ロシアでは国防省をはじめとする各省の入ったビルの屋上に短距離用防空システムのパーンツィリ-S1を設置した と伝えられている。このシステムは2017年4月と18年4月にアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」に対して使われ、その有効性が確認された。モスクワでの動きはアメリカ/NATO軍による攻撃を想定していると見られている。
アメリカを動かしてきたネオコンは「脅せば屈する」という呪文を唱え続けているようだが、勿論、現実にはならない。かつて日本人が唱えていた「神風」と同じだ。
2017年4月には地中海に配備されていたアメリカ海軍の駆逐艦2隻、ポーターとロスがトマホーク59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されてしまった。
2018年4月には100機以上の巡航ミサイルをアメリカ軍だけでなく、イギリス軍やフランス軍もシリアに対して発射したが、7割が無力化された。2017年には配備されていなかったパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。
昨年12月5日、ロシア領内のディアギレボ基地とエンゲルス基地が、また12月26日にもエンゲルス基地が攻撃された。新しい誘導システムを取り付けられたTu-141を衛星で誘導したとみられている。ロシアの外からではなく、いずれもロシア領に潜入した工作員による工作だと言われている。ジャーナリストのジャック・マーフィーによると、 CIAはNATO加盟国の情報機関を利用し、ロシアで破壊活動を続けてきた 。
ディアギレボ基地やエンゲルス基地への攻撃、あるいはHIMARS(高機動ロケット砲システム)による12月31日のロシア軍仮設兵舎への攻撃はロシア政府を脅すつもりで行ったのかもしれないが、おそらく裏目に出た。
ここにきてイギリス政府はウクライナへの戦車提供に積極的で、ほかのNATO加盟国へも主力戦車を供給するよう促しているが、それだけでなく射程距離の長いミサイルやロケット砲を提供、クリミアを攻撃すると脅している。ロシア政府がロシア領だとしているクリミアが攻撃された場合、報復攻撃することは間違いないだろう。モスクワが攻撃された場合、ワシントンDCが攻撃される可能性もある。
岩塩の採掘場を利用して築かれた全長200キロメートルという「地下要塞」のあるソレダルを制圧したのはロシアの傭兵会社ワグナー・グループ、ネオ・ナチを中心とする親衛隊が拠点にしていたマリウポリを陥落させたのはチェチェンの武装グループ、全体的には反クーデター軍として2014年から戦っているドンバス軍で、ロシア軍はミサイルや航空兵力が中心だと言われている。
しかし、ウラジミル・プーチン露大統領は昨年9月21日に部分的な動員を実施すると発表、集められた兵士のうち約8万人は早い段階でドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加、さらに20万人から50万人が訓練中だという。どこかの時点でロシア軍が動き始めると、これだけの戦力が投入されることになる。
現在、アメリカ/NATO軍はウクライナへ兵器や資金を供給、ウクライナ人が血を流すという仕組みになっているが、すでに15万人以上のウクライナ兵が戦死した。アメリカ軍はウクライナでの戦闘を念頭に置いてアフガニスタンから撤退したとする説もあるが、ウクライナにしろアメリカ/NATOにしろ、限界がきている。
全面核戦争の危機はこれまでになく高まった。