《櫻井ジャーナル》

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2014.01.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 安倍晋三政権は15日に東京電力の「 総合特別事業計画 」(再建計画)を認定、翌日には同社の広瀬直己社長は新潟県の泉田裕彦知事に会い、計画について説明したのだが、知事は「 モラルハザードの計画 」だと批判したという。

 何しろ、柏崎刈羽原発の6、7号機を7月から再稼働させ、1、5号機も2015年2月までに動かすことを前提にし、株主や銀行などが責任を取る形になっていないうえ、安全面から見てもおかしい。事故を起こした責任を感じず、賠償もせず、尻ぬぐいを国民に押しつけて「2014年度に1600億円超の経常黒字」を見込むこと自体、異常だ。

 全国銀行協会の会長で三井住友銀行頭取の国部毅は東電の計画について、「 メーン銀行として高く評価をさせていだいている 」と語ったという。倒産させるべき会社を国民のカネで救済、銀行は責任をとらずにすむわけで、「高く評価」したいのだろうが、そんなことを公の席でよくいけしゃあしゃあと言えたものだ。

 融資先の状況を分析、適切な内容かどうかを判断して融資するのが銀行であり、その判断が間違った以上、自分たちも責任をとるのが当然の義務。東電の倒産によって銀行の経営が成り立たなくなるなら、それもルールに従って処理するだけである。

 株主の場合、株式を買った時点でリスクを承知していたはず。偽情報を会社が流し、判断を間違ったというなら、経営者を訴えることだ。そうでなければ、保有する株券が紙くずになっても文句は言えない。それが賭場の決まり。

 原発事故を収束させるどころか、原発を運転する能力もないと世界では見られているのが東電や日本政府で、信頼など全くされていない。すでに太平洋の東側でも事故の影響ではないかと疑われる異変が報告されているわけで、損害賠償がアメリカやカナダに広がることは不可避。原発事故の責任や実態に関する情報を隠すことが「特定秘密保護法」の大きな目的だと世界的には見られている。

 原発とは国民のカネを巨大企業へ流し込み、その企業を介して一部の「エリート」がカネを儲ける仕組み。国外に原発を作っても、この仕組みが維持できれば、そうした人びとにとって問題はない。原発が安上がりだという話も帳簿の操作で作り上げた神話。事故が起こり、その神話も吹き飛んだのだが、「エリート」たちだけでなく、少なからぬ庶民もそのことに気づかないふりをしている。

 ベトナムのニントアン省で日本企業が原発を建設するそうだが、その条件は、先進的設備の導入、人材育成、資金提供、使用済み核燃料を含む放射性廃棄物の処理、技術移転なのだという。日本の原発でも解決できていない放射性廃棄物の処理を約束する厚顔無恥ぶりには驚く。尻ぬぐいは全て日本の庶民だと高をくくっているのだろう。

 勿論、カネ儲け以外にも日本の「エリート」が原発に執着する理由がある。核兵器だ。CIAの幹部に情報源を持つジャーナリスト、ジョセフ・トレントは、1980年代以降に日本が兵器級プルトニウム70トンを蓄積、IAEA(国際原子力機関)は黙認してきたと主張している。( 日本語訳 原文

 戦後、日本が核兵器の開発に乗り出す切っ掛けは中国の核実験成功。1964年、佐藤栄作内閣のときである。1965年に佐藤首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対して核武装の意志を伝え、思いとどまるように説得されたのだが、67年に「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」を設立した。

 NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、リチャード・ニクソンが大統領に就任した1969年、日本政府の内部で核武装を本格的に話し合い、西ドイツ政府と秘密協議をしている。日本側のメンバーは外務省の鈴木孝国際資材部長(当時)、岡崎久彦分析課長(当時)、村田良平調査課長(当時)だった。

 アメリカの調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュによると、大統領補佐官だったヘンリー・キッシンジャーはその年、イスラエルと同じように日本も核武装した方が良いと周囲に漏らしていたという。こうした見解が日本側に影響した可能性もあるだろう。

 核武装に関する調査は内閣調査室の主幹だった志垣民郎を中心にして行われ、日本原子力発電所の東海発電所でプルトニウムを生産することになる。志垣らの調査では、高純度のプルトニウムを1年に100キログラム余りは作れると見積もっていた。

 東海発電所の原発はGCR(黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉)で、兵器級のプルトニウムを生産するのに適していると言われている。アメリカやソ連はこの型の原子炉でプルトニウムを生産、原爆を製造している。

 重水炉や高速炉でも原爆用のプルトニウムを作れるのだが、その高速炉の開発を動燃は目指した。そして計画されたのが「もんじゅ」と「常陽」。常陽の燃料を供給していたのが臨界事故を起こしたJCOだった。

 1977年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入るのだが、その翌年、ジャーナリストの山川暁夫は「科学技術振興対策特別委員会」で再処理工場の建設について、「核兵器への転化の可能性の問題が当然出てまいるわけであります」と発言している。実際、当時のジミー・カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったと言われている。

 ところが、ロナルド・レーガン政権になると、状況は一変する。この政権はクリンチ・リバー増殖炉計画を推進、1980年から87年の間に160億ドルを投入したというが、成果は得られず、議会は予算を凍結してしまう。

 そこで計画を推進していた勢力は日本に目をつけ、クリンチ・リバー増殖炉計画で得られた技術を日本へ提供、アメリカの核施設には、毎年何十名かの日本人科学者が訪れるようになり、高性能のプルトニウム分離装置が日本のリサイクル機器試験施設(RETF)へ送られた。

 RETFは高速増殖炉の使用済み核燃料を再処理、兵器級プルトニウムを取り出すことが可能な施設。ただ、現在は「もんじゅ」を動かせない状態で、日本原子力研究開発機構(日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構/旧動燃を統合)によると、「本施設の利活用方策を検討しています」という。

 トロントのレポートによると、高速増殖炉計画を推進していることからアメリカの一部勢力は日本へ核兵器開発に関する情報や技術を提供してきたわけで、日本としてはこの計画を放棄できないのかもしれない。特定秘密保護法は核兵器開発に関する情報が漏れるのを防ぐことも目的にしている可能性もある。





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最終更新日  2014.01.17 01:04:40


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