音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年09月15日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 先回のティナ・ブルックス 『トゥルー・ブルー』 に続き、ブルース感覚溢れるテナーを楽しむという趣旨で同じブルーノート4000盤台からもう1枚お気に入り盤を挙げておきたい。リーダーはピアノのホレス・パーランながら、個人的に贔屓のテナー奏者、ブッカー・アーヴィンを含む『アップ・アンド・ダウン(Up & Down)』である。

 1950年代末、チャーリー・ミンガスの下で同僚だったホレス・パーラン(Horace Parlan)とブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は、退団後にプレイハウス・フォーなるグループを形成する。メンバーはこれら二人(それぞれピアノ、テナー・サックス)に加え、ジョージ・タッカー(ベース)、アル・ヘアウッド(ドラム)の4人だった。クラブ演奏で鳴らしたらしいが、何かが足りなかったのだろうか。そのままのメンバーでスタジオ録音を残すには至らなかった。その一方で、ブッカー・アーヴィンを除いた3人は 『アス・スリー』 で吹き込みを行なっており、上記プレイハウス・フォーは単に運に恵まれなかったのか、それとも録音に値する何かが欠けていたのかよくわからない。いずれにせよ、これら4人にグラント・グリーンを加えて吹き込まれ、ブルーノートからリリースされたのが本作ということになる。

 上記の経緯があるだけに、安定感は抜群で、メンバーの息がピタリと合っている。ホレス・パーラン自身も“がっちりまとまったグループという感じになれた”と自画自賛気味で、“これまでで一番リラックスした楽しいセッションだった”と振り返っている(パーランの発言はオリジナルのライナーより)。

 いちばんの聴きどころは、このまとまったグループとしての演奏の中で繰り広げられるブッカー・アーヴィンのテナーであると思う。アーヴィンの演奏は基本的に“こってり系”なのだが、ホレス・パーランとの間合い、やり取りの中で暴走することなく(かといって小さく収まることもなく)見事にまとまった演奏を披露している。その意味で、抑制と自由のバランスがうまく取れたアーヴィンの演奏が楽しめる。その影の立役者はパーランのピアノということになると思う。

 さらに、もう一つ、本盤で際立った特徴は、グラント・グリーンがブルージーな雰囲気を随所でうまく醸し出していることである。上記ライナーによれば、グリーンを加えるというアイデアはパーラン自身の発案だったとのことだ。

 繰り返しておくが、いちばんの聴きどころはやはりアーヴィンのサックスにある。ホレス・パーランとグラント・グリーンという個性の狭間で、出しゃばりすぎることなく、だからといって抑え込まれることもなく、微妙なバランスの上に成立しているのが本盤のブッカー・アーヴィンの演奏とである。私的な好みでは、3.「ファギー」や6.「ライト・ブルー」が特にお気に入りだが、他の曲も捨てがたく、全編を通して上記の特徴が楽しめる好盤だと思う。




[収録曲]

1. The Book’s Beat
2. Up and Down
3. Fugee
4. The Other Part of Town
5. Lonely One
6. Light Blue


[パーソネル]

Booker Ervin (ts)
Grant Green (g)
Horace Parlan (p)
George Tucker (b)
Al Harewood (ds)

1961年6月18日録音

Blue Note 4082





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