《櫻井ジャーナル》

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2015.05.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカ支配層の内部で相反するふたつの動きが見られる。

 ひとつはロシアとの戦争を回避しようという動きで、例えば、5月12日にジョン・ケリー国務長官がここ2年で初めてロシアのソチでウラジミル・プーチン大統領らと会談したほか、キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領に対し、ドネツク空港を奪還するという発言を批判したと伝えられている。2月11日にベラルーシのミンスクでウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳が集まって合意した停戦を支持する立場のようだ。

 それに対し、ポロシェンコ大統領が設置した国際諮問グループにネオコン/シオニストの好戦派であるジョン・マケイン上院議員が参加。そのグループを率いているのはグルジアの元大統領で刑事事件の容疑者になっているミヘイル・サーカシビリ。4月4日には「右派セクター」、つまりネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を率いている ドミトロ・ヤロシュがウクライナ軍参謀総長の顧問に就任 している。

McCain/Saakashvile

 言うまでもなく、サーカシビリは2008年8月、自国軍に命じて南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で惨敗するという醜態を演じたことがある。このとき、サーカシビリは南オセチアの分離独立派に対話を訴えた約8時間後、深夜近くにミサイル攻撃を開始している。この攻撃の背後にはアメリカとイスラエルがいたのだが、特にイスラエルの強い影響を受けていた。

 グルジアに対し、2001年からイスラエルの会社は武器を提供、軍事訓練を実施、07年には同国の軍事専門家がグルジアの特殊部隊を訓練、重火器や電子機器、戦車などを提供したと言われている。

 昨年2月にクーデターで成立したキエフ体制を支援するため、早い段階からアメリカやポーランドの傭兵会社が戦闘員を派遣していたと伝えられている。その中心と考えられているのがアメリカのアカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列の グレイストーン で、数百名が戦闘に加わっているとも言われた。 CIAやFBIの要員 をアメリカ政府はキエフへ派遣、 軍事顧問団 も入れているとも報道されている。さらに、アメリカの第173空挺旅団の兵士290名やイギリスの軍人75名が「訓練」のためにウクライナへ入り、カナダも200名の「専門家」を送り込むとされている。

 以前にも書いたことだが、NATOは「関東軍」的な存在で、ロシアとの戦争に向かって進んでいる。フィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官やアメリカ政府がNATOへ派遣されているダグラス・ルート大使はキエフ政権への武器供給を支持し、NATO事務局長のジェンス・ストルテンベルグは緊急展開部隊を1万3000名から3万名へ増強するとしていると語っている。

 ストルテンベルグ事務局長によると、NATOはキエフ政権へ顧問を派遣、指揮統制や兵站、サイバー防御などの能力を引き上げるなど軍事的な能力を強化しようとしている。そうしたグループのアドバイスを受け、ポロシェンコ大統領はドネツク空港を攻撃して奪い還すという方針を打ち出しているはずで、アメリカの好戦派とケリー国務長官の姿勢は対立していると言えそうだ。

 イスラエルから軍事訓練を受け、兵器の提供を受けていたグルジアが南オセチアを奇襲攻撃する2年前、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に興味深い論文が掲載されている。言うまでもなく、同誌を出している外交問題評議会はアメリカの支配層によって設立された団体だ。

 その論文とは、 キール・リーバーとダリル・プレス が書いたもので、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できると主張している。それだけロシアや中国を軽く見ていたわけで、先制核攻撃を仕掛ければ圧勝でき、アメリカは真の覇者になれると信じていたのだろう。南オセチア奇襲は予行演習だった可能性もあるが、実際はロシア軍の反撃で惨敗した。これはアメリカの好戦派(ネオコン)やイスラエルのとって大きな衝撃だったはずだ。

 しかし、経験から学ぼうとしないのがネオコン。自分たちが描いたシナリオ通りに世界を作ろうともがくだけで、旧日本軍の作戦参謀と似ている。その結果、恫喝をエスカレートさせ、世界を核戦争へ近づかせて自らの孤立化を招いた。ウクライナ情勢について「イスラエルの専門家」に分析させていた日本のマスコミもあったが、その意味は重い。

 そのネオコンに操られているのが安倍晋三政権。ネオコンやイスラエルの有力スポンサーとされ、戦争の仕掛け人とも見られているシェルドン・アデルソンはカジノ業界の大物でラスベガス・サンズを所有する人物。2013年にはイランを核攻撃で脅すべきだと主張していた。

 その2013年にアデルソンはIS議連の細田博之会長(自民党幹事長代行)に対してプレゼンテーションを行い、東京の台場エリアで複合リゾート施設を作るという構想の模型を披露しながらスライドを使って説明したという。その翌月、 自民党などはカジノ解禁を含めた特定複合観光施設を整備するための法案を国会に提出 、2014年2月にはアデルソンが来日して日本へ100億ドルを投資したいと語っている。安倍晋三首相はすぐに反応、翌月の衆議院予算委員会でカジノを含む「統合型リゾート(IR)」に前向きの発言をした。安倍首相とアデルソンの関係が博奕だけに留まっているとは思えない。





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最終更新日  2015.05.14 17:05:00


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