ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)の本盤『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(Born in the U.S.A.)』もまた、そんな作品の一つである。ベトナム帰還兵の苦悩を歌った1.「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」をそのままアルバムタイトルとし、アメリカ国旗の縞をあしらったジャケットにジーンズの後ろ姿の写真。歌のサビは「俺はU.S.A.で生まれた」。確かにレーガンの政治的キャンペーンに誤解を含んだ形で利用される素地はあったのかもしれない。良くも悪くもスプリングスティーンは、このアルバムで80年代半ばの“強いアメリカ”を象徴するアイコンになった。