音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2016年07月24日
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 前年の 『ブロウ・バイ・ブロウ』 (当時の邦題は『ギター殺人者の凱旋』)の成功を受け、翌1976年にリリースされたのが、この『ワイアード(Wired)』というアルバムだった。ジェフ・ベック(Jeff Beck)は、ヤードバーズに始まり、ジェフ・ベック・グループ、 ベック・ボガート・アピス など様々な活動で既に名声を得て、ロック・ギタリストとしても完成されていた。そんな彼が突如として“フュージョン(クロスオーヴァ―)”な方向に向かい、“ジャズロック”の申し子となってこれら二作を発表したのだから、ファンとしては歓迎する向きもあれば、戸惑う人もいたことだろう。

 『ブロウ・バイ・ブロウ』ではジョージ・マーティンをプロデューサーに迎え、本盤『ワイアード』でもそれは継続されている。本作での新たな注目点は、ヤン・ハマー(シンセ、ドラムス、プロデュース)とナラダ・マイケル・ウォルデン(ドラムス)の参加。2人ともマハヴィシュヌ関係のミュージシャンだが、彼らの参加が前作に比してより勢いのある感じに仕上がった理由だろう。メリハリのあるリズムにキレまくりのギターにシンセ、というのが基本的な特徴と言える。ジェフ・ベックの志向は前作とおそらくはそう大きく変わっていない。けれども、これらの参加ミュージシャンを得たことで、『ブロウ・バイ・ブロウ』よりも輪をかけて緻密で緊迫感のある演奏に仕上がったのだろう。

 捨て曲はないけれども、いくつか個人的好みも含めておすすめを挙げておきたい。冒頭の1.「レッド・ブーツ(鉛のブーツ)」の変拍子にキレのあるギター、そこに絡むシンセというのは、本盤を象徴するナンバーだと思う。3.「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」はチャールズ・ミンガスの曲で、ジャズとロックの交錯というのを見た目にもよく示すナンバーだが、スローバラードがこれほどにまで緊張感を維持できるという点が聴きもの。ヤン・ハマーのペンによる5.「蒼き風(ブルー・ウィンド)」は、ジェフ・ベックのギターとヤン・ハマーのシンセの掛け合いが聴きどころになっている。アルバムを締めくくる8.「ラヴ・イズ・グリーン」は、複数のギター音を重ねたもので、エレクトリックな音(エレキ・ギター)とアコースティックな音(クラシック・ギター、フォーク・ギター、ピアノ)が混じり合った小品で、アコースティックな音を大々的に混ぜても、この精緻な感じが保たれているのが面白い。

 とにかく聴けば聴くほどに、決してまねできない高度なテクニックと工夫に驚かされる。彼の全盛期と言われることもあるインスト盤『ブロウ・バイ・ブロウ』と『ワイアード』の2枚は、並べて語られることが多いのは確かだけれども、どちらか聴けばよいというものではなくて、だいぶと雰囲気も異なるのでまだという方はぜひ両方とも試すのがいいだろう。ちなみに筆者にとっては、“体に馴染む”のは前者、耳に神経を集中させて個々のフレーズや演奏を楽しめるのが後者、といった風に感じている。



[収録曲]

1. Led Boots
2. Come Dancing
3. Goodbye Pork Pie Hat
4. Head for Backstage Pass
5. Blue Wind
6. Sophie
7. Play With Me
8. Love is Green

1976年リリース。






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Last updated  2016年07月24日 12時53分37秒
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