ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官が記者会見の場へ持ち込んだノートに「5000名の部隊をコロンビアへ」と書かれていた
、つまり記者たちにそのメモを見せたことが話題になっている。言うまでもなくコロンビアはベネズエラの隣国で、これまでも対ベネズエラ工作の拠点になってきたとされている。
マドゥロ大統領は昨年(2018年)9月中旬に中国を訪問、翌日には習近平国家主席と会談した。中国はベネズエラに多額の融資をする一方、石油を輸入している。12月上旬にはロシアを訪問、石油生産に関する50億ドル相当の契約をしたと報道されている。
中国やロシアとの経済的な結びつきを強めてきたベネズエラだが、昨年12月中旬にはロシアのTu-160戦略爆撃機と輸送機がベネズエラへ飛来、その後、2機のTu-160戦略爆撃機がベネズエラ軍のSu-30戦闘機とF-16戦闘機を伴ってカリブ海上空を約10時間にわたって飛行するというデモンストレーションを行った。
この恣意行動はベネズエラ軍のクーデター派をおびえさせることになったと言われているが、そもそもクーデター派に政権を転覆させる力はなかったようだ。現在、ベネズエラ軍はマドゥロ政権を支持していると言われている。アメリカの軍事侵攻を匂わせないとクーデター派を維持できない状況になっている可能性もある。
クーデターの機は熟していないと言えるのだが、ドナルド・トランプ政権は「暫定大統領」を宣言した国民議会議長のフアン・グアイドを承認した。要するに、アメリカ政府はベネズエラ大統領の解任を宣言、新大統領を選出したのだ。そこにベネズエラ国民の意思は反映されていない。そのシナリオを実行するための特使としてネオコンのエリオット・エイブラムズが任命された。
アメリカのクーデターにイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イスラエル、あるいはアメリカが体制転覆に成功したブラジルやアルゼンチンなどは賛成しているが、ロシア、中国、インド、メキシコなどは反対。ロシア軍は出てこないという前提でアメリカ軍が動いた場合、極めて危険の状態になる。