音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月11日
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 「名演」や「名作」などと称されるライヴアルバムはこの世に多く存在する。ここで紹介するアルバムは、別に「特定のコンサート」という意味の名演・名作ではない。バンドとしてコンスタントな名演をこなし続けた人たちの10年間の軌跡だ。

 ブルース・スプリングスティーンが「ライヴの人」だということは、デビュー当時から言われていた。最近CD(&DVD)化された1975年、ハマースミス・オデオンでのライヴを聴けば(スプリングスティーンおたくの筆者はブート盤などで聴いたそれ以外の演奏でも既に同じ感想を持っていたのだが)、早い段階から圧倒的迫力のステージをこなしていたことはよくわかる。

 何よりもこのアルバムの魅力は、まとまりを持ったバンド力にあると思う。スプリングスティーンとE・ストリート・バンドの演奏における一体感は、ほとんどオーバーダブなしに作られた 『ザ・リバー』 (1980年)で実証済みだった。とはいえ、本ライブ盤の前作にあたる 『ボーン・イン・ザ・USA』 までのアルバムはすべて「B・スプリングスティーン」名義であった。それが、このライブ盤ではいきなり「~&E・ストリート・バンド」名義になっている。

 E・ストリート・バンドとの共作名義になっているのは、何よりもこれらのライブ演奏がバンドとの共作あることを強調しようとしたかったからではないか。本アルバムのリリースは1986年だったが、タイトルにもあるように、1975年(スプリングスティーンを一躍有名にした 『明日なき暴走』 の年)から1985年(『ボーン・イン・ザ・USA』のヒット時)までの名演を集めたものである。つまり、E・ストリート・バンドのメンバーがほぼ固まった時期から、大々的な世界的ツアーをこなしていくまでの過程が収録されているわけだ。実際の演奏を聴いてみればわかるように、E・ストリート・バンドほど「寸分違わず息のあった」バンドはめったにお目にかかれない。リリースされた80年代当時、上り調子にあったボン・ジョヴィの演奏がかすんで見えるほどバンドの息がぴったりあっていた。ボン・ジョヴィの名誉のために付け加えておくが、彼らの演奏が下手なわけではない。それでもなお、ボン・ジョヴィとE・ストリート・バンドの間には、デビュー前のアマチュアバンドとボン・ジョヴィの間にあるのと同じぐらいの差を感じた。その凄さは、リーダーであるスプリングスティーンがリハも練習もしたことがない曲をいきなり本番でリクエストし、メンバーがそれに応じられるというエピソードに如実に表れている。

 発売当時のこのアルバムはLP5枚組、7500円という途方もないものだった(にもかかわらず、初登場1位という大記録まで樹立してしまった)。筆者が少年時代にした最も大きな買い物だったかもしれない。おかげで少し前に廃止されて記念に取ってあった旧5千円札は購入代に消えた。前代未聞の5枚組ライヴアルバムの箱の重さ(ジャケットが箱状になっていた)が懐かしく、たまに引っ張り出してきては意味もなく見つめてしまう。

 今では聴く時はCDでしか聴かないが、CD化されて3枚にまとめられた際の中途半端な途切れ方はいまだなじめない。CDで聴く時は、ぜひオリジナル曲順を意識してもらいたい。なので、以下の曲目には、あえてA面・B面…の区分を掲載しておく。



[収録曲]

(1枚目 A面)
1. Thunder Road
2. Adam Raised A Cain
3. Spirit In The Night
4. 4th Of July, Asbury Park (Sandy)
(1枚目 B面)
1. Paradice By The "C"
2. Fire
3. Growin' Up
4. It's Hard To Be A Saint In The City
(2枚目 A面)
1. Backstreets
2. Rosalita (Come Out Tonight)
3. Raise Your Hand
(2枚目 B面)
1. Hungry Heart
2. Two Hearts 
 ←CDはここで1枚目終わり。『ザ・リヴァー』からの名曲が続くという流れが寸断されるのは痛い。Independence Dayで一息つくまで連続していて欲しい場面。
3. Caddillac Ranch
4. You Can Look (But You Better Not Touch)
5. Independence Day
(3枚目 A面)
1. Badlands
2. Because The Night
3. Candy's Room
4. Darkness On The Edge Of Town
5. Racing In The Street
(3枚目 B面)
1. This Land Is Your Land
2. Nebraska
3. Johnny 99
4. Reason To Believe
(4枚目 A面)
1. Born In The U.S.A.
2. Seeds
 ←CD2枚目はここで終わり。The RiverとWarの間は一息つくべし。シングルカットされたWarがCDでは2曲目扱いだが、それでは台無しだ。
3. The River
(4枚目 B面)
1. War
2. Darlington County
3. Working On The Highway
4. The Promised Land
(5枚目 A面)
1. Cover Me
2. I'm On Fire
3. Bobby Jean
4. My Hometown
(5枚目 B面)
1. Born To Run
2. No Surrender
3. Tenth Avenue Freeze-Out
4. Jersey Girl

1986年リリース。





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Last updated  2012年05月26日 15時38分10秒
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