音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年05月10日
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テーマ: 洋楽(3407)




 ティムバック3(Timbuck 3)は、パット・マクドナルドとバーバラ・Kの2人を中心としたポップ・バンドで、1986年にデビューした。初作の 『グリーティング』 こそ相応の注目を浴びたものの、その後はあまり衆目を集めることはなかった。けれども、彼らは表舞台に出なくとも、好作を発し続けた。

 メンバーは、当初は上記の2人にリズムボックスという編成だったが、1995年に出された本作『100人の恋人たち(A Hundred Lovers)』の段階では、ベースとドラムを加えた4人編成バンドの形をとっている。とはいえ、不思議とサウンドに大きな変化という感じがしない。つまるところ、2人組(+リズムボックス)という形態だからどうだったというのではなく、どのみち“彼らの音”なわけであって、編成の変化をもって“普通のバンドになった”などと論じられるものでもないのだろう。

 そんな彼らの特徴は、パットが書く詞の皮肉の効いた、どこか冷静に現代世界を見つめているような眼差し。しかも、その眼差しの鋭さとはうって変わって、聞こえてくる歌や音は一貫して温かみや人間らしさが感じられる。また、上述のバンド編成の変更から、音に厚みが出たのも事実である。

 個人的なおすすめ曲を少し上げてみたい。何と言っても、表題曲の2.「100人の恋人たち」がお気に入り。この軽快さとどこか陰鬱さや皮肉っぽさを含んだメロディラインは、彼らの本領発揮といったところ。テーマ的に面白いものとしては、4.「リーガライズ・アワ・ラヴ」や9.「キッチン・ファイア」。アルバム表題からも愛を扱っている作品と言う風情ではあるが、その内容が“ふつうのラヴ・アルバム”なのではなく、様々な問題提起を含んでいることが窺える。前者は、同性愛者の愛を“合法化すること(リーガライズ)”が主題になっているし、後者については、インドでの女性(妻)殺害の密かな原因としての“台所での火”が歌われている。

 ついでながら、本盤でちょっと面白いと思ったのが、CDボーナス曲の中にある。ボーナストラックとしてヒット曲の再録版13.「フューチャー(明るすぎる未来)」があるのに加え、注目したいのが、11.「ワイルドで行こう(Born To Be Wild)」。映画『イージー・ライダー』(1969年)でおなじみのステッペン・ウルフの曲だが、これが違和感なく彼らのアルバムに収まっているのが何とも不思議(というか、これぞ実力のほどといった方が適切なのだろうか)。



[収録曲]

1. Sunshine Is Dangerous
2. A Hundred Lovers
3. Just Wanna Funk With Your Mind
4. Legalize Our Love
5. Cynical
6. Not Yet Gone
7. Prey
8. Shotgun Wedding
9. Kitchen Fire
10. Inside Out
~以下、ボーナストラック~
11. Born To Be Wild
12. Cynical –alternate version-
13. The Future’s So Bright, I Gotta Wear Shades
14. Looks Like Dark To Me

1995年リリース。






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Last updated  2015年05月10日 21時58分09秒
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