《櫻井ジャーナル》

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2023.01.02
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 自衛隊の統合幕僚監部によると、​ 中国海軍の空母「遼寧」はフリゲート1隻、ミサイル駆逐艦2隻、高速戦闘支援艦1隻をともない、合計5隻で12月16日に沖縄本島と宮古島の間を南下、グアム近くまで航行した ​という。










 ウクライナで苦境に陥っているアメリカの好戦派は東アジアの軍事的な緊張を高めている。大統領継承順位が副大統領に次ぐ米下院議長、つまりナンシー・ペロシが2022年8月2日に台湾を訪問して「ひとつの中国」という米中の取り決めを壊しにかかった目的もそこにある。ペロシが台湾を訪問してからアメリカ政府は台湾への軍事支援を鮮明にしてきた。

 アメリカが台湾を中国に対する軍事拠点にする動きを見せる中、日本も軍事力の大幅な増強を打ち出したが、言うまでもなく、これはアメリカの命令だ。日本政府の判断で行っているわけではない。日本は明治維新以来、米英金融資本の強い影響下にあるのだ。それについては本ブログでも繰り返し書いてきた。日本と中国を分断、共倒れにすることも考えているだろう。

 ソ連が1991年12月に消滅すると、ネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、他国の意向を無視して好き勝手に行動するようになり、国防総省の「DPG草案」という形で世界制覇プランを作成する。その時の国防長官はネオコンのディック・チェイニー長官。草案の作成は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心だった。そこでこのプランは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 それに対し、細川護熙政権は国連中心主義を維持したことから1994年4月に潰される。この時、最初に動いたのはマイケル・グリーンとパトリック・クローニンのふたり。カート・キャンベルを説得して国防次官補だったジョセイフ・ナイに接触し、ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告」を発表したのだ。このレポートを受け入れた時点で日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれたと言える。

 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、ナイ・レポートが発表された翌月の95年3月に帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後に警察庁の國松孝次長官は狙撃される。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。

 アメリカのビル・クリントン大統領は1997年1月に国務長官をクリストファー・ウォーレンからマデリーン・オルブライトへ交代、政策は高専的なものになる。1998年4月にアメリカ上院はNATOの拡大を承認、その年の秋にオルブライト国務長官はユーゴスラビア空爆を支持すると表明。そして1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、5月には中国大使館も爆撃した。

 そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて人びとが呆然としている間にジョージ・W・ブッシュ政権は国内をファシズムか、国外で侵略戦争を本格化させる。ブッシュは侵略に正規軍を使ったが、統合参謀本部の抵抗もあり、バラク・オバマ政権はアル・カイダ系の武装集団を中東で傭兵として使い始めた。

 オバマ政権はロシアとの関係を悪化させる政策を打ち出し、軍事的な緊張を高めている。そして2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、ネオ・ナチが支配する体制が出来上がった。

 オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンは2021年1月から大統領になるが、この人物は上院議員時代から好戦的で有名。そのバイデンは同年3月16日、ABCニュースのインタビューでウラジミル・「プーチンは人殺しだと思うか?」と司会者に問われ、「その通り」と答えている。

 4月に入り、アメリカ空軍はウクライナへ物資を少なくとも3回にわたって空輸したと伝えられている。ドイツのラムシュタイン空軍基地からC-130輸送機とC-17輸送機がキエフへ、アメリカからリビウへC-17、そしてポーランドのポズナンからイギリスのBae 146-200がキエフへそれぞれ飛来しているという。ウクライナで停戦を実現するために調印された「ミンスク合意」を無視する行為だった。

 ドイツとフランスが調停役になり、ウクライナ、ロシア、OSCE(欧州安全保障協力機構)が起草、この3者のほかドネツクとルガンスクの代表が2014年9月、協定書に署名して成立した合意だ。この合意をキエフのクーデター政権が守らないため、2015年2月に新たな合意、いわゆる「ミンスク2」が調印された。

 しかし、今年12月7日、​ アンゲラ・メルケル元独首相 ​はツァイトのインタビューで「ミンスク合意」はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと口にした。12月16日には​ フランソワ・オランド元仏大統領 ​がメルケルの発言は事実だと語っている。

 メルケルが首相を務めたのは2005年11月から21年12月まで、オランドが大統領を務めたのは2012年5月から17年5月まで。ふたりとも「ミンスク合意」の当事者だ。

 アメリカやイギリスだけでなく、EUもロシアを軍事的に弱体化、あるいは破壊するつもりだったということが明らかにされたと言えるが、その計画で最も大きなダメージを受けたのはEUだった。

 現在、アメリカはイギリスやオーストラリアと一種の軍事同盟であるAUKUSを創設したが、その仮想敵は中国とロシアだ。東アジアでも米英は軍事的な緊張を高め、軍事衝突を引き起こそうとしている可能性が高い。その中に飛び込もうとしているのが日本だ。それに対する警告を中国やロシアは始めている。








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最終更新日  2023.01.02 14:08:41


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