音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年07月11日
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テーマ: 洋楽(3407)



 1969年にデビューし、短い期間を駆け抜けて姿を消した英国バンド、フリー(Free)。当初のメンバーはポール・ロジャース(ヴォーカル)、ポール・コゾフ(ギター)、アンディ・フレイザー(ベース、キーボード)、サイモン・カーク(ドラム)をオリジナル・メンバーとするが、1971年に解散することとなる。その当時、問題は山積であった。ロジャーズとフレイザーの意見の相違、コゾフのドラッグ問題(結局1976年に26歳で死去)、英国内はともかく、特に米国ではまったく伸びないレコードセールス…。

 実際、アメリカではこのバンドは過小評価され過ぎというか、あまりに注目されなさ過ぎと言えるように思う。ハードロックの礎を築いたなどというのはあくまでいろんな評価のうちの一つに過ぎず、本質はそういった“過渡期”的なものではなかったと個人的には思っている。ブルース・ロックから様々に展開していく音楽の一つの完成形と言ってしまえば、思い入れが強すぎるだろうか。

 とにかく、上のバンド解散の後、翌1972年になって発売されたのが通算5枚目となる『フリー・アット・ラスト(Free At Last)』だった。“ヤク中のコゾフを何とかしようとメンバーが再び合流”といった背景でできた作品と言われるが、これを本当に最後にしようという意図は明確だった。フリーという命名の元になったバンド名(アレクシス・コーナーの60年代後半のバンド名)をそのままアルバム表題とし、収録曲はいずれもメンバーの共作という形。オリジナル・メンバー最後の作品としての緊張感と気迫に溢れている。

 聴きどころとなりそうな曲をいくつか挙げてみたい。冒頭の1.「キャッチ・ア・トレイン」は、彼ららしさが詰まっていて、ロジャーズとコゾフのヴォーカルとギターはまさにこのバンドのいい部分が全開のナンバー。3.「マジック・シップ」は、個人的には曲として本盤でいちばんのお気に入り。そして、ラストを飾るのが、文字通りの9.「グッドバイ」というナンバー。全部名曲とは言わないけれど(若干、中だるみっぽい曲もないではないように思う)、世間の評価に比べ、比較的聴きどころのある盤だと思う。

 その後、山内テツ(山内哲夫)とラビットことジョン・バンドリックを加えてフリーはもう少し続くことになるが、ベースのアンディ・フレイザーを含む作品はこれが最後となった。そして、先頃(2015年3月)、そのフレイザーが62歳で亡くなった。遅ればせながら、ご冥福をお祈りしたい。



[収録曲]

1. Catch a Train
2. Soldier Boy
3. Magic Ship
4. Sail On
5. Travellin' Man
6. Little Bit of Love
7. Guardian of the Universe
8. Child
9. Goodbye

1972年リリース。

*2002年のリマスター時にはボーナストラックが6曲追加。





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Last updated  2015年07月11日 20時42分34秒
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