東京商工リサーチ
ISDS条項によって、直接的な生産活動やサービスのルール、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを決める最終的な権限を持つのは巨大資本であり、政府や国会はその支配下に置かれるということだ。つまり、形式的にも民主主義は終わる。
そうした破綻を見据え、アメリカは軍事力を使って世界を制圧しようとしている。計画を立案しているのはネオコン/シオニスト、資金はサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国が提供、地上部隊として中東/北アフリカではアル・カイダ、ウクライナではネオ・ナチを使っている。日本は資金と兵士をアメリカへ差し出す体制を整えてきた。その最終段階が集団的自衛権。
そうした目論見の大きな障害になっているロシアのウラジミル・プーチン大統領を排除してロシアを再び属国にしようとしている。メディアを使ってロシアを「悪魔」として描く一方、ロシア政府を挑発して軍隊を使わせようとしている。
西側のメディアはクリミアにロシア軍が侵攻したと大宣伝していたが、真っ赤な嘘だった。最初から嘘は明らかだったが、それでも信じた人はいるようだ。それでも恥知らずな人たちは懲りない。ドネツクやルガンスクにロシア軍がいると証拠も示さずに主張している。
こうした宣伝は「予定稿」だった可能性がある。アフガニスタンでの「成功体験」があるほか、アメリカとイスラエルはグルジアに南オセチアを奇襲攻撃させた際にロシア軍に粉砕された記憶がトラウマになっていて、ロシア軍が国境を越えるという前提でプランを立てていたのではないかということだ。
今のところロシア政府はアメリカの挑発に乗らず、経済戦争へと誘導することに成功しているように見える。その経済戦争でEUは厳しい状況に陥った。原油相場が大幅に下落しても負債が少なく、金の保有量を増やしたこともあってロシアは安定しているが、アメリカはコストの問題で国内の石油産業が苦しくなっている。環境破壊で問題になっているシェール・ガスは採算的にも開発が困難な状況になってきた。追い詰められたアメリカは強引に戦争を始めると予測する人もいる。その戦争に日本は参加するのかしないのか、それも今回の総選挙で問われている。