音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年05月10日
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 レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)、ドイツの飛行船“ツェッペリン”をもじって“鉛の(lead)飛行船(zeppelin)”。鉛という単語の綴りが一文字変更されているが、あほなアメリカ人が“レッド”を“リード”と誤読しないようにわざと綴りを変えたらしい。ちなみに、英語では、“ゼッペリン”と発音されるらしいが、元をただせば、上記の飛行船開発者のドイツ人フェルディナント・フォン・ツェッペリン伯爵に行き着くわけだから、やっぱり“ツェッペリン”とドイツ語風に呼んでやるのがいいように思う。

 さて、そのレッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムが本作である。一般には『IV』もしくは『Led Zeppelin IV』の名で知られるアルバムである。けれども、実際には、このアルバムには題名もアーティスト名もない。その代りによくわからない4つのシンボルマークが記載されていて、その理由で『Four Symbols』と呼ばれることもある。1971年にリリースされた。

 1969年に鳴り物入りでデビューした(イギリスから渡米し、アトランティック・レーベルと契約したが、その契約金は20万ドルという破格だった)レッド・ツェッペリンは、快調に人気を集め、セカンド・アルバム(同年末リリース)はビートルズの『アビー・ロード』を引きずり降ろしてのチャート1位(それも7週連続)、翌70年にはビートルズを抑えて英メロディ・メイカー紙の人気投票でNo.1グループにもなった。しかし評論家受けがあまり良くなかった。特にサード・アルバム(1970年秋リリース)はチャートで英米ともに1位を記録したものの、酷評されてしまう。そんな中、ツェッペリンが次に世に問うたのが本盤であり、クレジットなしというのも(商業的理由か、評論家に対する反発かはともかく)本盤を問題作として世間に提示したかったからと言えるだろう

 以前述べたように( 「アキレス最後の戦い」 の項を参照)、レッド・ツェッペリンは単なるハード・ロック・バンドではなかった。ジミー・ペイジのフォーク志向、ロバート・プラントのトラッド(主にケルト)志向というものが基盤にあり、バンドの楽曲・サウンドに大きく影響していた。その方向性が強く出たのが、アコースティック色の強い前作(サード・アルバム)であり、これを批判した批評家たちはツェッペリンの本質を見誤っていたということになる。しかしまた『III』で示された方向性だけが唯一ではなく、ジョン・ボーナムの激しいドラミングに象徴される“ハード”な部分も、当然ながらこのバンドの大きな特色であった。この両方(フォーク=トラッド路線とハードロック路線)の組み合わせという点で最高の出来に仕上がったのが本盤『IV』だと思う。

 この二つの方向性の対比はアルバムの随所に見られる。例えば、2.「ロックン・ロール」と続く3.「限りなき戦い」の対比がそうである。同じくアルバム後半では、8.「カリフォルニア(Going To California)」と9.「レヴィー・ブレイク(When The Levee Breaks)」という連続した二曲にも同じような対比が認められる。これらの例のように、曲と曲の間での対比も可能であれば、同じ曲の中でもそれを見て取ることが可能である。有名な4. 「天国への階段」 はその典型であろう。この曲は、静と動の対比が素晴らしいと言われることがあるが、“静と動”という表現は、正鵠を射ているようでありながら的が外れているようでもある。“ハード・ロック・バンドとしての静と動”という意味に理解されるのであれば、この表現は正しくないと思う。実際には、フォーク=トラッドな部分と、いわゆる典型的にハード・ロックの流れに位置づけられる両方の要素が曲の見事な展開の中に収められている。言い換えれば、ハード・ロック的要素と非ハード・ロック要素の“融合”こそが本盤を名作にしているのだと思う。

 したがって、本盤は“静かな曲を含むハード・ロック・アルバム”というものではない。“非ハード・ロック的要素を見事に内包したハード・ロック・アルバム”という方が正しいように思う。上記「天国の階段」が収録されていることで有名なアルバムで、セールスも大きく、これまで米国内だけで2300万枚、全世界では3700万枚以上が売れたと言われる。ということは、当然、このアルバムを持っている人も多いはずだ。持っているけどしばらく聴いていないという方がいれば、ぜひ上で述べたような“非ハード・ロック的要素”にも着目しながら聴き返していただきたい。やっぱりレッド・ツェッペリンは“ただのハード・ロック・バンドではなかった”ことを実感していただけるものと思う。



[収録曲]

1. Black Dog
2. Rock And Roll
3. The Battle Of Evermore
4. Stairway To Heaven
5. Misty Mountain Hop
6. Four Sticks
7. Going To California
8. When The Levee Breaks

1971年リリース。


[参考記事リンク]

アン&ナンシー・ウィルソン/ルー・グラム&ザック・ワイルド 「天国への階段」




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