音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年11月05日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のバラード作品 『クレッセント』 の項で、同アルバムのことを"最初に聴いてはいけない"と表現した。その考えにやはり変わりはない。同作品に対して、最初にその手のコルトレーンを聴くなら、筆者は断然こちらのアルバムの方を勧める。そんな作品が『バラード(Ballads)』である。

 1曲目の「セイ・イット」からして、“テナーで歌い上げる”という形容がぴったりである。ジャズではよく演奏される2.「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(恋とは何でしょう)」や6.「ホワッツ・ニュー」はもちろんのこと、ナット・キング・コールの歌でヒットした3.「トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ」のような曲に至るまで、見事にジャズ・バラードとしてメロディックに“歌い上げ”ている。サックスを使って“歌う”というのは、筆者の言葉ではなくて、他ならぬコルトレーン自身の言葉である。本人いわく、声で歌うのには向いていないが、サックスで歌うことはできるつもりだったと言う。本盤についてこれ以上の説明はないというほどぴったりの自己解説だと思う。

 コルトレーンは生真面目な人だったと言われ、実際、その演奏も律儀である。コルトレーンと言えば、モード奏法やら“シーツ・オブ・サウンド”(シーツ・オブ・サウンドについては、過去記事『 ソウルトレーン』 『ジャイアント・ステップス』 の項を参照)、あるいはフリー・ジャズへの傾倒といった、いわばジャズ界における“革新的”な部分に注目がいきがちである。けれども、その生真面目で常に真摯な態度は、このアルバムのコンセプトにも忠実に表れていると思う。本作でのバラード演奏一辺倒は、意外に思われがちで、実際、発売当時はコルトレーンのイメージにそぐわない軟弱アルバムとの受け取られ方もしたらしい。けれども、“真面目なコルトレーン” という観点からすれば、もしかするとこれもまたごくごく自然な演奏だったのではないだろうか。つまり、ジャズという音楽の未来にも真摯であり、同時に“歌い上げる”バラード・アルバムという本盤の演奏にも真摯であったというのは、少なくとも演奏者であるコルトレーン自身にとっては矛盾することのないものだったのだろう。

 ジョン・コルトレーンという名前だけで、背筋をただして、正座して聴かなきゃならないという印象を抱いている人もひょっとしているかもしれないが、とりわけ本盤はもっとリラックスして聴かれていいと思う。仕事で疲れた一日の終りに、ゆったりまったり過ごしたい休日の朝に、もっともっと気軽に聴かれていってほしい1枚だと思う。



[収録曲]
1. Say It (Over And Over Again)
2. You Don’t Know What Love Is
3. Too Young To Go Steady
4. All Or Nothing At All
5. I Wish I Knew
6. What’s New
7. It’s Easy To Remember
8. Nancy (With the Laughing Face)

[パーソネル]
John Coltrane (ts)
McCoy Tyner (p)
Jimmy Garrison (b, 7.を除く)
Reggie Workman (b, 7.のみ)
Elvin Jones (ds)

[録音]
1961年12月21日(7.)
1962年9月18日(6., 8.)
1962年11月13日(1.~5.)





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