《櫻井ジャーナル》

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2017.01.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ベルリン

 実行犯とされるアニス・アムリはチュニジアから2011年に「難民」としてシチリアへ渡り、その年に放火などの犯罪で逮捕され、4年間を刑務所で過ごすことになる。ドイツへ渡ったのは2015年のことだ。そこで今回の事件を起こし、23日にイタリアのミラノで警官に射殺されたという。

 ここにきて話題になっているのは、 事前にアムリが危険人物だと認識されていた 可能性が高いということ。2015年11月に彼は相手が何者かを知らず、警察の情報屋に「ドイツで何かをしたい」と漏らし、AK-47を使った襲撃もできると口にしていたという。昨年9月にはモロッコの情報機関がドイツの情報機関BNDへアムリに関して警告、10月にも同じ相手へ警告していると伝えられている。モロッコの情報機関が警告する前、3月からアムリは当局の監視下にあったが、興味深いことに、警告があった9月に監視を中止したという。

 こうした報道を見て、2015年にフランスで引き起こされた事件を思い出した人も少なくないだろう。つまり、1月7日にイスラム教徒を愚弄する「風刺画」を載せていた雑誌シャルリー・エブドの編集部が襲われ、11名がビルの中、また1名が外で殺されたという事件と11月13日にパリの施設が襲撃され、約130名が殺され、数百人が負傷したとされている事件だ。

 シャルリー・エブドを襲撃したのはふたりで、AK-47、ショットガン、RPG(対戦車ロケット弾発射器)で武装し、マスクをしていたという。歩道上に倒れていた警官が頭部をAK-47で撃たれて殺されたことになっているが、 映像 を見る限り、その痕跡はない。つまり、骨や脳が飛び散ったり、血が吹き出たりしていないのだ。地面に当たって破片が致命傷を負わせたとしても大量の出血があるはず。事件の捜査を担当したエルリク・フレドゥが執務室で拳銃自殺したことも疑惑を深める一因になっている。

 11月の襲撃では、その痕跡が見あたらない。映像をチェックしても「血の海」と言える光景はなく、遺体がどこにあるのかといぶかる人もいる。こうした事件の場合、「治療の甲斐なく死亡」という人がいるはずで、死者数は増えていきそうなもの。ところがそうしたことはなかった。犠牲者の氏名も明確でない。とにかく不自然なのだ。

 フランスでは2012年3月にトゥールーズでユダヤ人学校が襲撃され、ユダヤ教のラビひとりと3名の子どもが殺される事件があった。この事件の容疑者、モハメド・メラを逮捕するために警察の特殊部隊は彼の立てこもるアパートへ突入、銃撃戦の末に射殺したという。このメラはパキスタンで「アル・カイダ」の訓練を受けたと話していたとされているが、その一方、DCRI(中央対内情報局)の情報提供者だという話も伝えられている。

 2011年7月にはノルウェーでも多くの犠牲者を出す事件があった。オスロの政府庁舎が爆破されて8名が死亡、その1時間半後にウトヤ島のサマーキャンプが襲われて69名が射殺されたのである。犯人は「湯翌過激派」のアンネシュ・ブレイビクだとされているのだが、複数の目撃者が別の銃撃者がいたと証言している。

 こうした事件以外にも不可解な出来事が続発、少なからぬ人が「NATOの秘密部隊」を思い出しているようだ。そうした「秘密部隊」が存在することを認める報告書をイタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相は1990年10月に公表している。イタリアでは1960年代から80年代にかけて「極左」を装った爆弾攻撃が繰り返されていたのだ。イタリアの部隊は「グラディオ」と呼ばれている。

 アメリカとイギリスは1944年、ドイツの敗北が決定的な状況になった後、ゲリラ戦のために「ジェドバラ」という部隊を編成した。コミュニストの影響力が強いレジスタンスに対抗することが目的だったと見られている。

 そのジェドバラはドイツが降伏、第2次世界大戦が終わってから解体されたことになっているが、その人脈は「ジョージタウン・セット」として残り、活動は続けられた。組織として復活したものがOPC。1951年にCIAへ潜り込み、破壊活動(テロ)を担当する計画局の核になる。NATOの秘密部隊を編成する際にもOPCは重要な役割を果たした。(日本であまり語られないのは、それだけ重要な組織だということを意味しているのだろう。)

 NATOが創設される前、ヨーロッパで秘密部隊を管理していたのはCCWU(西側連合秘密委員会)。創設後はCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。その下部組織として1957年にはACC(連合軍秘密委員会)が創設された。ACCはSHAPE(欧州連合軍総司令部)と各国の情報機関を結ぶパイプ役で、またここを通じてアメリカの支配層は秘密部隊のネットワークを操るとも言われている。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005)

 この種の組織は一端できたなら、たとえ組織を解体したとしても人脈は生き残り、活動は続く。NATOの秘密部隊が消滅した可能性は限りなくゼロに近い。ドイツもNATO加盟国である以上、秘密部隊は存在する。





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最終更新日  2017.01.24 14:42:04


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