音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月13日
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 ビリー・ジョエルは70年代から90年代にかけて活躍したニューヨーク出身のピアニスト、ロックシンガー、作曲家。1973年のアルバム『ピアノ・マン』および同名のシングルが出世作と思われているが、アルバム27位、シングル25位(いずれも全米チャートでの順位)で、必ずしも大ヒットいうわけではなかった。実際に大スターの仲間入りを果たすのは、1977年の 『ストレンジャー』 (および同アルバムからの、「素顔のままで」などのシングル・カット)以降であった。『ストレンジャー』に続く『ニューヨーク52番街』(1978年)や『グラス・ハウス』(1980年)といったヒットが続き、最初の絶頂期だったビリー・ジョエルが1981年に発表した最初のライヴ・アルバム、それが本作『ソングズ・イン・ジ・アティック』である。

 アティックとは屋根裏部屋のことで、『ソングズ・イン・ジ・アティック』とは屋根裏に眠っていた楽曲たちを指している。それらは、『ストレンジャー』よりも前の、言い換えれば、彼が大ブレイクする前のアルバムに散りばめられた名曲群である。それらの曲を当時のバンドで演奏したライヴ録音として集めたのが本盤なわけだ。

 それにしても、ビリー・ジョエルはいいことをしたと思う。普通に考えれば、売れているアーティストのヒット曲の羅列のようなライヴ・アルバムを作れば、一過性にせよセールスは確実だ。しかし、それとはまったく異なる、正反対ともいえる方向性でこのアルバムは作られた。売れた曲を詰め込んでライヴ盤を売り出すのではなく、売れていなかった昔の曲のみでそれを構成した。想像するに、ビリーや関係者は、レコード会社相手にかなり頑張ってこの企画を了承させたのではないだろうか。何せ、売れるのが確実なものを作りたいであろうところで、売れなかったもののリメイクを作ろうという話である。それともレコード会社側に理解や信念を持った担当者がいたのだろうか。

 ともあれ、アルバムは全米8位を記録し、トップ10入りはしなかったとはいえ、シングルカットもなされた(7.「さよならハリウッド」が全米17位)。相応の成功は収めたわけで、1977年よりも前のビリーの諸作にも注目を向ける契機となったのであろう。

 かくいう筆者も、実はこのアルバムのおかげで、『ストレンジャー』以前のビリー・ジョエルのよさにようやく気付いた。こうしてさかのぼって聴くことになったアルバム 『ニューヨーク物語(Turnstiles)』 (1976年)は、とくに今でも大のお気に入り盤である。初期のビリー・ジョエルをよく知らないという向きにはぜひともこのアルバムを聴いてもらいたい。そして、気に入った曲をきっかけに、初期4作へとさかのぼっていき、楽しんでいただきたい。



[収録曲]

1. Miami 2017 (Seen The Lights Go Out On Broadway) ←おすすめ!
2. Summer Highland Falls
3. Streetlife Serenader
4. Los Angelenos
5. She's Got A Way  ←おすすめ!
6. Everybody Loves You Now
7. Say Goodbye To Hollywood  ←おすすめ!
8. Captain Jack  ←おすすめ!
9. You're My Home
10. The Ballad Of Billy The Kid
11. I've Loved These Days ←おすすめ!

1981年リリース。





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Last updated  2016年02月04日 09時56分17秒
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