すべてマリガンのオリジナルで、マリガン名義の最初のアルバムとなった。1~6曲目までは、3・4分の短い曲で、7曲目の「マリガンズ・トゥー」だけが17分を超える長さ。つまり、LPで言えば、B面はこの曲だけということ。これはLPの実用化に伴ってプレスティジが早速取り入れた手法で、逆に言えば、LP普及前夜にはこの長さの演奏は不可能だったわけだ。CD(70分以上収録)が普及したいま、70分の曲を演奏されても困るわけだけれど、ジャム・セッション風の「マリガンズ・トゥー」の長尺演奏は、だらけることもなく、見事な演奏で、ジョージ・ウォリントンのサポートが効いている。

 このアルバムはどの曲を聴いてもはずれがない。最初に耳に飛び込んでくるのは、マリガンが演奏するメロディアスなバリトン・サックス。六管編成(7.のみ二管は)であるが、そのアンサンブルの中でマリガンが心地よく流れるプレイを披露している。

 これだけでも十分に気持ちいいのだけれど、さらに落ち着いて聴いていくと、マリガンの作曲能力の高さを再認することになる。そもそも素材としてのいい曲がなければ、演奏の心地よさが生まれるはずもない。
 さらに注意深く聴き進めると、編曲者マリガンの姿も見えてくる。その編曲の才能は、『クールの誕生』やギル・エヴァンスとの交流で既に培われたものだったわけで、今さら力説することもないかもしれない。本作でマリガンはその力をいかんなく発揮している。楽曲単位においても、アルバム全体においても、見事なアンサンブルの中で演奏が進んでいく。

 といったわけで、本盤は3つのおいしさを兼ね備えている。演奏者として、作曲者として、そしてこの小編成オーケストラのアレンジャーとして、3人のマリガンが1枚のアルバムに見事に収められた結果が、『マリガン・プレイズ・マリガン』だと言える。


[収録曲]
1. Funhouse
2. Ide's Side
3. Roundhouse
4. Kaper
5. Bweebida Bobbida
6. Mullenium
7. Mulligan's Too





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Last updated  2016年02月04日 10時11分31秒
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