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2005.03.19

不思議の国のアリスとニセアリス　第５話　ホテル

テーマ：オリジナルイラスト・小説・漫画・夢日記etc……。(1277)

カテゴリ：不思議の国のアリスとニセアリス

　ＡＣＴ．６８　入り口

　ニセアリスは急にしおらしくなって、ウサギさんに言いました。
「ウサちゃん。その”ホテル”はどこにあるの？」

ウサギ　　「もうホンの目と鼻の先にあるんですが……。
そこへ行くにも、分岐地点で偶数の目を出さないと行けません。」

　するとニセアリスは少し考え込んでから……いつもの声に戻って言いました。
「ほーーーーーーーーーーーーーーー、
するってえと、何かい？またそのサイコロに”命運”を託さなくてはならんというワケなの？
ウサギ　　「はい」
ニセアリス「つまり、また同じところをグルグルと……、って可能性もあるわけだな？……」
ウサギ　　「ええ、その可能性はあります」
ニセアリス「なにーーーーー！！！！」
ウサギ　　「でも、ホテル自体は目の前に見えています」

　そう言われて、アリスとニセアリスは通路の先の方を見ました。
するとそこには……。

　分岐地点があり、左側に折れる通路がありました。その先にホテルらしき、薄いガラスの扉の正面玄関が見えました。
それはまるでカフェのようなしゃれた落ち着いたデザインのガラス扉でした。

　ガラス越しに奥の方に小さなカウンターのような物が見えました。
そこにカウンターレディーのような女性が立っているのが見えました。
そして、中は明りがこうこうと灯され、おしゃれで豪華な、まさに高級ホテルみたいなロビーが見えました。

ニセアリスは両手をギュッと握り締め
「きゃーーーーーーーーーーーーーー！！」と嬉しがりました。

「行くぞ！行くぞ！行くぞ！早くサイコロを振れ！」

　ウサギさんは慎重にサイコロを振りました。そしてホテルへの分岐ポイントエリアに入りました。ここのエリア内の１２マスのいずれかで偶数を出すと分岐側に行けます。

エイ！

……奇数でした。

エイ！

……奇数でした。

エイ！

……奇数でした。

エイ！

……奇数でした。

分岐ポイントを過ぎてしまいました。

ニセアリス「おい！」
ミシッという音とともにウサギさんの頭をワシつかみにします。

　ニセアリスはお腹が減っていて、すごく不機嫌な様子です。
ニセアリス「前に言ってたなよな……、オマエは確か……”サイコロを振るのが上手い”と」
ウサギさんはガタガタ震えています。両耳を下げて「困ったなーー」という表情をしています。

　ニセアリスは次にかわいい声に変えて、
「もし、次、ホテルに入れなかったら……分かっているよね？
もう、”食料”無いからね……。可哀想だけど……、しかたないよね……」
と言ってウサギさんの両耳をいじって遊びます。

　ウサギさんは本当に小さくなってガタガタ震えています。

　その時です！ニセアリスはやっと後にいるアリスの姿に気が付きました。
アリスは仁王立ちで怒って言いました。
「ウサギさんに”何”してるの？……」

　それを聞いたニセアリスはウサギさんの耳から手を放しました。
どうやらニセアリスよりアリスの方が”強い”みたいです。

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