音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年09月17日
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前編 では、“芸術作品”とは何たるかという小難しい話に発展してしまったけれど、“難解である”、“よくわからない”などと評されるこのイエスのアルバム『海洋地形学の物語』に話を戻そう。

 前回述べたような観点からこのアルバムの“よくわからない”という一般的評価を考えてみると、要するに、各々の聴き手が自分なりの受け止め方をしにくい作品ということになるのだろう。1曲1曲は長いし、全収録時間も長い。結果的に、聴き手が受け止め不能もしくは評価不能という、いわば“機能不全”の状態に陥る。そんな時、ある種、言い訳的に“難しい”とか“わからない”との評価というか感想が発せられるのではなかろうか。したがって、というか、日々のこのブログのどの記事もそうなのだけれど、一つ一つの作品の評価や受け止め方は、あくまで一人の受け手(音楽の場合は聴き手)の受け止め方に過ぎない。それを読んで、同じアルバムや曲を聴いた別の聴き手がどう感じるかは、無論、未知数である。とはいえ、本盤を聴いたあることがある方で“わからない”と感じた方は、ぜひ“自分なりの受け止め方”を考えながら聴いて頂きたい。

 筆者は実はそんな風に考えながらこの盤を聴くことが多い。“正しい理解”をしなくてよいと割り切ることができれば、その時点から、案外と本盤は聴きやすくなるのではないだろうか。いや、それどころか、意外に面白いのではないかという気がすることさえある。何よりも、この仰々しさは、本盤の大事な個性というふうに思う。限られた時間で緊張感を持続するというのが前作( 『危機(Close to the Edge)』 )の雰囲気だとすれば、それとは異なり、マラソンかトライアスロンをやっているようにすら思えるところがよい。持続合戦のような本盤の収録曲は、『危機』や『こわれもの』という代表盤二作のようにひたすら完璧さを期す方向に向かうのではなく、不思議な世界、幻想的な世界をいかに演出するかの方により力点が置かれているように感じられる。

 ちなみに1.「神の啓示」は2003年の再発売時には元は収められていなかったイントロが含まれており、収録時間が2分ほど長くなっている。また、この再発時には2つのアウトテイク(スタジオ・ランスルー)が追加収録された。ただでさえ長いものにより追加して長くしてどうする?という気もしなくはない(ファンには嬉しいのだろうが、一般リスナーにとってはより近づきがたくなるかも…)。2枚目の1曲目までがオリジナル盤に入っていた曲というのが何とも紛らわしいが、現行盤をこれから聴く方はお間違いなきよう。



[収録曲]

~Disc 1~
1. The Revealing Science of God (Dance of the Dawn)
2. The Remembering (High the Memory)
3. The Ancient (Giants under the Sun)

~Disc 2~
1. Ritual (Nous sommes du soleil)
~以下、2003年再発時のボーナス・トラック~
2. Dance of the Dawn [studio run-through]
3. Giants under the Sun [studio run-through]

1973年リリース。



 関連過去記事リンク:
イエス『海洋地形学の物語』(前編)
イエス『危機(Close to the Edge)』
イエス『こわれもの(Fragile)』






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Last updated  2013年07月20日 07時04分10秒
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